2019年10月下旬・午後13:25頃・晴れ
郊外の道端に咲いたセイタカアワダチソウの群落で多数のツマグロヒョウモン♀♂(Argyreus hyperbius)が訪花していました。
いつもと少し違うフィールドに足を伸ばしてみたら、過去最多の目撃個体数で驚きました。
ここ雪国でツマグロヒョウモンは越冬できないはずなのに、近年の地球温暖化で北進の勢いが増しているのでしょう。
全く珍蝶では無くなり、もはや普通種です。
翅が無傷のきれいな個体ばかりなので、台風による迷蝶とは考えにくいです。
個体の密度が高ければ同種の異性が出会う確率も高まり、おかげで私も念願の求愛行動を観察することが出来ました。
ツマグロヒョウモンは前翅の斑紋が分かりやすい性的二型ですから、野外観察中でも容易に雌雄を見分けることが可能です。
前翅の表側(上面)が名前の通り「
♀が翅を全開にしてセイタカアワダチソウの花蜜を吸っていると、その周囲を♂が忙しなく探雌飛翔しています。
♂が♀を見つけて近づこうとすると、♀は嫌がってセイタカアワダチソウの花から離れ、横のコンクリートブロックに避難しました。
追いかけてきた♂がホバリング(停空飛翔)で求愛しても、♀は半開きの翅を小刻みに震わせながら腹端を少し持ち上げました。
これはシロチョウ科と共通の交尾拒否姿勢です。
脈なしと悟った♂は諦めて飛び去りました。
♀がセイタカアワダチソウの花穂に戻って吸蜜を再開すると、戻って来た♂が♀の背後でまたしつこく求愛を始めました。
ツマグロヒョウモン♂の前翅には他のヒョウモンチョウ類♂と同じく発香鱗と呼ばれる特殊な鱗粉があるのですかね?(手元の資料を調べても分かりませんでした。)
だとすると、♀の背後で停飛する♂は、発香鱗の性フェロモンを♀に嗅がせるために羽ばたいて風を送っているのでしょう。
ところが♀はすぐに交尾拒否姿勢になり、厄介な♂のセクハラから隠れようと逃げ回ります。
セイタカアワダチソウの花穂の下側に回り込めば、♀の特徴である翅表が上空から見えなくなるのでしょう。
♀に拒否された♂は強引に交尾することはなく、紳士的に飛び去ります。
しかしすぐにまた戻ってきて求愛を試みます。
求愛と交尾拒否が何度も繰り返されるので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:56〜)
スローモーションで見ると一層よく分かります。
ツマグロヒョウモンに限らず、蝶の求愛が成就して交尾が成立する一連の過程を私は未だ一度も見たことがありません。
♀は羽化直後に一度しか交尾しないのかな?
ツマグロヒョウモン♀@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜+交尾拒否姿勢 |
横のコンクリート壁に逃げて交尾拒否姿勢 |
ツマグロヒョウモン♀(左)@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜+交尾拒否姿勢+♂(右)@求愛飛翔 |
♂上、♀下 |
同じタテハチョウ科のキタテハ(Polygonia c-aureum)秋型もツマグロヒョウモン♀と一緒に吸蜜していましたが、別種なので互いに無関心でした。
大きさを比べると、キタテハ<ツマグロヒョウモン。
ツマグロヒョウモン♀+キタテハ秋型@セイタカアワダチソウ訪花吸蜜 |
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