2011年10月中旬
黄色、黒、白の縦縞模様に身を纏った見慣れないイモムシを一匹、柳(種名不詳)の葉の上で発見。
派手な(毒々しい)模様は外敵への警戒色なのだろうか。
この日は風が強く枝が激しく揺れて観察しにくいので、柳の小枝ごと切り落としてそっと地面に置き、じっくり接写しました。
葉の縁に止まり真っ直ぐ伸びた状態で大人しく擬死していた幼虫は、しばらくすると警戒を解いて動き始めました。
Ω字状の尺取歩行からシャクガ科の幼虫(尺取虫)と判明。
どうやら口から細い糸を吐きながら徘徊しているようです。
じきに繭を紡ぐのだろうか※。
帰ってから検索してみると、トビネオオエダシャク(Phthonosema invenustarium)の幼虫だろうと分かりました。
頭楯全体が黒く、柳を食樹とすることから、クロマダラエダシャク(Abraxas fulvobasalis)の幼虫に訂正します。
食草・食樹のリストにしっかりヤナギ科も含まれています。
幼虫を採集して飼育すれば良かったのですが、余力がなくて今回は見送りました。
※ 体長の採寸値31mmはトビネオオエダシャク終齢幼虫の体長55mmよりも小さいので、未だ若い個体のようです。
幼虫が口元から吐いている糸は、クモが歩き回る際の「しおり糸」のような命綱かもしれません。
長い糸で宙吊りになった尺取虫を林の中でときどき見かけますし。
▼関連記事(4年後にほぼ同じ場所で撮影)
クロマダラエダシャク(蛾)幼虫の尺取り運動と命綱の働き
2011年10月中旬
一匹のキイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が道端の草むらで探索飛行していました。
蜂を目で追っていると、いきなり虫に飛びかりました。
(映像はここから。)
獲物を仕留めたその場で肉団子を作り始めました。
スズメバチは狩りに際して毒針は使わず、大顎のみで攻撃および解体(食肉処理)を行ないます。
キイロスズメバチのワーカーはカメラに背を向けて作業しているため、残念ながら肝心の口元がよく見えません。
餌食となったのはキリギリスの仲間です。
心眼ではおそらくアシグロツユムシ(Phaneroptera nigroantennata)で、産卵管が無いことから♂成虫。
茂みを慎重にかき分けながら必死で接写を続けると、働き蜂は獲物から不要な長い翅を噛み切りました。
ようやく側面からのアングルではっきり見えるようになった矢先に、キイロスズメバチは完成した肉団子を咥え巣へと飛び立ちました。
2011年11月上旬
林縁の道端に咲いた野菊の群落でイカリモンガ(Pterodecta felderi)が何頭も集団で吸蜜していました。
類は友を呼ぶ?
この綺麗な昼蛾は常に翅を閉じて止まるので、翅裏の錨紋しか見せてくれません。
翅表の紋様を撮るチャンスは飛翔中しかありません。
そこで、花から飛び立つシーンのスローモーションをハイスピード動画(220fps)で撮ってみました。
この構想は何年も前から温めていたもので、スーパースローが撮れるカメラを手に入れるまでお預けでした。
ちなみに通常の動画(30fps)で同様に撮ってコマ送り再生しても、羽ばたいている翅表は映りません。
イカリモンガが飛ぶ様子を肉眼で見ると、前翅の赤い帯がチラチラと明滅して見えます。
野菊の同定は苦手ですが、一本採集して持ち帰り図鑑で調べると、おそらくノコンギクだろうと判明。