2018年9月上旬
山麓の果樹園でリンゴの果実が赤く色づき始めました。
熟して収穫するまでに鳥獣による食害を防ぐため、リンゴ園農家は色々と涙ぐましい工夫をしています。
まず、光るテープが何本も木の枝に結び付けられ、風にたなびいていました。
このテープは両面がメタリックな赤と銀色の2色になっていて、反射光がチラチラする効果があります。 (防鳥テープ赤銀)
これは果樹園以外にもスズメ対策として秋の田んぼによく張り巡らされているのを昔から見かけていました。(映像公開予定)
オレンジ色に黒い縞模様の虎の張りぼてが枝から吊り下げられていました。(防獣タイガー風船)
ときどき山から下りてくる野生ニホンザルの群れへの対策だと思われますが、こんな子供騙しのような案山子が果たして効果あるのか、個人的には甚だ疑問です。
初めは見慣れない物体に不審がるかもしれませんが、人畜無害(まさに張子の虎)だとすぐに見破られ、慣れてしまうでしょう。
フクロウの模型も吊り下げられていました。
大きな目が鏡になっていて、風が吹いて向きが変わると、目が反射してピカピカ光ります。
確かに鳥を怖がらせる効き目がありそうな気がするのですけど、目が光る角度は限られていますし、
矢崎葉子『カラスバトル』を後日読んでいたら、東急ハンズで売られている鳥避けグッズを紹介した中に「タカくん」という似た商品を見つけました。(本の表紙の右下にも写真が小さく載っています)
「鷹を模した下敷きみたいなもので目の部分がミラーになっている」のだそうです。(p28-29より)
現在は首を振る動きをしたり、もう少しリアルな造形に改良されたフクロウ型の防鳥具が売られています。
私は未だ実際の食害シーンを見たことがないのですけど、リンゴ園を悩ませている害鳥はヒヨドリでしょうか。
鳥害の本を読んで勉強してみると、複数の対策法を組み合わせて使うのが良いとされています。
こうした鳥獣害対策グッズの有効性を実証するために、可能ならばライブカメラやカメラトラップを設置して果樹園を終日監視してみたいものです。
最近では莫大な投資をして果樹園全体をネットやハウスですっぽり覆ってしまい、がっちり食害対策する農家も見かけます。
コストを回収できる利益があり、リンゴの木の光合成と授粉を妨げなければ、これが一番なのかもしれません。
※ 日没前に撮った薄暗い映像を編集時に自動色調補正を施しています。
防鳥テープ赤銀+防獣タイガー風船+フクロウ型鏡@リンゴ園 |
【追記】
宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』という本を読んでいたら、獣害対策についても動物カメラマンの第一人者らしい考察やヒントが散りばめられていました。
けもの道と接している田畑には、昔はよく案山子が立っていましたが、近ごろは少なくなってきました。あれは人形を人間に見せかけて視覚的に威嚇するだけでなく、汗や匂いが染み付いた布や動物の皮の匂いを「嗅がす」ことで嗅覚に訴えるものでもあったようです。 (p286より引用)
匂いによる忌避効果は、鳥類には期待できません。
哺乳類による食害対策として、オオカミの尿そのものを輸入した商品が「ウルフピー」として売られています。
ニホンオオカミは既に絶滅して久しいですけど、狼の尿の匂いを嗅いだ動物は本能的にその場所を忌避するようになる、という触れ込みです。
しかし実践では効果が無かったという報告もあり、決定打にはなっていないようです。
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