2013/07/29

クロコガネの死骸を貪り食うコバネヒメギス?幼虫



2013年6月中旬

田んぼの農道で事件現場に遭遇しました。
初めは得体の知れない形状の黒い虫が動いておりギョッとしたのですけど、よくよく見るとクロコガネと思われる甲虫の死骸をヒメギスの一種※が食べているところでした。
このヒメギスは無翅なので未だ幼虫です。
死骸の右脇腹に大きな穴が開いており、ヒメギスはそこへ頭を突っ込んで夢中になって死肉を食しています。

そこへクロアリが通りがかり、ヒメギスの脚の爪先を噛んで逃げました。
噛まれたヒメギスは慌てて獲物の穴から後退りすると、ようやく頭を出しました。
戻って来たクロアリがクロコガネの脚を咥えて運ぼうとするものの、ヒメギスとの体重差は歴然としており綱引きでは勝負になりません
ヒメギスは獲物の穴に頭を突っ込んで食事を再開。

※ 図鑑『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』p108 で調べると、胸部背面にある独特の黒紋が素人目にはコバネヒメギスChizuella bonneti)の黒紋と似ている気がします。
しかしながら、そのような絵合わせが有効なのかどうか知りません。





映像の最後はヒメギスから獲物を取り上げて現場で検視。
クロコガネの内臓はきれいに食べ尽くされ干からびた状態です。









↑【おまけの映像】
腹部を内部からほとんど食い荒らされてもなお虫の息で歩き回るコフキコガネの衝撃映像を紹介してもらいました。
撮影者は鳥につつかれたと考えているようですが、私は内部寄生虫の仕業だと思います。
コガネムシ類の体内に捕食寄生する虫とは一体何でしょう?
寄生ハエ(ヤドリバエ科)や寄生蜂の仲間(例えばツチバチ科)ではないかと考えられます。
冒頭で私が観察した事例では、体内寄生者が腹部を食い荒らし脱出した後のクロコガネ死骸をコバネヒメギス幼虫が見つけて齧っていた(屍肉食性)と思われます。
コバネヒメギス幼虫が生きた健康なクロコガネ成虫を狩って捕食したとはとても考えられません。


ノアザミに訪花吸蜜するウラギンヒョウモン



2013年6月中旬

ウラギンヒョウモンFabriciana adippe)がアザミの群落で花蜜を吸っていました。
モンキチョウも飛んでいます。

ギンボシヒョウモンとウラギンヒョウモンの区別は紛らわしいのですが、図鑑『札幌の昆虫』p281を参考にしました。
次の特徴からウラギンヒョウモンと判明。

  • 後翅裏面 一番上の横列の銀色の紋が5個。
  • 銀紋3個が縦に一列に並ぶ。
  • 褐色紋の縦列がある。



アザミの方は、総苞に粘り気があったのでノアザミですかね?




2013/07/28

赤ダニに寄生されたハバチの幼虫【名前を教えて】



2013年6月中旬

道端の草むらで見つけたハバチの仲間の幼虫です。
薄い黄緑色でせっかくの保護色なのに、オレンジ色のダニが多数体表に取り付いており非常に目立ちました。
ダニは大きさにばらつきがあるようです。

ハバチ幼虫の頭部は薄い橙色で、目のような一対の黒点模様が左右にあります。
胸部・腹部の側面に疎らにある黒い点が種に特有の模様なのかと思ったのですが、左右対称でない黒点もあるので困りました。
個体差の変異なのか、あるいは体内寄生の副作用で生じたシミ(ホクロ)なのでしょうか?(※追記参照)

様々な草の葉を次々に移動して行きますが、摂食行動を始めないので食草の情報はありません。
未採集、未採寸。


【追記】
『昆虫を操るバクテリア (シリーズ共生の生態学)』p36によると、
大形の異物が昆虫の血体腔に侵入した場合には、大がかりな細胞性免疫反応の引き金がひかれ、その結果、異物は多くの血球がより集まって形成する、密な「カプセル」のなかに閉じ込められる。この反応は「包囲化作用(エンカプシュレーション)」と呼ばれている。包囲化作用はメラニン色素の沈着を伴うことも多く、産み付けられた寄生蜂の卵は、多くの場合包囲化作用をうけて窒息死してしまうものと思われる。







ランダムに記事を読む