2017/11/30

完成したイラガ(蛾)繭のお披露目



イラガ(蛾)の飼育記録#2016-13



▼前回の記事
営繭中に排便するイラガ(蛾)終齢幼虫


2016年9月中旬

営繭開始から2日後のイラガMonema flavescens)の繭です。
完成した回転楕円体の繭cをゆっくり回して全体をお見せします。
繭の両端もお見せします。
繭を爪で弾くと、カチカチ♪といういかにも硬そうな音が鳴ります。

ツルンとした繭が小枝に付着している部分を固定する絹糸の網目をこれまで意識したことがなくて、ちょっと興味深く思いました。

作り方を考えれば当たり前なんですけど。
野外で見つけるイラガの繭は、この糸が(風化して?)無くなっていることが多い気がします。

繭の縞模様のパターン形成過程が面白いのに、微速度撮影で記録した面とは逆側の方が繭の縞模様がきれいに出来ていたのは残念でした。
2匹目の営繭に期待しましょう。

イラガ繭の模様についてインターネット検索で調べ物をしていたら、興味深い研究結果を知りました。


古川真莉子ら 「イラガ科2種の繭生態」
日本生態学会第60回全国大会・一般講演:ポスター発表 (2013年3月) 講演要旨より引用

イラガの斑紋と死亡要因との関係を調べたところ,斑紋が明瞭な繭は鳥類による捕食が少なく寄生蜂による捕食が多かった.これらのことから,ヒロヘリアオイラガは隠蔽度が高いにも関わらず,鳥類に選択的に捕食され,同所的に生息するイラガの捕食率が低下していたと示唆された.また,イラガの繭の明瞭な斑紋は鳥類に対して捕食者回避に正の効果があることが示唆された.
イラガの硬い繭を壊して、中で越冬している前蛹を捕食する野鳥を、私も何例か観察しています。

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この繭を紡いだ終齢幼虫cの左側面後部にヤドリバエの卵殻らしき白い異物が付着しているのが気になっていました。
体内寄生されている可能性を疑い、繭を密閉容器に隔離して飼育を続けました。
繭を外気に晒して越冬させた(冬の低温をしっかり経験させた)ものの、翌年になってもなぜかイラガ成虫やヤドリバエは羽化してこなくて残念でした。


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イラガに寄生するヤドリバエ(イラムシヤドリバエ?)

つづく→#14:プラスチックの壁面で繭を作り損じたイラガ(蛾)終齢幼虫b【100倍速映像】


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