2016年9月下旬
▼前回の記事
チャイロスズメバチの巣に近づく謎の寄生?ハエ【ハイスピード動画】
破風板の裏側に営巣したチャイロスズメバチ(Vespa dybowskii)のワーカー♀が飛び回り帰巣、出巣を繰り返す様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
帰巣の際に獲物や巣材を搬入しているシーンは別の記事にまとめておきました。
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肉団子や巣材を巣に搬入するチャイロスズメバチ♀【ハイスピード動画】
今回の映像はそれ以外のシーンです。
実は、空荷で巣に出入りしていることがずっと多いのです。
巣のある建物の真下で私が立って撮影しているので、警戒したワーカー♀が私を偵察・威嚇に来ていました。
つまり、この映像は平時の状態ではないかもしれません。(観測者問題)
また、出巣しても空中で旋回しただけですぐ破風板に戻って来る個体がいました。
外役の経験の浅いワーカー♀が出巣の前に巣口の位置をしっかり記憶するために定位飛行を繰り返してしているのかもしれません。
その場合は、巣の方を向いてホバリングしながら扇状に、少しずつ大きな弧を描くように飛ぶはずです。
引きの絵(広角)で撮っていないため、この映像からは定位飛行かどうか区別がつきません。
初めに説明したように、今回の撮影の目的としては、巣材または肉団子を巣に搬入する瞬間をハイスピード動画で記録したかったので、寄りの絵にしていたのでした。
素人目には、未熟なワーカー♀による飛行訓練、あるいはコロニー全体が警戒中(やや興奮状態)、という印象を受けました。
帰巣する個体と出巣する個体が空中で衝突し、もつれ合うように落下しました。(@0:23)
敵が飛来したと誤認して門衛が迎撃したのか、それとも偶然の事故(空中のすれ違いに失敗)なのか、分かりません。
熱が篭った巣内を冷却するために門衛の一部が羽ばたく扇風行動は見られませんでした。
巣口の周囲で歩き回りながら羽ばたいていた個体もすぐに飛び立ってしまいます。(出巣)
ところが破風板に少しズームインしてみると、画面上端付近で扇風行動をしている個体を一匹見つけました。(@6:16〜6:50)
巣口から外に向いて立ち止まったまま羽ばたき続けています。
これがもし本当に扇風行動なら、外気を巣内に送り込んでいることになります。
現場ではこの個体に気づかなかったので、気温を測るのを忘れてしまいました。
現場は特に暑かった記憶がありませんし、鎮守の森(スギ林)に囲まれているので、少なくとも私には過ごしやすい気温だった(あまり暑くなかった)と思います。
別種ですがコガタスズメバチやキイロスズメバチでは、気温が30℃を越えると扇風行動が発動されることをこれまでに観察しています。
この個体が本当に扇風行動をしたのか、離陸前の準備運動として羽ばたいていただけなのか、気になるところです。(※追記参照)
1/8倍速のスローモーションで34秒間ということはリアルタイム(実時間)ではたった4.25秒しか羽ばたきが記録されておらず、とても扇風行動だと言い切れません。
扇風行動ならもっと長時間(少なくとも数分間)、巣口の近くで羽ばたき続けます。
とりあえず、扇風行動は今回無かった、ということにしておきます。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
とりあえず、扇風行動は今回無かった、ということにしておきます。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
動画編集前のオリジナル素材を見直してみました。
巣口から出てきて破風板で扇風行動のように少し羽ばたいていた個体Aは、羽ばたきを止めて隣の個体Bと栄養交換の口づけを交わしていました。
そこへ帰巣した別個体Cが飛びついて、♀Aの出巣衝動はうやむやになってしまったようです。
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