2015年7月下旬
石灯籠内で営巣するムモンホソアシナガバチの定点観測記録#2
8日ぶりに様子を見に行くと、在巣のムモンホソアシナガバチ (Parapolybia indica )は1匹のみでした。
ワーカー♀は外役に出ていて、創設女王が独りで留守番しているようです。
中は昼間でも薄暗いので、初めは赤外線の暗視カメラで撮りました。
次に白色LEDを点灯すると、蜂は翅を半開きにしてやや警戒姿勢(緊張)になりました。
こちらを睨みつけているので、無紋の頭楯がばっちり撮れました。
つづく→#3:ムモンホソアシナガバチ♀同士の栄養交換
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2015年8月下旬・深夜00:10〜00:45
トリノフンダマシ♀の定点観察#5
夜通しの撮影で日付が変わりました。
トリノフンダマシ ♀(Cyrtarachne bufo )が隠れ家で食べ続けている蛾a(種名不明)は体外消化ですっかり小さくなりました。
いつの間にか別の蛾cが近くにぶら下がっていました。
網にかかった瞬間を見逃してしまったようです。
(梱包ラッピングされていないので、私が知らぬ間にクモが隠れ家まで運んできたのではないはず。)
食事中のクモはときどき歩脚をしゃくって(糸を弾いて)網の状態(張力)を調べています。
(クモが繰り返し糸をしゃくる行動を特に抜粋して動画を編集しましたが、実際は退屈なシーンが続きます。)
遠くの水平円網にかかった獲物の有無を探っているのでしょう。
その度に蛾cが上下に揺れています。
蛾cはクモに気づかれないように擬死(フリーズ)しているようです。
それに対抗してクモも、網に獲物が未だかかっていることを確認しているのだろうと思いました。
網にかかったのがただのゴミなのか、それとも本当に獲物なのか、見分けようとしているのでしょう。 あるいは、遠くに居る別のクモと何か交信(コミュニケーション)していたら面白いです。
例えば網に侵入しようとしている♂を♀が追い払おうとしているのかもしれませんが、謎の侵入者とやらを私は見ていません。
クモが弾いている糸は円網の枠糸なのか、それとも信号糸と呼んで良いのか、横から見ただけでは分かりませんでした。
ちなみに、夜行性の蛾の複眼が光って見えるのは、蛾にもタペータム(輝板) があるのですかね?
しばらくすると、更に別の蛾dがいつの間にか網の右側にかかっていることに気づきました。(@3:00)
暗視動画では遠近感が分かりにくいのですが、蛾dには赤外線投光機の光も届かず、ピンぼけにしか写りません。
続々と蛾が網にかかり、大漁です。
今回、私は一度も撮影のために虫をクモの網に投げつけたり生き餌を給餌したりしていません。
獲物は全て飛来した蛾が自然に網にかかったものです。
トリノフンダマシが蛾の性フェロモンを放出して網に誘引しているのではないか(クモの化学擬態)と一時期疑われていたのも納得です。
しかし現在のクモ学の見解では否定されています。(CiNiiへのリンク 、全文PDF )
宮下直, 坂巻祥孝, and 新海明. "トリノフンダマシはガを誘引しない. Evidence against moth attraction by Cyrtarachne, a genus related to bolas spiders" Acta arachnologica : organ of the Arachnological Society of Eastern Asia 50.1 (2001): 1-4.
動画の合間に、網にかかった蛾cの写真を撮りました。
後で気づいたのですが、レンズフードを装着したままだとストロボ光が蹴られてしまい、下側に光が回りません。
蛾はなんとなく、ハマキガの仲間でしょうか?
(単なる当てずっぽうで、真面目に検討した訳ではありません。)
蛾の性別も不明です。
つづく→#6:食べ残しを捨て次の獲物を捕食するトリノフンダマシ♀【蜘蛛:暗視映像】
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2015年8月中旬
網戸の外でアブラゼミ ♂(Graptopsaltria nigrofuscata )が喧しく鳴いています。
カーテンを捲ってビデオカメラをそっと近づけたらセミは警戒して横歩きし、桟の陰に隠れようとしました。
網戸を少し登ると安心したように再び鳴き始めました。
(もしかするとセミには網戸の裏側なんか見えてなくて、鳴き声の一小節ごとに位置を変える習性があるのかもしれません。)
当然ながら逆光でしかも網戸越しなので、発音器の腹弁の動きがよく見えません。(ビデオカメラのライトを点灯したらセミは逃げてしまうかな?)
鳴き終えて飛び立つまで動画に記録しました。
気温を測り忘れました。
飛び立つ瞬間に小便を排泄していない…と思います。
セミの排尿シーンをハイスピード動画に撮ってみたいと常々思っているのですが、木で吸汁している個体を狙うべきなのでしょう。
アブラゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる
オリジナルのMOVファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからスペクトログラムを描いてみました。
まず全体の波形を見ると、最大音量で鳴き続けるサビのパートは毎回 約30秒間と決まっているようです。
セミも疲れてしまうのでしょうか?
音量を抑えた間奏もほぼ同じ時間(少し長い)でした。
次に最後のサビの前後だけ切り出したスペクトログラムを描いてみます。
今回使用したビデオカメラは内蔵マイクで録音した音声を圧縮・劣化せずに保存しているという特長があります。
3年前に別のカメラで調べた声紋 では非可聴域の高音部がカットされていたので、この点でささやかながら進歩しました。
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