2023年5月下旬・午前11:30〜午後13:10頃・
平地のスギ防風林に残されたホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の大きな溜め糞場wbc1を定点観察しています。 実際ここに複数個体のタヌキが代わる代わる通って排便していることをトレイルカメラで確認済みです。
多種多様な食糞性の昆虫(および捕食者)が糞塊に群がっています。
私が横に立っている間は警戒して隠れてしまう虫もいるので、三脚を立てて微速度撮影で長撮りしてみました。
(その間、私は現場を離れていました。)
鬱蒼としたスギ林の林床は、晴れた昼間でもかなり薄暗いので、予めカメラの設定でゲインを上げてから撮影します。
「うんちレストラン」に集まる魑魅魍魎が正午前後(1時間40分間)に活動する様子を10倍速の早送り映像でご覧ください。
多数の成虫が溜め糞上で活発に徘徊し、配偶行動(求愛および交尾)を繰り広げていました。
その恋愛ドラマだけ注目しても、交尾(マウント)中の♀♂ペアにあぶれ♂がしつこく横恋慕したりして、なかなか面白いです。
♂は♀の産卵まで交尾後ガード(配偶者ガード)しているのかもしれません。
クロボシヒラタシデムシの幼虫は三葉虫のような形ですが、幼虫よりも成虫の方が動きが素早い(歩行速度が早い)です。
途中から1匹のヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)が糞塊の中央部から表面に現れて徘徊を始めました。(@6:03〜) 最後はタヌキの溜め糞場wbcから離れて行きました。
もしかして産卵を済ませた♀なのかな?
糞塊を時計盤と見立てたときに、3時の位置から青紫色の金属光沢があるセンチコガネ(Phelotrupes laevistriatus)が1匹、溜め糞の表面に顔を出てました。(@1:51〜) 幼虫の餌として自分の巣穴にタヌキの糞を搬入するかと思いきや、すぐに奥へ引っ込んでしまいました。
その後もときどき巣口に出入りしているものの、頭隠して尻隠さずの状態です。
どうやら巣穴を奥に掘り広げているようです。
周囲を徘徊する他の虫たちも、隙あらばセンチコガネの巣穴に潜り込もうとしています。(穴があったら入りたい)
ハネカクシ類の成虫も溜め糞上をうろついていますが、肉食性で動きが素早いために、早回し映像では分かりにくいです。
食糞性のハエ類は、メタリックな青色や緑色に輝くキンバエ類が少数ながらも来ていました。
地味なハエ(ニクバエの仲間?)は種類を見分けられませんでした。
他には微小なハエが多数、溜め糞上で翅を開閉誇示しています。
溜め糞に産み付けられたハエの卵から孵化した幼虫(蛆虫)が多数、蠢いているはずですが、この映像では小さくてよく見えません。
ウジ虫は油断していると、ハネカクシの成虫に捕食されてしまいます。
ときどき黄色のハエが溜め糞の上を低空で飛び回っていますが、糞塊に着陸することはありません。
ベッコウバエかもしれませんが、おそらくキイロコウカアブ(Ptecticus aurifer)でしょう。
微小なアリ(種名不詳)も集まっていました。
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