2020/04/30

河原で水浴びするハシブトガラス(野鳥)



2019年11月上旬・午後15:15・晴れ

河原でハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が単独で行水していました。
中州の横の岩に乗って、濡れた羽を羽繕いしています。
晩秋の日差しに輝く「烏の濡れ羽色」は、いつ見てもきれいですね。
岩からピョンと入水して浅瀬で水浴を再開。
翼でバシャバシャと水を跳ね上げて全身を濡らします。
今度は大きな岩に飛び乗ると、身震いして水気を切り、また羽繕いします。
すっきりしたハシブトガラスは岩から飛び立ち、岸に向かって行きました。

カメラのバッテリーが切れてしまいましたが、なんとかギリギリ最後まで撮り切ることができました。

柴田佳秀『うち、カラスいるんだけど来る? カラスの生態完全読本』という本を読んでいたら、「行水時間には個体差がある(p101より)」と知って意外でした。
追試したくても、カラスに足環を付けて個体識別しないことには難しそうです。






2020/04/29

キボシカミキリ♀♂の交尾行動(交尾器のクローズアップ)



2019年10月下旬・午後16:23〜16:34(日の入り時刻は午後16:41)


▼前回の記事
キボシカミキリ♀が桑の幹を移動しても追従する♂(配偶者防衛行動)


キボシカミキリ♀♂(Psacothea hilaris hilaris)2ペアの交尾行動をマクロレンズで接写することができました。
薄暗い夕方なので、補助照明の白色LEDを点灯しています。
本来キボシカミキリの配偶行動は夕方から夜にかけて活発に行われるらしいのですが、照明が眩しくても幸い交尾行動に影響はなさそうです。

ヤマグワの樹皮を大顎で齧って傷つけて産卵加工している♀を撮っていると、前傾姿勢で大顎に力を込める♀の腹端で産卵管(焦げ茶色の細い筒状)が少し伸縮していました。
♀の口元には樹皮を削り取った木屑が付着しています。
♀の背後からマウントした♂がときどき♀の背中を口髭で舐めて(リッキング)います。
やがて♂が腹端を強く曲げて交尾器を伸ばし始めました。
茶色い♀産卵管の末端から♂交尾器を挿入したようです。
初めて見るキボシカミキリの♂交尾器は黄色くて細長く、ねじれていました。
1分足らずで♂が交尾器を引き抜くと、長いペニス(腹部の長さとほぼ同じ)は直ちに縮んで腹端に格納されました。
交尾に挑むマウント姿勢が浅い気がしたのですが、これほどペニスが長いのであれば納得です。
交尾中も♀は構わずに産卵加工を続けています。
交尾が済んでも♂は♀の元を離れずに交尾後ガードを続けます。

2組目のカップルでは交尾開始を見逃してしまいました。
この♂の交尾器は白かったです。
ペニスの色の違い(黄色/白色)は撮影角度や照明の有無によるものか、それとも移精の有無によるものか、どちらでしょう?


キボシカミキリは♂同士で精子競争があるそうです。
深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』によると、

 キボシカミキリの♂は、精子置換(sperm displacement)を行う。交尾の最初の段階で、短い間交尾器で接続する行動を反復し、このときに♂は♀体内にある先に交尾していたライバル♂の精子を、生殖器の先の逆だった鱗状の構造によって掻き出して除去している(sperm removal)。このあとに交尾器での長時間の接続を行い自分の精子を注入する。この掻き出しにより98%の精子が除去されるという。甲虫の♀が複数♂と交尾したとき最後に交尾した♂の精子が受精に有利とされている (『カミキリムシの生態』第5章p175より引用)



しかし撮影時の私はそこまで深い知識が無かったために、何回目の交尾行動なのかじっくり観察していませんでした。
つまり、今回撮れた映像が精子置換行動なのか、それとも射精を伴う本当の交尾行動なのか、不明です。
交尾器の挿入時間が短くてすぐに引き抜いてしまうのが意外でした。
(カメラの眩しい照明のせいで交尾を中断した可能性は?)
特定の♀♂ペアの動向を長時間ひたすら注目するべきでしたが、私にはその余裕がありませんでした。
桑の木のあちこちで繰り広げられる♀♂複数ペアの交尾行動を、目移りしそうになりながら夢中で接写していたのです。

つづく→キボシカミキリ♂同士の喧嘩(配偶者防衛に成功)




川面で近くのオオバンを攻撃するオナガガモ♂(冬の野鳥)



2019年11月下旬・午後16:25頃


▼前回の記事
川面で羽繕いするオオバン(野鳥)

川面に浮かんで羽繕いを続けるオオバンFulica atra)を撮っていると、面白い小競り合いが起こりました。
オオバンの周囲にはオナガガモ♀♂(Anas acuta)の群れが浮かんでいて、その多くはウトウトと寝ています。
オオバンの近くで寝ていたオナガガモ♂が突然目覚めて、オオバンを攻撃しました。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイ。
本格的な喧嘩にはならず、嘴で一突きしただけでオナガガモ♂はスーッと離れて行きました。
直後に尾羽根を左右に激しく振るのは、小競り合いの気まずさを和らげる転移行動なのかな?
オオバンにとっては日常茶飯事なのか、さほど気にせずに川面で羽繕いしながら遊泳を続けています。

しばらくすると、別個体のオナガガモ♂が再び羽繕い中のオオバンを嘴で攻撃しました。
攻撃するのはオナガガモの♂だけで、♀は攻撃しませんでした。
冬になって繁殖期が始まると交尾相手のオナガガモ♀をめぐってオナガガモ♂同士の争いが始まりますから、気性の荒さ(攻撃性)には性差があるのかもしれません。

オナガガモの大群に真っ黒なオオバンが1羽だけ混じっていて虐められている様子は、童話『みにくいアヒルの子』を連想しました。
体格はオオバンよりオナガガモの方が少し大きいようです。
そのためかオオバンは一度もオナガガモ♂に反撃しませんでした。
威嚇されたオオバンが直後に川面から急に背伸び(身震い)しながら羽ばたいたのも、転移行動なのかな?(@1:55)
周囲に威嚇する意味もありそうです。
実際に、近くで寝ていたオナガガモ♂がビクッと驚いて離れて行きました。

川面を前進するオオバンが、進路の左前方で寝ているオナガガモ♂の尾羽根の辺りを嘴でつつく素振りをしました。(@1:24)
実際に攻撃した訳ではありませんが、それだけでオナガガモ♂は離れて行きました。
「どいてどいて」「ちょっと通りますよ」と牽制する意味合いなのでしょう。
日本人も他人の前を通り過ぎる際は、礼儀として片手で手刀を切る仕草をしながら歩きますね。
首を曲げ嘴を体の羽毛に差し込んで寝ているように見えても、オナガガモはときどき薄目を開けて周囲を常に警戒しているようです。

異種の水鳥が混群として集まりながらも互いに適切なソーシャル・ディスタンス(パーソナルスペース)を保つ様子が垣間見れて興味深く思いました。
それでも野生の水鳥の間で鳥インフルエンザなどの感染症が蔓延していますから、群れは過密状態なのでしょう。


水禽類の腸管で増殖し、鳥間では(水中の)糞を媒介に感染する。水禽類では感染しても宿主は発症しない。wikipedia:鳥インフルエンザより引用)

つづく→川に出入りし岸で脱糞するオオバン(野鳥)


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