2025/08/13

山腹の獣道を真昼間に登るニホンカモシカの母子【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬・午前11:50頃・晴れ・気温22℃ 

ニホンカモシカCapricornis crispus)の母親♀が先導し、里山の獣道を左から右へ登って行きます。 
後続の個体は角が細いので幼獣と分かります。 
カモシカの母子は、共に溜め糞場sr2の匂いも嗅がず、興味を示さずに素通りしました。 


つづく→

山中の水溜りで水浴・採食に来たクロツグミ♀(幼鳥?)の群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/24・午後12:41・くもり(@0:00〜) 
シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:03〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
湧き水や雨水が溜まった水溜りを野生動物や野鳥が水場として利用しに来るので、2台の自動撮影カメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/27・午後18:30・くもり(@0:03〜)日の入り時刻は午後19:09。 
日没前の薄暗い夕方に、地味な鳥が3羽同時に水場や周辺の湿地に来ていました。 
おそらくクロツグミ♀(Turdus cardis)の群れではないかと思うのですが、動画の色調が狂っているために、いまいち自信がありません。 
薄明薄暮の時間帯に水場に来るのは、クロツグミの特徴です。

2羽がホッピングで次々と浅い水溜りに入ると、それぞれが別の地点で水浴を始めました。 
ときどき泥濘をつついて虫を取ったりもしています。 
その間、奥の湿地帯では別個体が採餌しています。 

やがて4羽目の個体が左から飛来し、泥水溜りの対岸に着陸しました。(@1:09〜) 
水溜りから先客が左に飛び去ると、入れ替わりで入水。 

 巣立ったばかりの幼鳥・若鳥なのかも? 水浴に来ない鳥は別種なのかも? 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 行水の水音が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
クロツグミは羽の色が性的二型で、♂は真っ黒ですが♀は地味な茶色です。
ちょうど繁殖期が終わった頃に、地味な♀タイプが4羽群れになって一緒に水場に来たということは、今季巣立った幼鳥が行動を共にしているのではないかと推測しています。
クロツグミの一腹卵数は約4卵らしいので、ほぼ全ての雛が無事に巣立ったようです。

以前クロツグミの親鳥♀がこの水場で黒いオタマジャクシ(幼生)を次々に狩って巣に持ち帰っていたので、心配していました。
ヒキガエルの幼生にはブフォトキシンという猛毒が含まれているからです。
給餌した雛がブフォトキシン中毒で死んでしまったのではないかと案じていたのですが、4羽も無事に巣立ったのなら安心です。
クロツグミはヒキガエルの毒に対して耐性があるのかもしれません。
それとも、当地のヒキガエル幼生は毒性が弱いのでしょうか。



【参考文献】

カンムリワシはなぜ有毒外来種を捕⾷できるのか
―毒耐性遺伝⼦の進化的背景―(プレスリリースのPDF

TOBE, Alisa, et al. Evolutionary insights into Na+/K+-ATPase-mediated toxin resistance in the Crested Serpent-eagle preying on introduced cane toads in Okinawa, Japan. BMC Ecology and Evolutio, 2025, 25.1: 70. (全文のPDFが無料でダウンロード可能)

つづく→

2025/08/12

営巣地に近づくニホンイノシシに対するニホンアナグマ家族の警戒・避難行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/23・午後23:39(@0:00〜) 
二次林にある巣穴の外で深夜にのんびり活動していたニホンアナグマMeles anakuma)の家族(母親♀と4頭の幼獣)の様子がなぜか急変しました。 
母親♀が独りで左に走って行きました。 
2匹の幼獣a,bが続けざまに巣口Lに飛び込みました。 
母親♀が警戒声♪を発したのかどうか、私には聞き取れませんでした。 
右奥から幼獣cが戻ってきて、同じく巣穴Lに入りました。 
左から戻ってきた♀がセット(営巣地)を駆け回り、左へ突進しました。 
林床に散らばった4匹の幼獣たちを呼び集めている(点呼招集)のかと思ったのですが、このとき母親♀は、巣外に残ったままの幼獣に巣穴へ戻るよう促しませんでした。 
しかし、母親♀のただならぬ様子で緊急事態を察したのか、外に居た幼獣cもようやく自発的に入巣Lしました。 
最後に右からセットに戻ってきた幼獣dは、巣穴Lには入らず、呑気に左へ向かいました(母親と合流したいのかも)。 

巣口Lから別個体の幼獣が顔だけ出して外の様子を心配そうに伺っています。 
緊急時の対応を見ても、4匹の幼獣には明らかに性格の違いがあるようで、興味深く思いました。 


シーン2:6/23・午後23:39(@1:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
何者かがセットに接近するのを察知して警戒し、巣外で活動していたアナグマの家族が次々に2つの巣穴L、Rに潜り込んで避難しています。 

初めに巣口Rで警戒していた母親♀(右目<左目)が、なぜか警戒声も発さずに幼獣を放置したまま反対側に走り去りました。 
しかしすぐに駆け戻ってきて、慌てて巣穴Rに入りました。 
もうひとつの巣口L付近に居る幼獣は放ったらかしです。 
巣口Rから恐る恐る顔を出した母親♀(右目<左目)が、巣口Rで警戒しています。 
逃げ遅れた幼獣が1匹、母親♀がいる巣口Rに向かってゆっくり前進しています。 


シーン3:6/23・午後23:41(@2:00〜) アナグマの営巣地に深夜侵入したのはニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の母子でした。 
セットをうろつき、林床の匂いを嗅ぎ回っています。 
既報なので、10倍速の早回しでお届けします。 



この間、アナグマの家族は全員が巣内で籠城しているようです。 


シーン4:6/23・午後23:45・雨天(@2:16〜) 
しばらくセットに長居したイノシシの親子が立ち去った後、雨が降り出しました。 
ちなみに、この日は東北地方南部に梅雨入りが宣言されました。
巣口Rから外に出てきたと思われるアナグマ♀が、イノシシの残り香を嗅ぎ回り、辺りを警戒しています。 


シーン5:6/23・午後23:59・雨天(@3:16〜) 
アナグマの母親♀(右目<左目)が巣口LRの中間地点で警戒している間に、1匹の幼獣が不安そうに巣口Rから外に顔を出したものの、すぐに奥へ引っ込みました。 
母親♀が巣口Lの匂いを嗅いでから、中へ慎重に潜り込みました。 


シーン6:6/23・午後23:59・雨天(@3:42〜) 
別アングルの監視映像でも入巣Lシーンが撮れていました。
左から来が母親♀が巣口Lの匂いを嗅いでから入巣L。 

旧営巣地に転入してきたばかりのアナグマの家族にとって、激動の一日がようやく終わりました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
イノシシは肉食獣ではないので、アナグマの幼獣が捕食される心配はありません。 
しかし当地でイノシシはまだ個体数が少なく、山中でも滅多に遭遇できません。 
ましてや人里に隣接する平地の二次林で暮らすアナグマにとって、イノシシは初見の(未知の)怪獣だった可能性すらあります。 

営巣地(セット)にイノシシ2頭がズカズカと侵入したのに、アナグマの母親♀が縄張りから撃退したり幼獣を積極的に守ったりする行動をしなかったのが、とても意外でした。 
逃げ遅れた幼獣の首筋を咥えて強引に巣穴に連れ戻すかと期待したのですが、アナグマの母親♀はパニックのように右往左往したり、我先に巣穴Rに逃げ込んだりするだけで、素人目には全く頼りにならない体たらくでした。 
野生動物が子を守る母性本能というのは、ヒトが勝手に投影する幻想、願望、神話に過ぎないのでしょうか。
イノシシは肉食性ではないので、アナグマの幼獣が捕食される心配はありません。 
今回の侵入者は図体がでかくても危険性がないことをアナグマの母親♀は冷静に見切っていたのでしょうか。
今回アナグマの母親♀は、ただ己の保身に走ったようにも見えますが、幼獣に対して巣穴に籠城する避難行動の手本を示したと解釈することもできそうです。
もしもアナグマのヘルパー♂が母子と同居していれば、イノシシを撃退したり、幼獣を守ったりしたでしょうか?

♀が走り回ってカッ♪と鳴いたのが警戒声なのかな? 
アナグマが発する鳴き声のレパートリーの中で警戒声が分かっているのなら、録音した警戒声をスピーカーから再生すると、アナグマは巣穴に一目散に逃げ込むはずです。
ニホンアナグマに対して、そのようなプレイバック実験は行われていないようです。



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