2025/07/31

水浴びの好きなフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬

シーン0:6/17・午後12:25・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼下がりにたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出した浅い水溜りを野生動物や野鳥が水場として利用するので、自動撮影カメラ(旧機種)で見張っています。 

フクロウStrix uralensis)の水浴シーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/18・午後22:12(@0:04〜) 
ある晩に、画面左端にそびえ立つホオノキ高木の幹の陰で、水場に降り立ったフクロウが羽ばたきました。 
しばらくすると、中洲にピョンと飛び移り、監視カメラをにらみつけました。 
再び左(死角)の水溜まりにピョンと入水し、行水を始めたようです。 


シーン2:6/20・午後19:54(@0:37〜) 
2日後の晩にもフクロウが水溜りの対岸に来ていました。 
周囲を見回して警戒しています。 
ときどきコウモリが飛来します。 

奥の水溜まりにピョンと入水すると、足を浸しました。 
その場でグルグル回りながら足踏みしているのは、泥底を深く掘り返しているのではないかと私は想像しています。 
水浴前にそんなことをしたら、底の泥が巻き上がって水が濁ってしまうはずですが、フクロウは気にしないようです(仕方がない?)。 

やがてフクロウは泥水で洗顔を始めました。 
水溜りに身を沈めたフクロウが周囲を見回したところで、90秒間の録画が終わってしまいました。 


シーン3:6/20・午後19:59(@2:08〜) 
左(死角)の水溜まりでフクロウが水浴していました。 
足踏みしながら顔を水面につけて素早く左右に振り、洗っています。 
我々ヒトと違って両手を使えない鳥の洗顔は、汚れを落とすのが大変そうです。 


シーン4:6/20・午後20:04(@2:56〜) 
いつの間にか対岸に上陸していたフクロウが監視カメラに背を向けていました。 
その場で軽く身震いしてから、奥に飛び去りました。 
他の種類の鳥と違ってフクロウでは水浴後の羽繕いを撮れたことがないのですが、水場ではなく、どこか安全な止まり木に移動してからやるのでしょうか。 


シーン5:6/20・午後21:02(@3:06〜) 
水溜りの中洲にフクロウが着地していました。 
羽毛がボサボサなのが気になります。
一部の羽根が擦り切れているように見えます。 
換羽期なのか、それともまさか幼鳥ですかね? 
フクロウ観察歴の浅い私にはよく分かりません。 

左にピョンと跳んで死角の水溜まりに入りました。 
水浴を済ませたフクロウが右にピョンと跳んで中洲に戻ってきました。 
軽く身震いしてから、右上へ音もなく飛び去りました。 


シーン6:6/20・午後21:14(@3:59〜) 
奥に設置した別の監視カメラの赤外線LEDが眩しく点灯しています。 
中洲の左端に来ていたフクロウの後ろ姿が写っています。 

やがて警戒を解くと、左の水溜まりに入水し、死角に消えました。 
水浴後に中洲にピョンと戻ってきたフクロウは身震いして周囲を見回してから、右上へ飛び立ちました。 


シーン7:6/20・午後21:34(@4:46〜) 
左の画角外の水溜まりで、フクロウが水浴びをしていました。 
珍しく歩いて中洲に上陸すると、身震いしてから奥に飛び去りました。 


シーン8:6/20・午後21:54(@5:37〜) 
フクロウが、中洲の左に着陸していました。 
周囲を見回して警戒してから、左の死角の水溜まりにピョンと入水。 


シーン9:6/20・午後21:56(@5:57〜)
行水を終えてさっぱりしたフクロウが、左の死角からピョンと跳んで中洲に上陸。 
周囲を警戒してから、再び左の死角の水溜まりに入りました。 


シーン10:6/20・午後22:05(@6:53〜)
中洲に降り立っていたフクロウが、周囲を見回してから左へピョンと2回跳んで入水すると、死角で行水を始めました。 
中洲にピョンと上陸すると、身震いして飛び立つ寸前に録画が終わってしまいました。 

どこか遠くでヨタカ♂(Caprimulgus indicus jotaka)がずっと鳴いていた♪のですが、YouTubeにアップロードした動画では再エンコードのせいか聞き取れないかもしれません。 

関連記事(9年前の撮影)▶ ヨタカ♂(野鳥)の鳴き声♪と声紋解析 


シーン11:6/20・午後22:17(@7:50〜)
再び中洲の左端に来ていたフクロウが、左の水溜まりにピョンと跳んで入水すると、チャプン♪と水音が聞こえます。 
死角で水浴を終えたフクロウは、再び中洲にぴょんと跳んで上陸。 
顔を素早く振って水気を切ると、水溜りの対岸に飛んで移動しました。 
飛び去る瞬間まで見届けられずに、録画終了。


※ 水音や羽ばたきなどが聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


【考察】
フクロウの個体識別ができていないのですけど、同一個体が通っているとすると、一晩でかなり頻繁に水浴していることになります。
きれい好きのフクロウは、「風呂キャンセル界隈」とは無縁のようです。
狩りをする度に汚れを落としに来るのでしょうか?


つづく→

2025/07/30

子連れのニホンカモシカ♀が雨の日に山中の湿地帯を迂回し、灌木に眼下腺でマーキング【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/17・午後12:50・晴れ(@0:00〜) 
山中で湧き水が滲み出す湿地帯を自動で見張っています。 


シーン2:6/23・午後6:57・雨天(@0:04〜) 
雨がしっかり降り続く朝にニホンカモシカCapricornis crispus)の母子が左奥のスギ植林地から湿地帯に現れました。 

幼獣が手前で立ち止まって頭を下げ、下生えを採食しているようです。 
水を飲みたいのなら、水溜りまで来るはずです。 

母親♀は湿地帯には立ち寄らず、迂回するように灌木の間の獣道を通って奥へ向かいます。 
置いていかれそうになった幼獣は、慌てて母親の後を走って追いかけます。 

灌木の葉裏に眼下腺を擦りつけてマーキングしていた母親に幼獣が追いつきました。 
母親♀が先行し、幼獣が元気に走って追いかけます。 
ニホンカモシカ♀の縄張り宣言行動を1.5倍に拡大した上でリプレイ(@0:42〜)。 
後に現場検証しても、カモシカ♀が眼下腺分泌物で匂い付けした灌木の樹種は分かりませんでした。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

ジムグリが死んでいた!

 

2024年6月下旬・午後13:30頃・くもり 

私が里山の林道を登っていると、三叉路に近い地点のわだちジムグリ(Elaphe conspicillata)が横たわっていました。 
周囲はスギと雑木の混交林だったと記憶しています。
ジムグリの背面は地味な焦げ茶色で、スギなどの落葉落枝が散乱する地面に対して保護色になっています。 
体が波打ったり途中でぐるっと巻いていたりと、複雑な体勢のまま静止しています。 
私が恐る恐る小枝でつついても動かず、死んでいました。 
素人目には死骸に目立った外傷はなく、死因が不明です。 
死骸を好むハエやシデムシなどが未だほとんど集まって来ていないということは、新鮮な死骸のようです。 

15cm定規を死骸の横に並べて置いて採寸しました。 
横着せずに死骸をまっすぐ伸ばした状態で、巻き尺で体長を採寸すべきでしたね。 
その定規でヘビに触れても持ち上げても無反応でした。 
やはりジムグリは死んでいるようです。 
死後硬直はなく、持ち上げるとぐったりしていました。
(ジムグリは)危険を感じると総排出口から独特の青臭い臭いを出す[4]。(wikipediaより引用)
らしいのですが、私の鼻では無臭でした。 

苦労して死骸をひっくり返すと、腹面にも外傷は認められませんでした。 
腹面の鱗にはジムグリに特有の赤と黒の市松模様がありました。 
よく観察すると、市松模様があるのは腹板だけで、総排泄孔から下の尾下板にはありませんでした。 
派手な市松模様は捕食者に対する警告色として進化したのでしょうか? 
しかしジムグリは毒を持ちませんし、絶体絶命の際にわざわざ腹面を無防備に見せるのか疑問です。 
体軸に沿ってパンした接写映像から腹板を丹念に数えられそうだったのに、とぐろを巻いている部分の腹板が隠れているのが残念です。 
やはり真っ直ぐに伸ばした状態で撮影すべきでしたね。 
このとき私は手袋を持ってきておらず、素手で死骸に触れたくなかったのです。
(ジムグリの)腹板は雄が200-219枚、雌は206-227枚[6]。尾下板、雄に63-76枚、雌が59-72枚[6]。 (wikipediaより引用)

ヘビの中には、危険が迫ると擬死行動(死んだふり)をする種類がいます。 
ジムグリも擬死するかどうか気になり、Perplexity AIに問い合わせたのですが、擬死するという自信たっぷりの回答には裏付けがありませんでした。 
同じ質問を各社AI(gemini, perplexity, ChatGPT)に投げかけて回答を比較したところ、どれもなぜか頑固なハルシネーションを示しました。 


関連記事(8年前の撮影)▶ ジムグリの幼蛇を見つけた! 

私にとってジムグリは幻のヘビで、なかなか見つけられません。 
今回は珍しく新鮮な死骸だったので、解剖したり骨格標本を作ったりと有効活用できそうです。 
しかしこの時期私は他のプロジェクトが忙しすぎて余裕がなく、死骸を持ち帰りませんでした。 
(死骸専用の大型冷凍庫があれば、長期保存ができるのですけど…。)
後で思ったのですが、タヌキなどスカベンジャーが通る獣道にヘビの死骸を置き直して、屍肉を食べたり持ち去ったりするかどうかトレイルカメラで監視するのも面白そうです。 
それなら最初にセッティングだけすれば、後は無人カメラが自動で記録してくれるので、「果報は寝て待て」というお手軽な自由研究です。

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