2023/12/24

雨夜に小川沿いの木から下りるハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬・午後20:40頃・小雨・気温16℃ 

小川に架かる丸木橋を見張っている自動センサーカメラにハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)の意外な行動が撮れていました。 
小雨がぱらつく晩に、右岸に自生する灌木(樹種不明)の細い幹を野生動物がスルスルと地面に下りて来ました。 
カメラの起動が間に合わず、頭部は見えなかったものの、尻尾が長いのでハクビシンと思われます。 
ハクビシンは木登りが得意と言われていますが、その片鱗を垣間見れたのはこれで2回目です。 



以前も此岸の灌木が激しく揺れていたことがあったのですが、それもハクビシンの仕業だったのでしょう。 
夜行性のハクビシンが獣道を歩くだけでなく木から木へと渡る決まった巡回ルートがあるのならば、対岸にトレイルカメラを設置して狙ってみるのも面白そうです。 

この流域にはハクビシンの健常個体だけでなく片目が失明した隻眼の個体も生息することが分かっています。 
両眼視ができないと遠近感が失われ、木登りが苦手(下手糞あるいは慎重)になると予想されるのですが、今回登場した個体の目の状態が撮れていなかったのは残念です。 



ススキの葉裏に作られたヒメクモバチの泥巣

2022年7月下旬・午後16:00 

里山で幅が狭く人通りの少ない山道を下っていると、ススキの葉の裏に付着した小さな泥玉を見つけました。 
これはおそらくヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の作った泥巣と思われます。 

完成後に閉じられた育房が2つ並んでいました。 
白っぽく乾いた育房の方が先に作られ、やや黒っぽく湿った育房はその後に作られたと推理できます。
葉裏の主脈に沿って巣材の泥玉を付着させようと試みた跡が残っていました。 
作りかけの泥玉が剥落してしまったのかもしれません。
地上から泥巣までの高さは約80cm。 
近くに母蜂の姿はありませんでした。

私が通りすがりに営巣基のススキの葉身をうっかり折ってしまったので、ヒメクモバチ♀が造巣を続けるかどうか疑問です。 
次回に来たときは泥巣を採集して育房の中身を発掘調査してみようと計画していたら、山道の整備に伴って草刈りされてしまいました…。

送電塔に作られたカラスの古巣を調べるチゴハヤブサ♀♂(野鳥)

 

2023年5月中旬・午前11:20頃・晴れ 

高圧線を支える送電塔にカラスが営巣したかどうか、繁殖期にライン・センサスしています。 
郊外に建てられた鉄塔#20に小枝を組み合わせた巣がいつの間にか作られていて、しかも意外な珍客が来ていたので驚きました。 
チゴハヤブサFalco subbuteo)の♀♂つがいです。 
猛禽がこんな街なかの鉄塔に営巣するとは意外でした。 
山渓カラー名鑑『日本の野鳥』を紐解いてチゴハヤブサの生態について調べると、
巣を自分で作ることは少なく、木立ちの上にある古巣を拝借することが多い。筆者が見たものはすべてカラスの空巣であったが、カケスや他のタカの巣を利用することもあるという。5月下旬〜6月に2〜4卵を産む。(p166より引用)

両隣の送電塔#21および#19で毎年のようにハシボソガラスやハシブトガラスが営巣しているのですが、今季はなぜか#19と#20に造巣したようです。 
(送電塔#19の営巣状況については、映像を公開予定)

カラスは天敵の猛禽類が大嫌いで、見つける度にモビング(擬攻撃)して縄張りから追い払います。 
しかしチゴハヤブサは飛翔能力が高いので、カラスがモビングを挑んでも空中戦で負けてしまうのでしょう。 
もしかすると、カラスが作りかけた巣#20をチゴハヤブサが強引に乗っ取ったのかもしれません。 
そのドラマチックな過程を観察できなかったことが悔やまれます。 

あいにく午前中は逆光で、チゴハヤブサの姿が黒っぽく見えてしまいます。 
快晴で気温が高く、陽炎が立ち昇っています。 
ズームインしてもやや遠くて、私には2羽の性別を外見から見分けることができません。 
体格差があるそうです(♀>♂)。 
小林正之、五百沢日丸『ハヤブサ 隼』という写真集によれば、
♀は胸の横に赤味があり、すね毛に縦斑がある。(p52より引用)
とのキャプションが付けられていました。 
ただし、これが全てのチゴハヤブサ♀に共通した特徴(性差)なのか、それともたまたま写真に撮れた個体(@山形県)だけの特徴なのか、不明です。 

カラスの古巣をじっくり内見している個体が♀で、横の鉄骨に止まって見張っている個体が♂ではないか?と私は推測しています。 

斜めの鉄骨(腕金吊材)に止まった♂が断続的にキィキィキィ♪と甲高い高音で鳴く声がかすかに聞こえました。 
嘴を開閉する動きと同期しているので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

しかも近所で飼い犬がずっと鳴いています♪ 

左の鉄骨に止まっていた♂が右に少し飛んで、在巣の♀に合流しました。 
撮影中はてっきり♂が♀に求愛給餌したのかと思ったのですが、1/5倍速のスローモーションで動画を見直すと、私の勘違いでした。
♂は巣内の座り心地を確かめてから、送電塔の左へ飛び降りました。 
巣の縁に立っている♀は、その様子を見守っています。 

出巣した♂は高速で右に滑空してから旋回し、同じ送電塔#20に舞い戻ってきました。 
今度は右側の腕金主材に着地すると、足で顔を掻いたり足元の鉄骨で嘴を拭ったりしています。 
カメラを向けている私に対する苛立ちの現れだとしたら、申し訳ないです。 
一方、♀は巣内で座り心地を確かめているようです。 

もしかして、性別は逆ですかね?
つまり、古巣を先に見つけた♂が♀に対して巣内に入って調べるように促しているのかもしれません。

内見中のチゴハヤブサ♀♂にあまりストレスを与えないように、早々に撮影を打ち切って立ち去りました。


約4時間後に現場の送電塔#20を再訪すると、チゴハヤブサの♀♂つがいは留守でした。 
私が無遠慮にカメラを向けたせいで営巣を止めてしまったのではないか?と心配です。 
♀が巣内に身を伏せて抱卵している可能性はあります。

送電塔の周囲をぐるぐる回って、いろんなアングルから古巣を写真と動画で記録しました。 (@3:50〜)
4時間前に撮った写真を見比べると、巣材の小枝が増えた形跡はありません。 

交通量がそこそこ多い交差点の近くですけど、果たしてチゴハヤブサ♀♂はこの古巣を気に入って繁殖を始めてくれるでしょうか? 
ここは落ち着いてじっくり観察できないのも難点です。 
撮影のために身を隠すブラインドを張れそうな場所もありません。 
(街なかでは不審者扱いされて通報されそうです。)


つづく→

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