2023年6月中旬
シーン1・6/11・午後19:41・(@0:00〜)
右の巣穴Rから親子で外に出てきたニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を跨いで追い越す際に軽く座って尻を擦り付けました。 臭腺や肛門腺で幼獣の背中に匂い付けしているのでしょう。(アロマーキング)
成獣が振り返ってカメラ目線になると、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)♀だと分かります。
♀は幼獣の毛皮を舐めてやりますが、幼獣は空腹ではないようで♀の乳首に吸いつこうとはしません。
♀が急に身を屈めて右の方を警戒し始めました。
幼獣をぴょんと飛び越えて右に突進すると、やがて右の林内からガガガッ、ギャギャギャッ♪と激しく吠えて威嚇する鳴き声が聞こえてきました。
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
アナグマの営巣地に近づいてきた他の野生動物を追い払ったのでしょう。
♀がこれほど激しい剣幕で追い払ったということは、謎の侵入者は、ホンドタヌキやホンドギツネ、ホンドテン、イエネコなどの捕食者が候補として考えられます。
(ヘルパー以外のアナグマ♂とニアミスしたのかもしれません。)
巣外に取り残された幼獣は、激しい喧嘩(威嚇)の鳴き声を聞くと、争いの元から慌てて少し遠ざかり、地面に身を伏せました。(警戒のフリーズ行動)
咄嗟に巣内Rに駆け戻って避難するだけの身体能力はまだ発達していないようです。
シーン2・6/11・午後19:43・(@1:00〜)
約45秒後に右から♀が意気揚々と営巣地(セット)に戻って来ました。
巣口Rで母子が無事に再会すると、♀は出迎えてくれた幼獣に対他毛繕いしてやります。
その後は残りの幼獣3頭も巣口Rに出てきました。
幼獣への対他毛繕いの合間に、母親♀は自分の体の痒い部分を後足で掻きました。
これまで2回ほど、夜の巣外に単独で放置された幼獣を観察してきました。
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もしかすると、その原因は今回のように、縄張り侵入者を撃退しに行ったから母親♀が一時的に不在だったのかもしれません。
だとすれば、ネグレクト(育児放棄)どころか幼獣を守るための行動なので、納得です。
幼ない我が子たちを守るとなったら♀は巣穴に籠城するどころか、積極的に攻撃に転じて天敵を追い払うことが分かり、驚きました。
つまり将棋の穴熊戦法は比喩として正しくない(アナグマの実態に即していない)ようです。 まるで穴に籠もった熊のようだ、という意味の戦法らしいです。
最近ではヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか疑問になってきました。