2024/07/17

アナグマの空き巣に居候する虫を捕食しに通う秋のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月中旬〜下旬 

1017+18+25 


シーン0:10/12・午後14:38・晴れ・気温28℃(@0:00〜) 
シーン0:10/12・午後16:59・晴れ(@0:04〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで録画された現場の様子です。 
ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)を新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 


シーン1:10/17・午後17:02(@0:08〜)日の入り時刻は午後17:03。 
日没直前でかなり暗いのに、起動したトレイルカメラが暗視モードになりませんでした。 
自然光下では活動限界で画質が荒いのですが、動画編集時に自動色調補正を施してみたらタヌキの姿が見えるようになりました。 

ホンドタヌキ♀(Nyctereutes viverrinus) がアナグマの巣口Lを覗き込み、小さな虫を捕食しているようです。 
しばらくすると、奥に生えたヒメアオキ群落の奥を別個体♂のタヌキが右から回り込んでセットにやって来ました。 
獣道の横に生えたミズキの立木を通り過ぎる際に根元に排尿マーキングしました。 
このとき左後脚を上げて小便したことから、♂と判明しました。 
先に来ていた♀個体は♂の接近に気づくと、合流するまで獣道に座って待っていました。 
(2頭のタヌキが行動を共にしていたので、♀♂ペアだと推察しました。) 

♂が到着すると、♀は巣口Lで虫捕りを再開しました。 
合流した♂も巣口Lを覗き込んでいます。 
画質が荒くて、タヌキが捕食していた小さな虫の正体を見極められませんでした。 


シーン2:10/18・午後16:29(@1:08〜) 
翌日の夕方。
アナグマの巣口Rに来たタヌキが小さな虫を見つけたようで、夢中で捕食しています。 


シーン3:10/18・午後16:30(@2:08〜) 
もう1頭のタヌキがアナグマの巣口Rで合流していました。 
2頭のタヌキが巣口Rに執着している間に、別個体(3頭目)が奥の二次林からセットに登場しました。 
小さな虫が巣穴Rから何匹も逃げ出し、地上で素早く逃げ回っているようです。 
それを捕食しようとタヌキの3兄弟(姉妹?)が悪戦苦闘しています。 


シーン4:10/18・午後16:31(@3:08〜) 
アナグマの巣口Rに集まっていた3頭のタヌキは飽きてきたのか、1頭ずつ右に立ち去りました。 
もう1頭が立ち去る前に眼の前にあった細い落枝を甘噛みしたのは暇潰しなのかな?(@3:28〜) 
1頭だけが最後まで巣口Rに執着して居残りました。 


シーン5:10/20・午後14:16(@4:08〜) 
シーン6:10/23・午後13:36(@4:12〜) 


シーン7:10/25・午後16:56・気温15℃(@4:17〜)日の入り時刻は午後16:51。 
日没直後に2頭のホンドタヌキが連れ立って左から登場しました。 
先行個体がアナグマの巣口Lで小さな虫を次々と捕食している間に、後続個体が追い越して獣道を右奥へ立ち去りました。 
今回はミズキの立木を素通りしました。(排尿マーキングなし) 
カラスの群れが鳴き騒ぐ声♪が遠くから聞こえますが、今回のタヌキとは関係ないようです。 


シーン8:10/25・午後16:58(@5:11〜) 
続けて3頭目のタヌキが獣道を左から来たようです。 
落葉が積もった林床を跳んで逃げる虫を追いかけていますが、狩りの成否は不明。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
近所のタヌキがアナグマの空き巣に繰り返し通ってくるのは、巣穴を乗っ取ろうと虎視眈々と狙っているのではなくて、その中に潜む穴居性の昆虫を捕食するためなのだと分かってきました。
タヌキは遠慮しているのか、アナグマの巣穴の奥まで侵入することは滅多にありません。


謎の虫の正体が気になりますが、今のところ不明です。
冬越しのために多数の虫が巣穴に集結しているにしては、時期が早過ぎる気がします。
おそらくカマドウマの幼虫ではないか?と個人的には予想しています。

夜行性のため日中はこれらの隠蔽的な空所にいるが、夜間は広い場所を歩き回って餌を探す。夜に森林内を歩けば、この仲間がよく活動しているのを見ることができる(特に夏季)。(wikipedia:カマドウマより引用) 

今季(2023年)は実地調査できませんでしたが、来年の秋にはアナグマの巣穴に居候している虫について実際に調べてみるつもりです。
ナイトビジョンのビデオカメラやファイバースコープを巣穴の奥に突っ込んでみるだけでも何か発見がありそうです。

近くにあるタヌキの溜め糞場で糞分析をして、未消化のまま排泄された昆虫のクチクラ断片から捕食メニューを調べる方法もあります。
しかし、実体顕微鏡を買う必要がありますし、素人には難易度が高そうです。


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