2022/11/13

ブラックベリーの完熟果実から吸汁するモンスズメバチ♀

 

2022年8月上旬・午前10:20頃および午後17:00頃・くもり 

民家の庭に植栽されたブラックベリー(=セイヨウヤブイチゴ)の群落で果実(液果)が熟すと赤から黒くなります。 
甘い熟果を目当てに様々なスズメバチ類が集まり、食害していました。 
どの個体を撮るか目移りするぐらいでしたが、まずはモンスズメバチVespa crabro)を紹介します。 

ワーカー♀が黒い熟果を噛んで滲み出る果汁を舐めています。 
齧られたブラックベリーには食痕が残ります。 
ブラックベリーを大規模に栽培する農家にしてみれば、せっかく熟した液果を食害するスズメバチ類は害虫扱いになってしまうでしょう。 
同じ日の夕方に再訪しても、モンスズメバチ♀は夢中で吸汁していました。 
一度モンスズメバチ♀が大顎でブラックベリー熟果から一粒をもぎ取って咥えたのですが、 そのまま惜しげもなく落として捨てました。 

吸汁しながら排尿するのではないかと期待して長撮りしてみても、モンスズメバチ♀のオシッコは観察できませんでした。 
最後はキイロスズメバチ♀が飛来したものの、餌をめぐる争い(占有行動)にはならずに近くの別なブラックベリー熟果に降り立ちました。 


他にはショウジョウバエの仲間とキンバエの仲間もブラックベリーの甘い香りに誘われて熟果に来ていました。 
餌資源が潤沢にあるので、モンスズメバチ♀は横に居るキンバエを追い払うことはしませんでした。 
キンバエもモンスズメバチ♀が近づいたら少し横にどくだけです。

2022/11/12

隻眼のハクビシンは川の洪水を生き延びたか?【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 仲間を待つ間に夜の獣道で毛繕いするハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年8月上旬 

トレイルカメラで川沿いの獣道を監視していると、集中豪雨による川の増水前後に常連のハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が登場しました。 

シーン1:8/3・午前3:47 
2頭のハクビシンが相次いで左から(上流から)歩いて来ました。 
おそらく♀♂つがいだろうと想像しているのですが、私には性別を外見で見分けられません。 

右目が潰れている(失明した)隻眼の個体は、いつものように健常個体のパートナーに先導してもらっています。 
立ち止まってコンクリート護岸に生えた下草の匂いを嗅いでから右へ(下流へ)立ち去りました。 

ハクビシンの家族群は少なくとももう1頭いたはずです。 
子別れした後なのかな? 

その日の晩から激しい大雨が降り続き、川の水位が急上昇しました。 
増水した川の水がコンクリート護岸を越えて河川敷へと氾濫する前に、水位が下がり始めました。 


シーン2:8/6・午後21:30頃 
川の増水がすっかり引いた3日後、ハクビシンが右から(下流から)通りかかりました。 
両目が白く光っている健常個体です。 
そのまま左へ(上流へ)立ち去ったと思いきや、ハクビシンはすぐに獣道を引き返してきました。 
左から右へ(上流から下流へ)カメラの前を一気に駆け抜けました。

顔見知りのハクビシンが水害(洪水)を無事に乗り切ったのは喜ばしいことですが、片目というハンディキャップを持つパートナーがカメラに写らなかったのは気がかりです。
両眼視ができないと距離感が掴めませんから、不測の事態で何か障害物を咄嗟に飛び越えないといけないときや木登りなどに支障が出るはずです。
(隻眼の個体が珍しく先に通過してトレイルカメラが撮り損ねた可能性もなくはありませんが…。) 
その後、都合によりトレイルカメラをこの調査地点から撤去してしまったので、隻眼ハクビシンの安否は不明のままです。

 

タヌキの溜め糞場に浅いトンネルを掘って隠密行動するオオセンチコガネ【10倍速映像】

 

2022年7月下旬・午後14:30〜15:05頃・
前回の記事:▶  
タヌキの溜め糞場から糞の欠片を後ろ向きに転がして運ぶオオセンチコガネ 
トレイルカメラが捉えたオオセンチコガネの糞転がし行動【5倍速映像】

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞場sをトレイルカメラで監視しています。 
カメラの電池を交換するために現場入りすると、タヌキの糞が残されていました。 
黒い泥状の下痢便が乾きかけています。 

ピンク(赤紫)の金属光沢に輝くオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)が1匹だけ溜め糞場sで活動していました。 
私が近づくとノソノソ歩いてスギ落葉の下に潜り込み、隠れてしまいました。 
スギ落ち葉の下におそらくオオセンチコガネの巣があるのでしょう。 
その後、地表には現れませんでした。 
どうやら見に来る時間帯が遅過ぎたようです。 
他にはニクバエの仲間やメタリックグリーンのキンバエの仲間が糞塊に集まっています。 

スギ林の薄暗い林床でときどき溜め糞がモコモコと上下動するので、糞虫が地中で活動していることは間違いありません。 
私がトレイルカメラの電池交換をしている間に、溜め糞の横に三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください(@0:24〜)。 

溜め糞から飛び去ったイチモンジチョウが戻って来ることを期待したのですが、予想は外れ、長撮りしても戻りませんでした。
▼関連記事(同所同日に撮影) ホンドタヌキの溜め糞から吸汁するイチモンジチョウ
ハエ類が集まりタヌキの糞を舐めているだけかと思いきや、タイムラプス映像を見直すと意外に面白い活動が繰り広げられていました。 
画面の奥(上)にあるスギ落葉の下から赤紫のオオセンチコガネが地表直下の浅いトンネルを掘り進めて糞塊の下に忍び寄り、地表に姿を現しました。 
スギ落葉の下を徘徊してから、糞の下に潜り込みました。 
糞塊の右上など他の場所でも地面がモコモコと動いているのは、別個体の糞虫がトンネル内で活動しているのでしょう。 
リアルタイムの観察では気付けなかった(見落としていた)現象です。 
通りすがりに溜め糞を一瞥しただけでオオセンチコガネが居ないと判断するのは軽率なのだと分かりました。
溜め糞をほじくって真面目に糞虫を探す必要があるのですが、今季の私は動画撮影を優先することに決めているので、現場を乱したくありません。

昼間のオオセンチコガネは、野鳥などに捕食されないようにトンネル経由で糞の欠片を自分の巣穴へ運搬しているのかもしれません。 
天敵対策だとすれば、もっと長時間の微速度撮影をしたら、地表に糞虫の姿が見えなくても糞塊は徐々に減る様子が記録されるはずです。 
溜め糞場の近くでウロウロしている私を警戒してオオセンチコガネが地表に出てこないのだとしたら、捕食圧が高いことが予想されます。 
溜め糞場に通う野生動物や野鳥が糞虫を捕食したら面白いのですけど、トレイルカメラにそのような決定的瞬間が写るかどうか、楽しみです。

 舘野鴻『うんこ虫を追え(たくさんのふしぎ2022年6月号)』によると、
オオセンチコガネが活発に活動するのは、春と秋でした。もし春の観察に失敗すると、次の秋まで待たなければなりません。時間はあっという間にすぎていきました。(編集部より)
夏はオオセンチコガネの活動が低調なのでしょうか? 
この本の筆者と私は観察フィールド(地域と植生)がかなり違いますし、調べ方のアプローチも違います。
本に書いてあるオオセンチコガネの習性がどれだけ一般的なのか分かりません。 
実は、この本に書かれた筆者の(暫定的な)結論にちょっと納得できない(私の観察結果とずれている)点がいくつかあるのです。
例えば、この本では傾向としてセンチコガネの生息地が森林性でオオセンチコガネが草原性だと書いています。(棲み分け仮説)
今回私が観察している溜め糞場sは山林にあります。
また、雑食動物であるアナグマやタヌキの糞を与えてもオオセンチコガネは巣内で育児塊を作らなかった、と同書には記されています。(作るのはシカやウシなど草食動物の糞を与えたときだけ。)
私はタヌキの溜め糞でセンチコガネとオオセンチコガネを見つけたものの、アナグマの溜め糞では未だ見つけたことがありません。
私がこれまで夏に観察してきたのは、オオセンチコガネの成虫が獣糞から育児塊を作るためではなく、成虫が自分で獣糞を食べるための貯食活動なのかな?
偉大な先人の観察記録をありがたく参考にさせてもらいますが、結局のところ、自分のフィールドのことは自力で解明するしかありません。 
私は未だ糞虫の観察歴が浅いので、追試するだけで何年もかかりそうです。
オオセンチコガネが巣穴の奥でタヌキの糞を材料として育児塊を作ったかどうか、今季の私は発掘調査で確認できていません。 
本格的に調査するなら、山中でも牧場など糞虫の個体数が多いフィールドを選ぶべきかもしれません。

つづく→

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