営巣完了したオオシロフクモバチ♀(旧名オオシロフベッコウ;Episyron arrogans)が立ち去った後で、巣穴を発掘してみることにしました。
巣口の横に置いた一円玉を目印として、まず近くに溝を深く掘ります。
次に、巣坑へ向かって横に少しずつ土を削っていきました。
道具はコンビニ弁当に付いていたプラスチックのナイフを使いました。
刃先に付いているノコギリ状のギザギザが便利でした。
どうせ使い捨てですから、歯がこぼれても気にせずガリガリと掘り進めます。
斜坑の奥にある独房は意外に浅い位置にありました。
雨が降っても中まで浸水しないのでしょうか?
巣房の発掘1 |
巣房の発掘2 |
巣房の発掘3:蜂の卵@獲物 |
巣房の発掘4:崩した砂が卵に付着! |
巣房の発掘5:貯食物の採集後 |
貯食物はさきほど搬入した緑色のクモ一匹のみでした。
これはクモバチ科に共通する特徴です(一括給餌)。
獲物のクモは完全に麻痺しており、触れてもピクリともしません。
現場で作業中には獲物の体表に蜂の卵は見つけられませんでした。
しかし写真を見直すと、独房が露出した当初はクモの腹背(右脇腹)に白く細長い卵が産み付けられていました。
それに気づかなかったため、クモを取り出そうと周囲の土を更に崩した際に、蜂の卵が剥がれ落ちてしまったようです。
痛恨のミス…。
もっと慎重に発掘作業を進めるべきでした。
貯食直後に産仔されたはずの寄生ハエ(シロオビギンガクヤドリニクバエ)の幼虫も未だ獲物に取り付いていませんでした。
生き埋めにされても自力で這って獲物に辿り着くのでしょうか?
(数日後に発掘していたらクモを食す寄生ハエの幼虫が見つかったかな?)
ピンセットでクモをそっと採集しました。
巣坑を埋め戻して帰ります。
蜂の子が育つ様子を飼育観察してみたかったのに、残念でした。
掘坑性カリバチの巣を発掘したのはこれが初めてだったので、仕方ありません。
まぁ、何事も経験ですね…。
オオシロフクモバチ♀に狩られ毒針で麻痺させられた獲物はコガネグモ科のサツマノミダマシ♀でした。
腹部腹面に外雌器を覆う?長大な垂体を有していることから、未交接の♀成体(処女)と判明。
完全に全身麻痺状態で、ピンセットで触れてもほとんど反応しません。
麻痺状態は改善することなく、植物状態のまま餓死を待つだけです。
つづく→「オオシロフクモバチ♀に狩られ麻痺状態のサツマノミダマシ♀を調べる」。
側面:全身像 |
腹部 |
頭胸部 |
顔 |
腹面:外雌器および垂体 |
発達した垂体を側面から |
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