2020/11/08

モンスズメバチの巣がある樹洞内を夜に覗いてみると…【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#2

▼前回の記事 
八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチの門衛♀が近寄るアリやハエを撃退

2020年8月上旬・午前2:00頃・晴れ・外気温23.6℃・湿度78% 

2日後の深夜(草木も眠る丑三つ時)にモンスズメバチVespa crabro)が営巣するヤエザクラ(八重桜)の木をそっと見に来ました。 
モンスズメバチは夜行性とされているのに、外役ワーカー♀がなぜか1匹も活動していませんでした。
巣口を守る門衛役のモンスズメバチ♀の姿もありません。 
動画の冒頭で、樹洞の上縁からゲジが外の幹に這い出てきました。(@0:06) 
門衛のモンスズメバチ♀が不在の代わりに、樹洞付近の幹には多数のワラジムシPorcellio scaber)が徘徊しています。 
昼間にモンスズメバチの巣が駆除されてしまったのか?と嫌な予感がします。

赤外線の暗視カメラで樹洞の中を覗いてみると、在巣の蜂は無事でした。 
カメラを樹洞内に差し込むまで多少ガサゴソと物音を立ててしまったのに、蜂は意外と落ち着いていて、暗視カメラを目掛けて飛びかかってくることはありませんでした。 
昆虫の目に赤外線は見えませんから安全です。 
対スズメバチ専用の防護服は高嶺の花ですが、万一、撮影中に蜂が飛びかかってくることを用心して、白い服を着用してきました。 
後半は赤外線投光器2台を樹洞の底に置いて上の巣盤を照射しながら撮影しました。 
私はかなり慎重派なので、もしモンスズメバチが夜中も活発に巣から出入りしていたら勿論、刺される危険を冒して巣内を撮影することはなかったでしょう。 

樹洞は幹の内部で更に上まで侵食されており、その天井に多層の巣盤が吊り下げられていました。 
地面から巣口までの高さは約92cm。 
巣盤はほぼ剥き出しの状態で露出していましたが、これから天井部から下に向って巣盤全体が球状の外皮で覆われつつあるようです。  
樹洞の開口部を上から一部塞いでいる外皮に何の意味があるのか不明です。 
巣内の温度調節や外敵侵入防止にしても中途半端な気がします。 

樹洞内を覗くと、剥き出しの巣盤(大小2段構造)上で多くの成虫♀が覚醒していました。 
巣内で寝ている成虫♀もいます。 
在巣の成虫は計14匹ぐらい見えました。 
巣盤の隙間に隠れている個体も含めればもっと多くなりそうです。 
巣盤に居る♀のうちどれが女王蜂(創設女王)なのか、私には見分けられませんでした。 
体格が明らかに大きいはずですが、巣盤の奥に隠れて寝ているのかも知れません。  
上段の巣盤の中央付近の育房にはまるまると太った老熟幼虫が見えます。 
起きているワーカー♀同士がキスを交わして栄養交換しました。

ワラジムシは樹洞内でも活動していました。 
モンスズメバチの巣に同居(居候)する「好雀蜂性」の虫と呼べるかな? 

蜂が意外に落ち着いていますし、赤外線による暗視映像は色味が無いので、補助照明を白色LEDに切り替えて撮ろうか迷いました。 
しかし夜行性のモンスズメバチを刺激したくないので、暗視映像だけで我慢します。 

私が野外でモンスズメバチの巣を見つけたのはこれで2例目になります。 

▼関連記事のまとめ(6年前に撮影した定点観察シリーズ) 
モンスズメバチの巣(クヌギ樹洞):2014年

6年前に山中のクヌギ樹洞で見つけたコロニーでは、
  1. 夜も外役ワーカーが忙しなく出入りしていました。
  2. 気温が下がっても昼夜を問わずに門衛が巣口付近で扇風行動をしていました。
▼関連記事(6年前の撮影@気温16℃) 
涼しい夜も巣口で扇風行動するモンスズメバチ♀【暗視映像】

軒下や樹上の開放空間に営巣する(吊り下げ型)コガタスズメバチの場合、外気温が30℃を越えると巣内温度を下げるためにワーカー♀が外皮上で扇風行動を始めます。
これは教科書通りで理解できるのですが、外気温16℃なのに扇風行動するモンスズメバチが不思議でなりませんでした。
今回は6年越しの謎を解き明かしたくて、確かめに来たのです。 
ところが樹洞の入り口付近をガードする門衛は1匹も居ませんでしたし、巣内でも扇風行動は見られませんでした。 
未だ観察例が少ないので、どちらが正常なのか結論は出せません。 
6年前の巣では温度調節(過熱防止)以外に何か特殊な必要に迫られて(例えば過密状態で酸欠の危機? 発酵した樹液を飲み過ぎて酩酊?)巣内に日夜送風していたのではないかと現時点では考えています。 
図鑑や書物に書いてあるほど現実のモンスズメバチの生態は決まりきっておらず、コロニーによって個性があるのかもしれません。 



 

2020/11/07

羽化中のガガンボを捕食するザトウムシからアオゴミムシが獲物を強奪

 

2020年8月上旬・午後15:40頃・晴れ 

水が干上がった小川の土手でザトウムシの仲間が白っぽいガガンボの一種に噛み付いて捕食していました。 
何となく当てずっぽうですが、この白っぽいザトウムシはモエギザトウムシLeiobunum japonicum japonicum)ですかね? 
白っぽい体のガガンボは未だ生きていて、身を捩って必死に暴れています。 
餌食となったガガンボと一緒に何か細長い物を引きずっています。 
この謎の物体が何なのか私にはしばらく分からずに悩みました。 
ガガンボと糸で絡まっているようにも一瞬見えたので、近くのクモの巣にかかっていたイモムシ(幼虫)とガガンボを一緒にザトウムシが盗んできたのか?と想像したりしました。 
しかしよく観察すると、ガガンボ成虫が細長い蛹から羽化中なのだと分かりました。(※追記参照) 
引きずっていた細長い褐色の物体はイモムシではなくて、ガガンボの羽化殻(抜け殻)でした。 
ガガンボ成虫の脚が未だ完全に蛹から抜け切っていない無防備な状態で捕食者に襲われたようです。 

そこへアオゴミムシChlaenius pallipes)が右から駆け寄って来ました。 
いきなりガガンボの腹部に噛み付くと、後ろに引っ張り始めました。 
ザトウムシとの綱引きにあっさり勝つと、獲物を更に後ろへ引きずって運んで行きます。 
ガガンボの羽化殻も一緒に引きずられていきます。  
アオゴミムシは、少し離れた落ち葉の上で強奪した獲物を捕食開始。 

視力の弱いザトウムシは、急に獲物が消えて戸惑っているようです。 
長い歩脚で辺りを探りながら泥棒を追いかけました。 
食事中のアオゴミムシに近づくと、ガガンボの羽化殻やアオゴミムシに足先で触れてしばらく調べています。 
ザトウムシはようやく状況を理解したらしく、獲物を諦めて急に逃げ出しました。(戦意喪失) 
非力で武器も持たないザトウムシは、アオゴミムシと戦って獲物を取り戻す術が無いのでしょう。  

一方、獲物をまんまと強奪してきたアオゴミムシも無事では済みません。 
見慣れないアカアリ(種名不詳)のワーカー♀が何匹も集まってきたのです。 
早速、ガガンボの腹端に噛み付いているアカアリがいます。(やや大型の個体は兵隊アリ?)   
急にアオゴミムシがガガンボを咥えて運び始めました。 
集まってくる厄介な赤アリを嫌がったのでしょう。 
土手から転がり落ちると、ようやくアリから逃れて、落ち着いて食事を再開しました。  

河畔林を横切る夏の小川で人知れず壮絶な弱肉強食のドラマが繰り広げられていて、静かな感動を覚えました。 
この夏で一番思い出深い事件簿でした。



※【追記】
   
↑【おまけの動画】
「ガガンボ?羽化」byあたしまろ氏 
8倍速の見事なタイムラプス映像です。 
羽化が完了するまで無防備な時間が30分以上続いたそうです。
ガガンボの種類によっては水中で羽化するものもいるそうで(↑参考動画 by Parahucho氏)、ガガンボの世界も多様で奥が深いですね。



【追記2】
実は1年前の早春に、この小川で産卵するガガンボを観察しています。

▼関連記事

今回、周囲の土手をよく探していれば、他にも羽化中のガガンボを発見できたかもしれません。 
私はガガンボの生活史について全く無知だったのですが、断片的に少しずつ分かってくると嬉しいものです。



オオウバユリの花に集まり獲物を待ち伏せる3匹のニホンアマガエル

▼前回の記事 
オオウバユリ種子の風散布を実演してみる

2020年8月上旬・午後・晴れ 

スギ(杉)の林床に自生するオオウバユリの群落に定点観察に通っていると、待ちわびた花が梅雨明けでようやく咲き始めました。 
白い花を嗅ぐと微かな芳香がします。 
水平に伸びた花筒の根元にニホンアマガエルHyla japonica) が座っていました。 
香箱座りで喉をヒクヒクさせています。 
別の日(3日後)に見つけた個体も含めて計3匹のニホンアマガエルが別々のオオウバユリの花に座っていました。 
これが偶然とは考えられません。 
オオウバユリの花は丈の高い茎の上部につきますので、アマガエルはわざわざ垂直の長い茎をよじ登ってきたことになります。 
オオウバユリに訪花する昆虫を狩るために、アマガエルは虎視眈々と待ち伏せしていると思われます。 
しかしアマガエルが座っている向きはまちまちで、必ずしも開花した花の方を向いているとは限りませんでした。 
花とは逆に茎の方に向いている個体は、飛来する訪花昆虫ではなく茎を登ってくる徘徊性昆虫を狙っているのでしょうか? 
周囲に合わせた体色(保護色)は個体によって異なり、くすんだ緑灰色の個体と黄緑の個体がいました。  

アマガエルを私が人差し指で軽くつつくと、オオウバユリの花から林床に跳び下りました。 
華麗な跳躍シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
予めアマガエルの体の何処かに個体標識(マーキング)  してから飛び降りさせて、再びオオウバユリの花まで登り返すかどうか確かめたら面白そうです。

果たして、オオウバユリにはどんな昆虫が訪花するのでしょうか? 
こんな薄暗いスギ林の中に来る虫は少ない気がします。 
日当たりが悪いせいか、黄変しているオオウバユリの葉も多いです。 
葉は虫食い穴(食痕)だらけで、字書き虫の仕業と思われる斑模様も見られました。  

つづく→ニホンアマガエルがジャンプをためらう理由とは?【HD動画&ハイスピード動画】
ニホンアマガエルa@オオウバユリ花
ニホンアマガエルa@オオウバユリ花・全景
ニホンアマガエルb@オオウバユリ花
ニホンアマガエルb@オオウバユリ花・全景



【おまけ1】 
ジョロウグモ♀♂(Nephila clavata)の幼体がオオウバユリの花の下にひっそりと網を張っていました。  
これも訪花昆虫を待ち伏せする捕食戦略です。
ジョロウグモ(蜘蛛)@オオウバユリ花

【おまけ2】 
以下の写真は、同じ場所で7月下旬に撮影したオオウバユリの蕾です。

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