2023/09/14

猿害対策:空砲を撃ってニホンザルの群れを追い払い山里の畑を食害から守る

 

前回の記事:▶  


2022年8月下旬・午後16:00頃・くもり 

山麓の集落で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の大群と遭遇した後で私が更に下山していると、辺りで発砲音が繰り返しこだましたので山林の方を振り返りました。 
銃犯罪とは無縁の日本で銃声を聞くとギョッとしますが、山麓の農村部では珍しくありません。 
山から里に降りてきたニホンザルの群れが家庭菜園や畑の農作物を次々に食い荒らしてしまいます。 
ニホンザルによる食害(猿害)が深刻なので、さまざまな対策をするようになりました。 
猿の群れが山から降りてくると、住民がロケット花火や爆竹、空砲を撃ちまくって脅かし、山へ追い返します。 
今回私からは少し遠いので、悲鳴を上げて山林に逃げ込むニホンザルの鳴き声は聞き取れませんでした。 
ほとぼりが覚めるとニホンザルの群れはまた戻ってくるので、いたちごっこです。 

犬猿の仲であるイヌをニホンザル撃退専門に訓練してから山村をパトロールし、ワンワン♪鳴いて猿を追い立てることで効果を上げている地域もあるそうです。 
当地でモンキードッグは未だ導入されていません。 

動画に登場する畑はただのネットで覆われているだけですが(鳥害対策?)、最近ではお金を投資して電気柵で畑全体を厳重に囲うようになりました。(下の写真を参照) 
電気柵のバッテリーはソーラーパネルで充電するようです。

蒲谷肇『千葉県におけるシカとサルによる農林業義外と対策』(1995)を読むと具体的に書いてありました。
サルの防護は、3,000〜8,000Vの高圧微弱電流(500mA以下) が約1秒間隔のパルスで金属線に流れている電気柵でサルの侵入を防ぐことによる。電気柵が効果を失うのは、主として蔓が伸びて金属線に絡みつき漏電する場合とサルが柵の近くの高い木に登って農耕地等に跳びこむ場合である。(『現代生態学とその周辺』p171より引用)
少し古い資料ですし、電気柵メーカーや機種によって違うのかもしれませんが、パルス電流を流しているとは知りませんでした。

ちなみに、空砲を連射しても周囲のミンミンゼミ♂♪は鳴き止みません。 
セミが鳴く木の下で大砲をぶっ放したファーブルの実験を思い出しました。

2023/09/13

雪崩に埋もれた渓谷を深夜に連れ立って渡る2頭のニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月上旬・午前1:20頃

2月中旬に発生したと思われる雪崩によって里山の深い渓谷が埋もれてしまっています。 
深夜に2頭のニホンカモシカCapricornis crispus)が渓谷の右岸に現れました。 
2頭が連れ立って対岸(左岸)に向かって雪崩跡の上を慎重に渡り始めました。 
この日の雪質はやや凍っているようで、カモシカの体重をなんとか支え切れるぐらい硬いようです。 

ニホンカモシカはウシ科なのに群れを作らず、単独行動が基本です。 
この2頭に体格差はほとんどありませんが、おそらく母子だと思います。 
後続個体の方が体毛が白っぽく、やや小柄です。 
成獣の♀♂ペアだとしたら面白いのですが、定かではありません。 

雪山登山をするヒトはご存知かと思いますが、この雪渓を早春に渡るのは実は結構危険です。 
深い雪に埋もれて見えませんが、渓谷を流れ下る沢の水によって雪渓の底がどんどん溶けて空洞が成長しつつあるからです。 
クレバス上の雪の橋をスノーブリッジと呼びます。 
晴れた昼間は太陽光で雪面が溶かされますから、スノーブリッジは上と下から刻々と薄くなり、時限爆弾のように落とし穴(クレバス)の危険性が増します。 
雪渓を渡る途中でカモシカの蹄が運悪く空洞を踏み抜くと、クレバスに落ちて脱出できなくなる恐れがあります。 
スノーブリッジがカモシカの体重を支え切れずに崩落するかもしれません。
足の骨を折ったりしたら致命的です。 
カモシカの親子がスノーブリッジの危険性を知った上で、最低気温に下がって雪面が固くなる深夜を選んで雪渓を渡ったとしたら、なかなか賢いですね。 
賢母の知恵を子供に伝えていくのでしょう。 

カモシカの親子はなんとか無事に雪崩跡を渡ることができました。 
先行する個体(母親?)に後続の個体(幼獣?)が追いつき、顔を寄せ合っています。 
なぜかそのまま対岸でしばらく佇んでいました。 

逆に渓谷の左岸から右岸に向かって雪崩跡を渡って来るカモシカがトレイルカメラで撮れていないのは、同じ道を通らず一筆書きで縄張りを巡回しているからでしょう。 

※ 後半部は動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。




雪解け水の池に産卵するヤマアカガエル♀♂の群れを微速度撮影したい!【チャレンジ#1】

 

2023年3月上旬〜中旬 

早春になると、未だ雪深い里山の池でヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)の群れが配偶行動および産卵のために集まります。 
毎年通って観察しているのですが、ヤマアカガエルは警戒心が強くて肝心の産卵行動が観察できません。 
そこで今季は、無人カメラを設置して撮影する作戦に切り替えました。 
両生類は変温動物ですから、いくら動き回ってもトレイルカメラのセンサーは反応してくれません。 
そこで次善の策として、インターバル撮影でヤマアカガエルの離合集散を記録することにしました。 

3/8に現場入りすると、雪や氷に閉ざされていた池aの水面が現れ、早くも岸にヤマアカガエルの卵塊が産み付けられていました。 
前回2/27に来たときは卵塊が無かったので、9日間の間(2月下旬〜3月上旬)に今季初の産卵が行われたことになります。 
2023年度 アカガエル産卵前線を参照すると、山形県の記録は登録されていませんでしたが、隣県の新潟県および宮城県とほぼ同じ時期でした。 
てっきり毎年同じ場所に産卵するかと思いきや、2021年とは少し違う地点(下の池bへ水が流れ出る地点)に卵塊が産み付けられていたのが興味深く思いました。 

既に産み付けられた第1陣の卵塊に再び♀♂が集まって追加で産卵するだろうと予想し、三脚に固定したトレイルカメラを池畔に据えました。 
真っ黒な三脚の存在を警戒してヤマアカガエルは岸辺に近寄らなくなるかな?という心配もありますが、やってみないことには分かりません。 

雨が降る日の夜に産卵が活発になると予想して、天気予報を元にして3/8にカメラを設置しました。 
5分間隔のインターバル撮影が順調にいったものの、704枚目の写真を最後に、カメラが水没してしまいました。 
3/11の深夜に突風が吹いて三脚が倒れたようです。 
フクロウなど夜行性の野鳥が三脚の上に止まったのか、あるいは池に来た夜行性の野生動物が三脚に興味を示して触れて倒れたのだとしたら面白いのですが、真相は不明です。 
転倒防止のために、水入りのペットボトルを重しとして三脚に吊るしておくべきでした。 

3/11の早朝に現場入りした私が慌ててトレイルカメラを水中から引き上げました。
トレイルカメラは防水性能が驚くほど優れていて、カメラ本体もmicroSDカードも無事でした。 
カメラの防水パッキンがとても優秀で、6時間も水没していたのに全くダメージが無くて感心しました。 
水没しても律儀に水中写真を5分間隔で撮り続けていました。

3600倍速の早回し映像を確認してみると、なかなか思ったようにはいかず、反省することばかりです。
良かった点として、旧機種でも写真の場合は、気温および月齢のデータを写真に焼き込んでくれます。 
昼間は晴れると枯れ草の影が日時計のように刻々と動きます。 
夜になって暗視モードになると、赤外線LEDの光量が強過ぎて白飛びしていました。
真上から水面を見下ろすアングルでカメラを設置したので、赤外線の反射光をレンズが直視してしまいました。 
少し斜めに見下ろすアングルに設置するべきでした。 
それから、この機種は被写体から1.5m以上離す必要があるらしい。 

5分間隔のタイムラプスではカエルの離合集散がよく分からないので、もっと間隔を縮めた方が良さそうです。 
意外にもヤマアカガエルは夜にあまり集まって来ないようです。 
やはり♀はカメラ(三脚)の存在を警戒した結果、少し別の場所で産卵したのでしょうか? 
産卵地点が予測不能だとすれば、池全体を俯瞰で見張るように、カメラを池から少し離した方が良いかもしれません。 

3/11に現場入りして調べると、池aの別な地点(例年通り)に新たな卵塊が追加で産み付けられていました。 
これで岸辺の卵塊は2ヶ所になりました。 
下の池bにもヤマアカガエルの卵塊が1個産み付けられていました。 

もう一度インターバル撮影にチャレンジしてみましょう。 
色々と試行錯誤してみるしかありません。 


ランダムに記事を読む

  • 交尾中に連結飛翔で逃げるミドリヒョウモン♀♂26/02/2022 - 0 Comments
  • ツユクサの花粉を舐めホバリングするホソヒラタアブ♀15/12/2018 - 0 Comments
  • 脱皮後の休息中に黒化が進むフクラスズメ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】04/03/2021 - 0 Comments
  • イシサワオニグモ♀による獲物のラッピングと捕食17/01/2013 - 0 Comments
  • カルガモの群れに混じって川面の岸辺で休むカイツブリ(野鳥)04/03/2019 - 0 Comments