2015年8月下旬・深夜1:24〜2:17・気温17.5℃(@1:37)
トリノフンダマシ♀の定点観察#7
監視中に居眠りしていた訳ではないのですが、ハッと気づいたときには隠れ家にトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が不在でした。
たまたま夜蛾が飛来するも、網にはかかりません。
このときクモが食べ残した蛾cの死骸に触れて飛び去ったのは、性フェロモンが残留しているのかもしれません。
ようやく見つけたクモは、水平円網の中央部にかかっていた蛾d(種名不明)を捕獲しに向かっていました。
水平円網を上から見下ろすアングルでは奥ピンになりがち(背景の草むらにピントが合ってしまう)なので、ハンディカムを手で持って網の下に潜り込み見上げるアングルで撮影しました。
画面が暗いのは、赤外線投光機のバッテリーが消耗したせいです。
クモは手早く梱包ラッピングしてから甑を経由して隠れ家まで獲物を持ち帰ります。
スルスルと綱渡りで隠れ家に戻ると、すぐに食べ残し(蛾c)に食いつきました。
食餌を再開しつつ、食べ残し(蛾c)をラッピングし直しています。
新鮮な獲物(蛾d)は後回しに残しておくつもりのようで、隠れ家の少し右下に保管しました。
桑の葉先ではなく、放射糸の途中に固定しているようです。
次に気づくとクモは食事を中断して蛾cを手放し、身繕いを始めまていました。(深夜1:29)
体に付いた蛾の鱗粉を念入りに落としているのでしょう。
化粧を済ませ自分の体をしっかり糸で固定すると、食べ残し(蛾c)を手繰り寄せて捕食を再開。
次に気づいた時には、蛾cの食べ滓をいつの間にか捨てていました。(深夜2:16)
食欲旺盛のクモは、予め近くに吊り下げていた蛾dを引き上げました。
獲物の腹端の辺りに噛み付き、体外消化を始めます。
円網に蛾が引っかかる度に粘着糸が切れるので、破損がどんどん進行します。
朝に行われる取り壊し作業を見届けたいのですが、夜明けまでに網はほとんど残っていないのでは?と心配になってきました。
つづく→#8:網にかかって暴れる蛾を仕留めて捕食するトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】
2015年6月下旬・夜21:52〜22:32
山裾でコンクリート壁面に夜行性のマダラカマドウマ(Diestrammena japonica)を発見。
地上からの高さ80cmの庇の奥に潜んでいました。
産卵管が無いので♂だと思ったのですが、未だ幼虫の可能性もありますかね?
本種の成虫出現時期は夏〜秋らしい(『バッタコオロギキリギリス生態図鑑』p52より)。
カマドウマは成虫でも無翅なので、素人には見分けが難しいです。
採寸すべきでした。
赤外線の暗視カメラで撮りながら長い触角に指で触れると後退り逃げました。
白色LEDを点灯して接写しても動じません。
暗視動画に戻すと、マダラカマドウマは幅4cmの縦溝を乗り越えて少しだけ前進しました。
再び長い触角に指で触れるとビクッと後退り、引き返しました。
どうも暗闇では見えておらず触覚に頼っている様子。
しつこく触れるとどんどん逃げ、コンクリートの角を曲がって隠れました。
私も追いかけると、角を曲がった先の壁面に2匹が寄り添うように並んでいました。
求愛行動を始めたら面白いのですけど、腹端に産卵管が見当たらないので共に♂(または幼虫)です。
喧嘩にならず許容しているので、群れる習性があるのでしょう。
長い触角に指でしつこく触れると逃げ出しました。
幅4cmの溝を乗り越えて前進。
溝に静止した個体に再度触れたらピョンと跳んで逃げた挙句に、オオヒメグモ(Parasteatoda tepidariorum)の不規則網にひっかかってしまいました。
網にかかった個体は暴れたりもがいたりするとクモに気づかれてしまうので、擬死(フリーズ)しています。
ライトを点灯すると、不規則網の主は近くに居るのに、獲物へ駆け寄らず静観しています。
成り行きを見届ければよかったのですが、ホタル観察に行く前の時間潰しで撮った動画でした。
カマドウマを飼育してみたら意外と面白いかな?
2015年8月下旬・深夜00:47〜00:53・気温18.2℃(@00:52)
トリノフンダマシ♀の定点観察#6
トリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が隠れ家で食べ続けていた初めの獲物(蛾a)を下に落としました。
ビデオカメラのプレレコーディング機能(録画開始ボタンを押す10秒前の出来事から遡って記録される)のおかげで、食べ残しを捨てる決定的瞬間を逃さず撮影することが出来ました。
食後のクモはちょっと身繕い。
次に、すぐ近くの網にかかり切れた粘着糸に吊り下げられた蛾cを手元に引き上げました。
やはり、ここに新鮮な獲物がかかっていることをきちんと認識していたようです。
獲物に噛み付く前からこの蛾は何故か全く暴れませんでした。(ただの擬死かと思っていたのに…?)
クモは隠れ家から糸を少し伸ばして懸垂下降し、梱包ラッピングの作業空間を作りました。
獲物に軽く糸を巻きつけると隠れ家に戻り、糸を固定しました。
ラッピングした獲物を手元に手繰り寄せる際に暗闇で歩脚が何度も空を切る(空振りする)のが微笑ましく思いました。
獲物の胸部の辺りに噛み付き、捕食開始。
その後、ストロボを焚いて写真撮影を繰り返してもクモは気にしないで食事を続けます。
つづく→#7:トリノフンダマシ♀(蜘蛛)が3頭目の蛾をラッピング、運搬、捕食【暗視映像】