2021年7月上旬・午後14:45頃・くもり
大雨の後に冠水した氾濫原でアメリカザリガニ(Procambarus clarkii)を見つけました。
水深は水たまりほど浅く、体の半分は水面から上に出ています。
長靴を履いた私が正面からそっと近づくと、アメリカザリガニは左、右の順でハサミ(第1胸脚)を振り上げました。
万歳のような体勢で健気にも威嚇してきます。
「蟷螂の斧」のような佇まいです。
昔に読んだ山口恒夫『ザリガニはなぜハサミをふるうのか:生きものの共通原理を探る』という中公新書をまた読み返さないといけません。
私が指でザリガニの長い触角に触れると、浅瀬を少しずつ後退して行きます。
最後に左のハサミに触れると、ピチピチと連続して後ろに跳ねて逃げ、枯れたヨシ原の根際に潜り込みました。
素早い逃避行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
アメリカザリガニは侵略的外来種として最近とみに問題になっています。
今後は飼育も禁じられ、フィールドでアメリカザリガニを見つけ次第、殺して駆除することになりそうです。
私は生まれてこの方、在来種のザリガニを野生状態で見たことがありません。
今更ここでアメリカザリガニを駆除してもニッチが空白になって生態系に混乱をもたらすだけではないのか?と心配してしまう私は、淡水の生態系について未だ勉強不足なのでしょう。
どうも私は在来種のザリガニが戻ってくるとは信じ切れません。
アメリカザリガニを駆除した後で在来種を放流するのかな?
この氾濫原で見つかった大量のアメリカザリガニ死骸が様々な生き物に食われる様子をこれからの記事で紹介する予定です。
つまり、水辺に生息する他の生き物にとってアメリカザリガニは重要な食料源となっていて、食う食われるの関係が既にしっかり出来上がってしまっているようです。
【追記】
長崎大学の研究グループによると、アメリカザリガニが侵入・定着した湿地では、水生植物を利用する種や水底を利用する種の数は激減しやすく、水面を利用する種や水面付近に浮遊する種は影響を受けにくいそうです。
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