ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#3
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川沿いの柳の樹上で鳴き続け♪羽繕いするノスリ♂(野鳥)
2019年4月下旬
ノスリ♂と別れてから、対岸の河畔林を見ながら上流に向かって歩くと、近くに生えた落葉高木の幹の中程に大きな鳥の巣を見つけました。
巣材の枯枝を大量に集め、丸く積み上げて作られています。
私が見慣れているカラスの巣よりも大型です。
気になる巣を写真だけでなく念の為に動画でもアングルを変えながら望遠レンズで記録してみました。
撮影中は保護色で気づかなかったのですが、映像を見直してみると♀と思われるノスリ(Buteo japonicus)親鳥が巣内にじっと座り込んでこちらを睨んでいました。
目の瞬きが確認できます。
猛禽類の巣を見つけたのは当然これが初めてです。
落葉樹の若葉が未だあまり開いていない時期なので、対岸の河畔林がよく見通せてラッキーでした。
ちなみに、この日は桜前線が当地を通過してソメイヨシノの花が満開でした。
親鳥は明らかに私のことを警戒しているようで、巣内に座っているだけで身動きしません。
おそらく抱卵中のノスリ♀でしょう。
ただし細かいことを言うと、転卵行動を見ない限り、抱卵であることの確証が持てません。
(つまり抱雛の可能性もありましたが、後日の観察結果と総合すれば、「ノスリの抱卵」という解釈で大丈夫だったと分かりました。)
巣を撮っているカメラをそのまま左に振ると、1分前に別れたばかりのノスリ♂が近くの柳の樹上にいるはずです。
残念ながら手前(此岸)の灌木の陰で死角になっていたので、編集でカットしました。
縄張りの河畔林でノスリ♂がハシボソガラスの群れにモビングされて逃げ回っていたときには、ノスリ♂を励ますように巣内のノスリ♀も鳴いていたようですが、私が巣にカメラを向けると鳴き止んでしまいました。
大阪市立自然史博物館叢書『日本鳥の巣図鑑―小海途銀次郎コレクション』を紐解いてノスリの巣の特徴を調べてみました。
営巣場所: 北海道〜九州(主に本州中部以北)の平地から亜高山の林の高い木、岩石の上、崖の棚などで繁殖する。牧場やスキー場など開放地に隣接する林を好む。
巣の特徴: 枯れ枝を積み重ねて、大きな皿形の巣をつくる。産座には針葉樹の青葉のついた小枝を敷くことが多い。
(p46-47より引用)
神経質になっているノスリ親鳥を刺激しないように、営巣地には当分の間、無闇に近づかないようにしないといけません。
河畔林が密生しているので、対岸から望遠レンズで撮っているだけでは、営巣木の樹種がこの後何ヶ月も見分けられませんでした。
営巣木を挟むように手前に並んで立っている木はニセアカシアです。
この後の連載で営巣木をいちいち「謎の落葉高木」と書くと煩雑になるので、先に樹種を柳と種明かししておきます。
雛が巣立った後の真夏に営巣木の樹種を調べに行き、ようやく柳と判明しました。(シリーズ最終回をお楽しみに)
つづく→柳樹上の巣で抱卵するノスリ♀(野鳥)
ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵 |
ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵 |
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上 |
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上・全景 |
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上・全景 |
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