2019/08/21

送電塔の巣箱での営巣に失敗したハシボソガラス親鳥♀♂(野鳥)



2019年5月下旬・午前5:35

発電した電気を高圧線(送電線)で遠方まで届けるために送電塔が郊外に点々と建てられています。
一部の鉄塔の中段にカラス用の巣箱が設置されていることに気づきました。
ハシブトガラスが営巣した巣箱を今季は定点観察しているのですが、その近所の鉄塔も次々に見て回りました。
すると、ハシボソガラスCorvus corone)の♀♂つがいが出入りしている巣箱を見つけました。

早朝から巣箱に入った2羽のハシボソガラスが、お辞儀をしながら嗄れ声でガーガー♪と頻りに鳴き騒いでいます。
巣箱の中はなぜか巣材が少なくスカスカです。
果たして完成した巣なのか疑問です。
中に卵や雛が居るとは思えません。
巣箱内でカラスが巣材の小枝を置き直しているということは、今頃になって造巣を始めたのでしょうか?

やがて2羽のカラスは相次いで巣箱を離れました。(映像はここまで)
新たに巣材を運び込んで来るのかと思いきや、4時間後に私が再訪すると、ハシボソガラスの♀♂親鳥は不在でした。
ぐるっと回り込んで送電塔#KbT7にぐっと近づいて巣箱を調べてみると、やはり中には巣材の枯枝が少なく、明らかに手抜き状態です。
雛が居る気配もありません。

ちょうど1か月前に近くの河畔林で巣材としてツルウメモドキの蔓をせっせと集めていたハシボソガラスはこのつがいではないか?と考えました。
あの日に巣材を持って飛び去った方角と送電塔#Kb7の位置が合致するのです。

▼関連記事
ツルウメモドキの蔓を折って巣材を集めるハシボソガラス♀♂(野鳥)
しかし、巣箱に残されている巣材をよく見てもツルウメモドキの蔓らしくありません。(素人目には違う気がする…)

ハシボソガラスはハシブトガラスよりも営巣開始が早く、雛も早く巣立ちます。
実際にこの日も近くの河畔林で巣立ったばかりのハシボソガラス幼鳥を観察しています。

▼関連記事
ニセアカシアの枝に並んで親鳥を待つ2羽のハシボソガラス巣立ち雛(野鳥)
川沿いの林床で鳴く♪ハシボソガラスの巣立ち雛(野鳥)
したがって、この巣箱がハシボソガラスの巣だとすると、繁殖活動が著しく遅れているつがいになります。
別の場所に作った巣をヒトに撤去されたなど、何らかの理由で新たに巣を作り直しているのでしょうか?

作りかけで放棄された偽巣なのかな?
この送電塔は某公共施設の敷地の隅に立っているので、カラスは巣を作りかけたものの、人通りの多さが気に入らなかったのかもしれません。
逆に雛が巣立った後の空巣だとすると、もう巣箱に用が無いはずの親鳥が♀♂揃って早朝から巣箱に来ていた意味が分かりません。
今季は繁殖に参加できなかった若鳥が巣作りの真似事をしていたのかもしれませんが、私の想像に過ぎません。

さらに数日後に私がしつこく調べに来たときも、この巣箱は作りかけの巣材が少量残されたままで進展がありませんでした。
という訳で、送電塔の巣箱でハシボソガラスが繁殖に成功したことを私は確認できていません。
来季の宿題です。

(巣箱が設置されていない送電塔で営巣するハシボソガラスは毎年のように見ています。)

ハシボソガラス親鳥♀♂(野鳥)@巣:送電塔#KbT7
ハシボソガラス(野鳥)巣箱@送電塔#KbT7
ハシボソガラス(野鳥)巣箱@送電塔#KbT7
ハシボソガラス(野鳥)巣箱@送電塔#KbT7
高圧線を通す上段の鉄骨にはカラスが営巣しないように様々な障害物が設置されている。
ハシボソガラス(野鳥)巣箱@送電塔#KbT7・全景
ハシボソガラス(野鳥)巣箱@送電塔#KbT7・全景

ちなみに、ハシブトガラスが営巣している巣箱がある送電塔#KN7の1つ隣り#KN8にもカラス用の巣箱が同様に設置されていました。

そちらはカラスに利用されておらず完全に空っぽでした。

親鳥はどういう基準で利用する巣箱を選ぶのでしょう?

カラスspp(野鳥)巣箱:空巣@送電塔#KN8
カラスspp(野鳥)巣箱:空巣@送電塔#KN8
カラスspp(野鳥)巣箱:空巣@送電塔#KN8・全景
カラスspp(野鳥)巣箱:空巣@送電塔#KN8・全景

ハルニレの葉で鳥糞に集まるツノアオカメムシ幼虫



2019年5月下旬

河畔林でハルニレの枝葉にツノアオカメムシ幼虫を何匹も見つけました。
その中の1匹が若葉にべっとり付着した鳥の白い糞に口吻の先を付けて吸汁していました。
ミネラル分を摂取していたのでしょう。
しかし、すぐに警戒して葉裏に隠れてしまい残念。
枝葉を徘徊する幼虫を撮り続けても、期待に反して鳥の糞には戻ってくれません。
鳥の糞の上で立ち止まっても、跨いで通り過ぎてしまいました。
マクロレンズで接写したのですが、早朝の木陰はかなり薄暗いので白色LEDの補助照明を点灯しました。
撮影中にツノアオカメムシの幼虫が落ち着かなかったのは、照明やレンズが気に入らなかったのかもしれません。
警戒されないように、少し離れた位置から望遠マクロで撮るべきだったかも。

鳥の糞を吸汁するカメムシを私が見たのは、これで3例目になります。

▼関連記事
鳥の糞を吸汁するツノアオカメムシの幼虫 @2016年6月上旬・クリ葉
鳥の糞を吸汁するセアカツノカメムシ♀ @2014年5月下旬・林床下草

ところで、このハルニレの若葉には葉表に赤い虫こぶ(虫えい)が多数形成されていました。
薄葉重『虫こぶハンドブック』で調べてみると、ハルニレハフクロフシのようです。(p28)
オカボノクロアブラムシの仕業なのだそうです。



カメムシが虫こぶから吸汁したら面白いと思ったのですが、しばらく眺めていてもそのようなことは起こりませんでした。


ツノアオカメムシ幼虫2@ハルニレ葉+鳥糞吸汁?・全景

ツノアオカメムシ幼虫@ハルニレ葉+鳥糞吸汁?
ツノアオカメムシ幼虫2@ハルニレ葉
ツノアオカメムシ幼虫2@ハルニレ葉

ツノアオカメムシ幼虫@ハルニレ葉

鳥糞@ハルニレ葉

ハルニレハフクロフシ(虫こぶ)@ハルニレ葉表

2019/08/20

ノスリの巣を見つけた!(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#3


▼前回の記事
川沿いの柳の樹上で鳴き続け♪羽繕いするノスリ♂(野鳥)

2019年4月下旬

ノスリ♂と別れてから、対岸の河畔林を見ながら上流に向かって歩くと、近くに生えた落葉高木の幹の中程に大きな鳥の巣を見つけました。
巣材の枯枝を大量に集め、丸く積み上げて作られています。
私が見慣れているカラスの巣よりも大型です。
気になる巣を写真だけでなく念の為に動画でもアングルを変えながら望遠レンズで記録してみました。
撮影中は保護色で気づかなかったのですが、映像を見直してみると♀と思われるノスリButeo japonicus)親鳥が巣内にじっと座り込んでこちらを睨んでいました。
目の瞬きが確認できます。
猛禽類の巣を見つけたのは当然これが初めてです。
落葉樹の若葉が未だあまり開いていない時期なので、対岸の河畔林がよく見通せてラッキーでした。

ちなみに、この日は桜前線が当地を通過してソメイヨシノの花が満開でした。

親鳥は明らかに私のことを警戒しているようで、巣内に座っているだけで身動きしません。
おそらく抱卵中のノスリ♀でしょう。
ただし細かいことを言うと、転卵行動を見ない限り、抱卵であることの確証が持てません。
(つまり抱雛の可能性もありましたが、後日の観察結果と総合すれば、「ノスリの抱卵」という解釈で大丈夫だったと分かりました。)

巣を撮っているカメラをそのまま左に振ると、1分前に別れたばかりのノスリ♂が近くの柳の樹上にいるはずです。
残念ながら手前(此岸)の灌木の陰で死角になっていたので、編集でカットしました。
縄張りの河畔林でノスリ♂がハシボソガラスの群れにモビングされて逃げ回っていたときには、ノスリ♂を励ますように巣内のノスリ♀も鳴いていたようですが、私が巣にカメラを向けると鳴き止んでしまいました。

大阪市立自然史博物館叢書『日本鳥の巣図鑑―小海途銀次郎コレクション』を紐解いてノスリの巣の特徴を調べてみました。

営巣場所: 北海道〜九州(主に本州中部以北)の平地から亜高山の林の高い木、岩石の上、崖の棚などで繁殖する。牧場やスキー場など開放地に隣接する林を好む。

巣の特徴: 枯れ枝を積み重ねて、大きな皿形の巣をつくる。産座には針葉樹の青葉のついた小枝を敷くことが多い。
(p46-47より引用)

神経質になっているノスリ親鳥を刺激しないように、営巣地には当分の間、無闇に近づかないようにしないといけません。
河畔林が密生しているので、対岸から望遠レンズで撮っているだけでは、営巣木の樹種がこの後何ヶ月も見分けられませんでした。
営巣木を挟むように手前に並んで立っている木はニセアカシアです。
この後の連載で営巣木をいちいち「謎の落葉高木」と書くと煩雑になるので、先に樹種を柳と種明かししておきます。
雛が巣立った後の真夏に営巣木の樹種を調べに行き、ようやく柳と判明しました。(シリーズ最終回をお楽しみに)

つづく→柳樹上の巣で抱卵するノスリ♀(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵
ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上

ノスリ(野鳥)巣:柳樹上・全景
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上・全景

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