2021/03/01

ウコギの生垣にコガタスズメバチの古巣を見つけた!(駆除後の初期巣)

 

2020年10月下旬・午後16:40頃・くもり 

廃屋らしい民家の裏庭と車道の境界にウコギ(おそらくヒメウコギ)の生垣があり、ほぼ落葉した枝の隙間にスズメバチの古巣を見つけました。 
とても小さな巣で、下向きに細い円筒状の巣口が伸びています。 
徳利を上下逆にしたような形状は、コガタスズメバチVespa analis insularis)の初期巣の特徴です。 
創設女王が単独で作った初期巣が晩秋にそのまま見つかったということは、初期巣の段階で女王蜂が死んで廃巣になったのでしょう。 
危険を感じた近隣住民が殺虫剤スプレーのノズルを初期巣の外皮に突き刺して噴霧し、駆除したと思われます。 
いずれにせよ、この時期(10月下旬)にコガタスズメバチ♀が巣内で活動している心配は全くありません。 

初夏に単独で活動する創設女王にとって、棘だらけのウコギの生垣はとても安全な営巣地に見えたかもしれません。 
もし仮に巣が駆除されずにコロニーが順調に大きくなったとしても、ウコギの若葉が生い茂ると、巣を増築する作業の邪魔になったことでしょう。 
コガタスズメバチのワーカー♀は、巣の周囲のウコギの枝葉を大顎で剪定しながら巣を拡張したかどうか、興味があります。 
造巣に伴う周囲の土木工事をぜひとも観察してみたかったです。 
例えば地中営巣性のオオスズメバチが巣口の付近の草を刈り取る習性が知られています。 

あるいは、営巣途中でもっと開けた新天地へ自発的に引っ越して造巣をやり直したかな?
(私の知る限り、コガタスズメバチで引っ越しの習性は無かったと思います。) 




▼関連記事(7年前の撮影)

2日後にこの古い初期巣を採集して、内部構造を調べてみました。 
外皮を壊すと中には1層の巣盤があるだけでした。 
巣盤は正六角形の育房が23室作られていました。 
巣盤中央部の育房にはワーカーの蛹と幼虫が死んでいました。 
2匹の蛹は白い繭キャップの下で羽化直前だったようで、ほとんど完成した成虫の姿をしていました。 
創設女王が外出中に事故で死亡あるいは逃去しただけなら、たとえ巣内の幼虫が餓死しても蛹から初ワーカーが羽化したはずです。 
実際には初ワーカーが全て羽化前に死んでいたことから、やはり強力な殺虫剤を使って創設女王と一緒に殺されたのだと推理しました。
ワーカーが無事に羽化していれば、初期巣に特有の下向きに伸びた細長い巣口が完全に取り壊されているはずです。

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