2020/07/02

オナガガモ♂の求愛誇示と♀のけしかけ(冬の野鳥)



2020年1月上旬・午後15:45頃・くもり

冬の川面で6羽のオナガガモ♂(Anas acuta)が1羽の♀を取り囲んでいます。
♂はときどき首を上下に伸縮させて♀に求愛しています。
これが本に書いてあった「あご上げ」や「げっぷ」ですかね?
本の解説を読んでも挿絵を見ても、私にはこの2つの求愛誇示行動がどうも区別できません…。
♂αが前方のライバル♂の尾羽根を嘴でつついて追い払いました。

囲い込む♂の行動は今までの観察と同様ですが、♀に注目すると新たな動きがありました。
取り巻き♂を引き連れた♀は川面をあちこち遊泳しながら、ときどき羽繕いしています。
そして♀は嘴を背中越しに斜め下に振る動作を頻りに繰り返していました。
これが本に書いてあった「けしかけ」ディスプレイですかね?
「けしかけ」中に♀が低い鳴き声を忙しなく発したかどうか、私には聞き取れませんでした。
川の水音や周囲で鳴き騒ぐオナガガモ大群の喧騒に掻き消されてしまうのです。
高性能の集音マイクを使えば解決するのかな?

福田道雄『人前で求愛ディスプレイをするオナガガモ』によると、

 観察していて、「囲い込み」で取り囲まれた♀が、どの♂を選んだかは、なかなかわかりません。♀は「囲い込み」が始まったときにはすでに♂を選んでいるか、数秒か数分のうちには選ぶと言われています。♀はときどき選んだ♂のほうに向きを転じることで選んだことを示します。そして、選ばれたことがわかった♂は、ほかの♂よりも「あご上げ」と「げっぷ」をより多く行うようになります。選ばれなかった♂は「水はね鳴き」と「そり縮み」をより多く行います。そして、1羽の同じ♂が、ほかの♂に向かって攻撃をしかける光景が次第によくみられ始めます。
 つがいができると、♂は顎をまっすぐに立てて頭の羽を膨らませ、後頭部が♀に見えるようにし、先導して泳ぎます。このディスプレイは「後頭さし向け」と呼ばれます。♀は、近寄る♂に背を向け、嘴を背越しに斜め下に振り、低い鳴き声をせわしく出しながら「けしかけ」のディスプレイをします。このディスプレイはカモの仲間に広く共通する♀の代表的なディスプレイです。なお、この二つのディスプレイは、つがい形成のうえで重要な役割をはたすとされています。その後、つがいは群れから少し離れて過ごすことが次第に多くなり、ほかの♂もほとんど近寄らなくなります。  (ポピュラー・サイエンス・シリーズ『動物たちの気になる行動〈2〉恋愛・コミュニケーション篇 』p30より引用)

今回の動画で♀が繰り返している行動が「けしかけ」の誇示行動(ディスプレイ)ではないかと思うのですが、どうでしょう?
本書には「けしかけ」しているオナガガモ♀および「後頭さし向け」中の♂を描いた図(簡略化したスケッチ)もp31に掲載されているのですが、抽象化した静止画ではどうしても行動のイメージが湧きません。
最近出版された生き物関係の書籍では少しずつ行動を示す動画が添付されるようになりましたが、これからは必須になるでしょう。(動画サイトへのリンクを掲載するなど)

後半になると囲い込みに参加する♂が少なくなり、解散したように見えました。
しかし♀を先導して「後頭差し向け」する♂は見ていません。(私が見落としているだけ?)
最終的に♀がどの♂を選んだのか、観察歴の浅い私には見分けられませんでした。
この♀の動向をもっと長く撮り続けるべきでしたね。

※ いつものように動画編集時に手ブレ補正処理をすると副作用で不自然な映像になってしまったので、今回は止めました。
背景となる川面の波紋が手ブレ補正のアルゴリズムを惑わせてしまうようです。


2020/07/01

オオウバユリ種子の風散布を実演してみる



2020年2月中旬

平地のスギ(杉)林の薄暗い林床に立ち枯れしたオオウバユリを見つけました。

(ウバユリは)関東地方以西から四国・九州に分布する。中部地方以北・樺太・千島には大型の変種オオウバユリ( C. cordatum var. glehnii )が分布する。(wikipediaより引用)

完全に熟した実は割れていて、中には平べったい翼の付いた種子が詰まっていました。
枯れた茎を手で揺すると、乾いた蒴果が飛散しました。
オオウバユリの種子は、秋から冬の寒風に吹かれて分布を広げるのです。
そのために茎ができるだけ背高くまっすぐ伸びるのでしょう。

秋山恵生『Winter Field Guide Snow Forest 冬の森へ』というハンドブックによると、

 木ではなくユリの仲間です。地味な白い花のあとに、種子をいっぱい詰め込んだ実ができます。種を飛ばしたあとのサヤは、リースの材料としてよく利用されます。雪の降りはじめのころまでは、野に立っています。(p39より引用)
平らな種子には、薄く角のまるい三角形の翼があります。このためゆっくりと回りながら風に飛ばされていきます。(p54より引用)
オオウバユリの実は翼果ではなく蒴果(2つ以上の心皮が合わさっていて、縦に裂ける)に分類される。(p64より引用)



初夏になったらオオウバユリの花の写真を撮りに行くつもりです。


モミと桜の樹上で採食するエナガの群れ(冬の野鳥)



2020年2月上旬・午後14:50頃・晴れ

エナガAegithalos caudatus)の群れが桜並木(おそらくソメイヨシノ)と隣接する常緑針葉樹(おそらくモミ)の枝から枝へ忙しなく飛び回って採食していました。
冬芽そのものを食べるのではなく、樹皮の隙間に潜んでいる小さなアブラムシなど越冬中の昆虫を捕食しているようです。

入り組んだ枝葉の奥で動き回るのでピントを合わせる前に移動してしまうことが多く、難しい被写体でした。


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