2023年3月中旬・午後14:15頃・晴れ
胡桃の実を咥えたハシボソガラス(Corvus corone)が市街地の電線に止まっていました。
てっきりいつものようにオニグルミの堅果だと思ったのですが、後に現場近くでカシグルミ(=テウチグルミ)の庭木を見つけたので、その落果を拾ってきたのかもしれません。
カラスは少量の固形糞をピュっと排泄した直後に電線から飛び立つと、空中でクルミを離して下の駐車場に落としました。
後を追うようにカラスもふわりと駐車場に舞い降ります。
脱糞およびクルミ空中投下の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
舗装された駐車場に投げ落とした衝撃でクルミの硬い殻が見事に割れました。
割れたクルミ堅果を足で押さえつけながら、美味しい中身(子葉)を嘴でほじくって食べています。
ハシボソガラスが地上で止まっている細い金属パイプは、雪国に特有の消雪パイプです。
消雪パイプに並んだ穴からシャワーのように散水して、駐車場や車道に積もった雪を融かすのです。
車道にわざとクルミ堅果を置いて車に踏ませて殻を割ってもらうという有名なクルミ割り行動を残念ながら当地のカラスはなぜかほとんどやりません。
車を利用する方法に比べて投げ落とし(空中投下)によるクルミ割り行動は簡単そうですが、意外に難しくて奥が深いのです。
落としたクルミが大きく転がって見失うことがあるからです。
関連記事(12年前の撮影)▶ ハシボソガラスが雪国でクルミ割りする苦労とは(冬の野鳥)
クルミの紛失をどう防ぐかがカラスの知恵の見せ所です。
クルミに与える衝撃を増そうとしてあまり高い位置から投下すると、跳ね返った後に勢い余って遠くまで転がってしまうかもしれません。
落下中に風にあおられて、狙いを付けた場所にクルミが落ちないかもしれません。
かと言って低い位置から投げ落とすと打撃が不十分になり、何度も何度も繰り返さないといけなくなります。
クルミを投下する高さの加減が難しいのです。
私が7年前に観察した事例では、雨水を排水するためにわずかに傾斜のついた駐車場にクルミを投下していました。
広い駐車場の中央部に排水溝があり、外側がすり鉢状に少し高くなっていたのです。
ここにクルミを投げ落とせば、駐車場の外にクルミが転がり出る前に止まります。
今回の事例でも、駐車場に埋設された消雪パイプのおかげで、投げ落としたクルミが駐車場の外に転がり出るのを阻止していました。
くるみ割りをする場所としてこの駐車場を選んだのは偶然かもしれませんが、学習(試行錯誤)の成果だとしても驚きません。
割れ残ったクルミの殻の半分を嘴で咥えると、ハシボソガラスはどこかに飛び去りました。
もっと落ち着いて食事ができる場所に移動したのでしょう。
食べ残しのクルミを持って飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
投げ落としによるカラスのクルミ割り行動は、ヒトが大規模に舗装するようになってから発達したのでしょうか?
アスファルトやコンクリートが発明される前にもカラスは岩山や河原などで岩の上にクルミを投下して割っていたのかな?
動物の行動は化石に残らないので、誰か気づいたヒトが書き残さない限り「無かったこと」にされてしまいます。(記録の重要性)
逆に、クルミを地面に置いて空中から重い石を投げ落として割る方法(道具使用)が進化しなかったのは、身体的なパワー不足と思われます。
それから、地面に放置したクルミを仲間に盗まれてしまいそうです。
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