2020/09/17

スズメ♀♂の交尾(野鳥)



2020年7月中旬・午後18:40頃・晴れ

夕方の市街地でスズメPasser montanus)の♀♂ペアが電線に止まり、交尾を繰り返していました。
スズメの交尾を目の当たりにするのは初めてです。
焦った私がカメラの起動に手間取りましたが、2回連続の交尾行動を観察することが出来ました。
幸い夕日を浴びた順光のアングルでよく見えました。
♂は♀にマウントする際に翼を小刻みに激しく羽ばたいてバランスを保っています。
その間、♀は完全に受け身で、電線上に身を伏せてじっとしています。

スズメは交尾中にヒヨヒヨヒヨ…♪と甘い鳴き声を発するらしいのですが、やや遠くて風切り音しか聞き取れませんでした。
※ スズメの鳴き声が遠くて聞き取りにくいので、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に挙げています。

自然カラーシリーズ26『スズメ』によると、

♂は、これぞと思う♀をみつけると、しきりにそのあとを追いかけます。つばさや尾羽をふるわせながら、ピイピイ、コロコロとスズメとも思えないきれいな声で鳴きます。 (さえずり:しぐま註) エンマコオロギのようにすんだきれいな声です。

つがいになると、♂は♀とならんで止まり、♀の羽毛をやさしく、つくろってやります。しかし、仲のよい夫婦ばかりとはかぎりません。♂が飛びのって、交尾しようとしたとたん、ぱっと飛び立って、どこかへいってしまう♀もいます。

♀が、からだをかがめると、その上に♂が飛びのり、またすぐに飛びおります。同じような動作が、4〜5回くりかえされます。これが交尾です。


大田眞也『スズメ百態面白帳』によれば、

交尾すると♀はすぐ身ごもり産卵するので、巣を先に用意しておかなければならない(中略)。
巣造りが一段落すると、♂は♀に付きまとうようになる。しかし、まだその気にならない♀は勝手気ままに行動し、その後を見失うまいと必死に追いかける♂の姿はけなげである。♀が立ち止まると、すぐその周りを、全身の羽毛を膨らませて大きく見せ、気取ったような格好で気ぜわしく歩きまわり、ヒヨヒヨヒヨ…と、これがスズメの鳴き声かと思うような甘く優しい声で愛をささやく。♀が移動すると、すぐその後を追い、止まると、また同じことをする。こんなことを何度も繰り返しているうちに♀もしだいにその気になってくるようで、体を低くして背を反らせ気味にして尾を上げ、下げた両翼の先を小刻みに震わせるとOKである。♂はすかさず♀の背に飛び乗り、羽ばたいてバランスをとりながら腰を低めて慎重に尾を交差させたかと思ったら、もう一回の終わりで、飛び下りている。この間ほんの数秒で、実にさばさばしており、こういうことを普通三、四回繰り返す。♀が羽繕いを始めたらもう終わりで、その後は♂がどんなに誘ってもだめである。 (p69より引用)

交尾。ヒヨヒヨヒヨ…と独特の甘い鳴き声で気づかされることが多い。 (p70より引用)


交尾直後の♂は隣の電線にピョンと飛び移り、嘴を足元の電線に擦り付けました。
鳥の交尾直後には♀の総排泄孔に付着した♂の精子が見えるものなのでしょうか?
映像では何も見えませんでした。

松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』によると、

鳥の場合、総排泄口(哺乳類意外の脊椎動物の場合、排泄物も精液も卵もすべて出口がおなじなので、こう呼びます)を接触させて交尾するため、♀の協力がないと交尾は極めて難しくなります。


交尾中の♂は終始、羽毛を逆立てた「ふくら雀」の状態で、いかにも興奮していることが分かります。
そんな♂が交尾後に羽繕い。
最後は♂、♀の順に飛び去りました。
そろそろねぐら入りして寝る時刻です。

ちなみに、すぐ横の電線に止まっていたムクドリSturnus cineraceus)若鳥?は、スズメ♀♂の交尾に無関心でした。

この電柱の水平アーム(腕金)は端が塞がれているため、その中にスズメが営巣することは出来ません。


▼関連記事(3年前の撮影)
電柱の角パイプ内の巣に出入りするスズメ♀♂【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】


次に機会があれば、求愛(囀りさえずり)からの交尾とスズメの配偶行動の一部始終を見届けたいものです。
求愛給餌するのかな?





尾が交わると書いて「交尾」

2020/09/16

イタドリの花で吸蜜ホバリングするシタキモモブトスカシバ(蛾)【HD動画&ハイスピード動画】



2020年7月中旬・午後15:35頃・くもり

河川敷の水際近くに咲いたイタドリの群落でシタキモモブトスカシバMelittia inouei)が訪花していました。
停空飛翔(ホバリング)しながら吸蜜しています。

よく似たシタキモモブトカシバとオオモモブトスカシバとの見分け方にいつも悩んでいたのですが、インターネット検索で遂に解決しました。
青森の蝶たち::Web図鑑」というサイトによると、シタキモモブトスカシバは

オオモモブトスカシバ M. sangaica と長い間混同されていたが、1987年に分離された。2種は同所的に見られる地域が多いものの、本種の方が北方系(東北地方では本種のみ確認されている)。
見事な生態写真を添えて、近縁二種の見分け方も詳細に記述されていました。

吸蜜ホバリングの高速羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:38〜)
風揺れに悩まされたものの、スーパースローで見るとあまり気にならなくなります。
1/8倍速のスーパースローでも羽ばたきが速過ぎて、翅脈は残像しか見えませんでした。
吸蜜中は前脚を花に掛けて停飛しています。
中脚が黒いので、やはりオオモモブトスカシバではなくシタキモモブトスカシバで良さそうです。
次の花へ飛んで向かう途中に、長い口吻を空中でクルクルと丸めてゼンマイのように収納していました。
また、次の花へ向かう際は後脚を後傾して空気抵抗を減らしていました。


『擬態:だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』という本によると、
(オオモモブトスカシバやシタキモモブトスカシバは訪花の際に)前脚を花にかけて空中で翅をはげしく動かしてホバリングしながら、セイヨウミツバチやマルハナバチ類のように後脚を「く」の字に曲げて交互に動かして吸蜜しながら花から花へと移動していく。飛翔しながら後脚を「く」の字に曲げて交互に動かす行動は、ミツバチ類とまったく同じである。 (p68〜69より引用)



今回の個体は怪我でもしたのか、左側だけ毛深い後脚の末端が欠損していました。
そのため、停飛中に後脚を左右交互にくの字に曲げる動きが、右側しか動かしていないように見えます。
空気抵抗が左右非対称になってもホバリングなどの基本的な飛翔能力に影響は無さそうです。

▼関連記事(ともに7年前の撮影)
汗を舐めるシタキモモブトスカシバ(蛾)の停空飛翔【ハイスピード動画&HD動画】
オカトラノオの花でシタキモモブトスカシバ(蛾)が吸蜜ホバリング【ハイスピード動画】





キクイモモドキの花蜜を吸うハラアカヤドリハキリバチ



2020年7月中旬・午後14:45頃・くもり

民家の花壇に咲いたキクイモモドキの群落で労働寄生蜂のハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ)Euaspis basalis)が訪花していました。
この組み合わせは初見ですし、今年になってハラアカヤドリハキリバチを見かけるのも初めてでした。
赤と黒のツートンカラーが鮮やかで結構好きな蜂です。

この日の撮影は風揺れに悩まされました。
私を警戒して飛び去ったと思いきや、私がじっとしていると、すぐにまた戻って来てくれて吸蜜を再開。

本種の性別の見分け方を知りたいと長年思っているですが、『日本産ハナバチ図鑑』を参照しても分かりません。
どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただけると助かります。
普通のハキリバチ科の蜂ならスコパの有無で簡単に見分けられるのですが、労働寄生種のハラアカヤドリハキリバチは♀でもスコパが無いのです。




ランダムに記事を読む

  • 巣材の枯草を集めて軒下の巣に運ぶムクドリ(野鳥)【HD動画&ハイスピード動画】01/08/2021 - 0 Comments
  • 食べ残した獲物を住居網の入口で捕食するクサグモ(蜘蛛)31/05/2019 - 0 Comments
  • ビロウドツリアブの日光浴04/02/2011 - 0 Comments
  • カメムシの幼虫を捕食するニホンカナヘビ22/10/2015 - 0 Comments
  • 小鳥を解体し幼鳥4羽に巣外給餌するハシブトガラス親鳥(野鳥)15/09/2020 - 0 Comments