2017年8月下旬
農村部の道端に咲いたユリズイセン(アルストロメリア)の群落でオナガアゲハ♂(Papilio macilentus)が忙しなく訪花していました。
吸蜜中も半開きにした翅を細かく羽ばたいています。
花から花へ飛び立つ瞬間を狙って、後半は240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:25〜)
スローモーションで見ると、後翅の前縁に♂の特徴(性標)である白帯がよく目立ちます。
ユリズイセンの花の形状と長い雄しべ、雌しべから考えると、ユリズイセンの送粉者は大型のアゲハチョウ類なのかもしれません。(※追記参照)
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石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係:受粉にまつわる生態学』によると、
チョウ媒の花に、形状がラッパ状か漏斗状で、葯や柱頭が外に向かって大きく飛び出しているものが多いのも、蝶を送粉者としてターゲットにした戦略として理解できます。蝶のもつストロー状の口吻は、一般にハチ目やハエ目に比べてずっと長いので、ラッパ状や漏斗状の花の奥で花蜜を分泌し、葯や柱頭を外に向かって突き出すことで、蝶の体に葯や柱頭が触れやすくなると考えられるからです。花粉に粘着性があるのも、蝶の体に葯や柱頭が少ししか触れなくても花粉の受け渡しが行なわれるための適応と考えられます。花蜜の濃度がやや薄いのは、蝶の口吻では、濃度が高く年度の高い花蜜は吸いにくいためです。 (p63より引用)こうした特徴は全てユリズイセンの花に当てはまりますから、赤色系の花をもつユリズイセンはチョウ媒でしょう。
ただし、ユリズイセンは球根で増えるので、必ずしも受粉して種子を作る必要はありません。