2025/07/29

営巣地に転入直後に巣材を集めて運び込むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/11・午後13:26・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/11・午後14:10・くもり(@0:04〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)に2台の自動撮影カメラを設置して、定点監視しています。 

シーン1:6/22・午後22:50(@0:07〜) 
4匹の幼獣を引き連れて母親♀(右目<左目)が引っ越してきた直後です。 
1頭の幼獣が巣穴Rから外に出てくると、右へ駆け出しました。 

しばらくすると、母親♀が右から巣材を運びながら後ろ向きでセットに戻ってきました。 
どうやら転入直後に新鮮な巣材(寝床)が必要となり、早速集めてきたようです。 
林床の落ち葉を掻き集めながら、後ろ向きで帰巣Rしました。 
落枝を両手で持って効率よく(手際よく)落ち葉掻きしていたのは、果たして偶然でしょうか? 

その様子を付き添って見ていた幼獣も続けて入巣R。 


シーン2:6/22・午後22:54(@0:51〜)
広場の林縁近くに座って体を掻いていた母親♀の元に幼獣が歩み寄ると、幼獣に対他毛繕いしてやりました。 
母親♀は、別個体の幼獣bとすれ違いながら巣穴Rに入りました。 
幼獣2頭が巣外で取っ組み合いの遊びを始めました。 
その間、右上の林縁で別個体の幼獣が単独で採食しています。 

やがて、母親♀が巣内から顔を出すと、巣口Rに溜まっていた落ち葉を中に掻き入れました。(@1:35〜) 


シーン3:6/24・午前11:12:・くもり・気温24℃(@1:51〜) 
2日後の昼前にも巣材集めの行動が撮れていました。 
自然光下では、幼獣の毛皮は白っぽくクリーム色に見えます。 
その一方、成獣(母親♀)の毛皮は焦げ茶色です。 

巣口Lから母親♀が獣道を右上奥へ歩き出すと、1匹の幼獣がその後をついて行きます。 
母親♀が珍しく奥のヒメアオキ群落に分け入ると、落ち葉を掻き集め始めました。 

その間に3頭の幼獣は、帰巣Lしました。 


シーン4:6/24・午前11:14:・くもり(@1:51〜) 
続きが白黒映像に切り替わっていました。 
初夏の二次林は、林冠に葉が生い茂って昼間も日照が乏しいので、トレイルカメラが間違えてモノクロの暗視モードで起動してしまうことがあるのです。 

母親♀は後ろ向きで入巣Lしながら、前足で掻き集めた大量の落ち葉を搬入しています。 


シーン5:6/24・午前11:17:・くもり(@1:51〜) 
次に監視カメラが起動したときには、フルカラーに戻っていました。 
(薄明薄暮で周囲環境の照度が閾値だと、白黒→フルカラー→白黒→…と交互に切り替わります。)

巣口Lにこぼれ落ちていた巣材の残りを、母親♀が巣内に掻き入れています。 
搬入した巣材には、枯れた落ち葉だけでなく、ヒメアオキの青々とした葉も含まれていました。 
もしかすると、常緑樹の葉には清々しいアロマ効果や防虫効果があるのかもしれません。 

再び母親♀が巣口Lに顔だけ出し、巣口Lに残っていたヒメアオキの枝葉を咥えて中に引き込みました。 


シーン5:6/24・午前11:21:・晴れ(@3:21〜) 
母親♀が巣穴Lから左外に出て次の巣材を集めに行くシーンは撮り損ねたようです。 
左から後ろ向きで巣穴Lに戻ってくると、掻き集めた新しい巣材を搬入しました。 
今回の巣材には広葉樹の緑の生葉が含まれていました。(マルバゴマギかな?) 
細長い落枝も構わず一緒に運び込んでいます。 

その間、幼獣たちは巣材搬入作業の邪魔にならないように、巣内に留まっていました。 


※ アナグマの鳴き声や巣材集めの物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その1)イモムシの捕獲

2024年6月中旬 

野生動物や野鳥を隠し撮りするために、フィールドにトレイルカメラを設置すると、夜行性のザトウムシに悩まされます。 
なぜかトレイルカメラのレンズの上に被さるように居座り、極細の歩脚が目的の被写体を遮ってしまうのです。(お邪魔虫) 
常夜灯なら走光性で誘引される昆虫を待ち伏せして捕食するクモを見かけるので理解できるのですが、トレイルカメラは赤外線LEDがときどき点灯するだけなので、何がザトウムシの目的なのかさっぱり分かりません。 
ほんのり発熱するトレイルカメラが心地よいのでしょうか。 

関連記事(代表的な事例)▶  


ザトウムシに恨みはありませんが(むしろ私は好きな虫です)、なんとかトレイルカメラに近寄らせない方法はないか、ずっと思案してきました。 
殺虫剤や防虫スプレー(虫除け、忌避剤)を噴霧する方法はやりたくありません。 
長期間効果が持続するほど毒性の強い薬剤をフィールドに大量散布したら生態系を破壊することになりますし、なにより嗅覚の鋭い哺乳類(野生動物)が異臭を嫌って寄り付かなくなってしまうことが予想されるからです。 

害虫(害獣)駆除でよく使われる粘着トラップを設置することをようやく思いつきました。 
ニホンアナグマの営巣地(セット)がある平地の二次林で試してみましょう。 
トレイルカメラを挟んで幹の上下にガムテープを巻くだけの簡単な対策です。 
ただし、ガムテープの粘着面を上にしておくのがポイントです。 
極細の足で幹を伝い歩いてザトウムシがトレイルカメラに近づこうとすると、ガムテープの粘着面に足がくっついて動けなくなる、という作戦です。 
ガムテープは紙製ではなく、少し値段が高くても布製のタイプを選びます。 
ガムテープは茶色系なので、木の幹に巻きつけても、林内ではあまり目立ちません。 
私はトレイルカメラを立木の幹にベルトで固定することが多いのですが、ザトウムシは幹を下から登ってくるのか、それとも樹上から降りてくるのか、予想がつきません。 
そこで、カメラの上と下の両方に粘着トラップを設置してみます。
ガムテープには特有の異臭が多少はあるのかもしれませんが、防虫スプレーよりは遥かにマシでしょう。 
何週間も野外に放置すれば、ガムテープの異臭も自然に抜けるはずです。

2024年6月下旬 

15日後に再び現場入りして、トレイルカメラを保守点検しました。
撮れた動画を確認すると、この虫よけが奏功したのか、ザトウムシの邪魔な映り込みが全くなくなりました。 

風雨に晒されてガムテープの粘着性が低下していましたが、張り替えずにこのまま続行します。 
微小なアリ(種名不詳)がガムテープの粘着面を歩いて横切り木に登るのを目撃したのですけど、証拠映像を撮るのが間に合いませんでした。 

2台設置したトレイルカメラのうち、1本の立木で粘着トラップに囚われていたのは、想定したザトウムシではなく、蛾の幼虫(イモムシ、芋虫)でした。 
トレイルカメラの下ではなく上に巻いた粘着テープに2匹のカラフルな尺取り虫が付着したまま死んでいました。 
つまり、幼虫は幹の上から降りてきたことになります。 
木の葉を食べて育った幼虫が、地中で蛹化する生活史なのでしょうか?(調べていません) 
1匹の幼虫は死ぬ前に、茶色くて濃い消化液を口から吐き戻していました(自衛のため?)。

撮れた写真からGoogleレンズで画像認識させると、ヒメマダラエダシャクAbraxas niphonibia)の幼虫らしい。 
幼虫の食餌植物はニシキギ科らしく、確かにツルウメモドキの蔓が林内の立木によく巻き付いています。 
この時期にAbraxas属の成虫(マダラエダシャクの仲間)を林内でたまに見かけます。 

巻き添えの被害にあって死んだ芋虫には申し訳ないのですが、生態系への悪影響は少なそうなので、この粘着トラップ作戦をしばらく続けてみます。 

粘着トラップに捉えられて動けなくなった虫を野鳥が次々に捕食しているかもしれない(証拠隠滅)ので、捕獲数をかなり過小評価しているかもしれません。


つづく→

砂利道で休み、準備運動後に飛び立つクジャクチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月下旬・午後13:55頃・くもり 

里山の砂利が敷かれた林道で、美しいクジャクチョウInachis io geisha)と出会いました。 
翅を全開に広げて砂利道に静止していますが、曇天で日差しがないので、体温を上げるための日光浴ではなさそうです。 

翅に破損がない、きれいな個体でした。 
さすがに越冬明けの個体ではなく、羽化直後の個体と思われます。 
寒冷地では年一化なのだそうです。 

腹部をかすかに上下動させています。 
途中から翅をピクピクと動かし始めたのは、飛び立つ前の準備運動なのでしょうか? 
やがてクジャクチョウは翅を閉じて、小刻みに翅を震わせています。 
赤く美しい翅表が見えなくなり、黒い地味な翅裏を見せてくれました。 
タテハチョウ科なので、昆虫なのに脚は4本しか見えません。(前脚が退化している) 

準備運動で体温が十分に上がったのか、素早く飛び去りました。 
温度計を持ってこなかったので、このときの気温は不明です。 
私の体感では、別に肌寒い日ではありませんでした。 
大型の蛾ならともかく、気温の高い初夏に飛翔前の準備運動が必要とは知りませんでした。 
クジャクチョウは北方系の蝶なので、気温の低い山地でも活動できるように適応しているのでしょう。 

クジャクチョウは飛び立っても、砂利道の林道を少し往復しただけで、ほぼ同じ地点に着陸する印象でした。 
縄張りを張っているのでしょうか?(占有行動)
クジャクチョウの成虫は外見に性差が乏しく、フィールドで単独個体の性別を見分けるのは至難の技なのだそうです。

少し飛んだだけで、砂利道の少し離れた地点に留まり直しました。 
今度は斜め前方から撮れたのですが、クジャクチョウはゼンマイ状の口吻を縮めたままでした。 
小石を舐めてミネラル摂取している訳ではありません。 

クジャクチョウが飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:02〜) 
閉じた翅を小刻みに震わせていたのですが(準備運動?)、警戒を解いたのか、翅を全開に戻しました。 
急に力強く羽ばたいて、飛び立ちました。 


※ 説明のために、撮れた映像素材の順番を入れ替えました。 
本来なら、冒頭のただ翅を広げて静止しているだけの退屈なシーンは編集でコンパクトにカットすべきなのは分かっています。 
久しぶりに出会えた憧れのクジャクチョウが息を呑むほど美しく、見とれてしまったので、あえてノーカットでお届けします。 

もう細かいことは覚えていないのですが、「林道を下山中に複数個体を撮影」と野帳には書き残してあります。



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