2022/11/09

タヌキが排泄したばかりの溜め糞に群がり吸汁する夜蛾【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬・午後21:08 

里山のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がスギ林道上の溜め糞場sで排便してから約15分後、トレイルカメラがコウモリの飛来に反応して起動しました。
関連記事 ▶ スギ林道を夜な夜な飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】
新鮮なタヌキの糞にいつの間にか3頭の夜蛾が集まって吸汁していました。 
蛾は変温動物なので、残念ながら飛来シーンはトレイルカメラに撮れていません。 
糞を舐めてミネラル成分を摂取しているのでしょう。 
赤外線の暗視映像で蛾の複眼が白く光って見えます。 
ときどき翅を羽ばたいて飛び上がるものの、黒々とした糞塊上で少し移動するだけでした。
 

やや遠くてはっきり見えないのですが、翅形から夜蛾ではなくキバネセセリBibasis aqulina chrysaeglia)という蝶と似ている気がします。 
ただし私の知る限り、キバネセセリは昼行性です。 
関連記事(1、14年前の撮影)▶  
タヌキの溜め糞にオシッコをかけて吸い戻しをするキバネセセリ♂ 
獣糞に集まるキバネセセリ
食糞性の謎の蛾を同定するためには夜に現場入りして張り込み、ストロボ写真を撮るしかありませんが、ここは危険なツキノワグマが出没するので無理はできません。
もしも排便しに来たタヌキと夜に鉢合わせして逃げられ、二度と溜め糞場に来なくなってしまったら本末転倒です。
ストロボ写真が撮れるトレイルカメラ(無人監視カメラ)をどこかで売ってるかな?
夜の樹液酒場に集まる蛾や夜の灯火下に集まる蛾については散々調べ尽くされていますけど、夜の溜め糞場に集まる蛾についてはあまり調べられていない気がします。
もし万一、溜め糞に夜行性の蛾が産卵していたら新発見!…と妄想が止まりません。
今回の夜蛾は、アナグマの糞ではなくタヌキの糞を選んで吸汁しているのでしょうか(糞の種類の嗜好性)。

林道の上空を別の夜蛾が何頭も飛び交っているのですが、糞便臭に誘引される動きは示さずに通り過ぎるだけでした。
おそらく蛾の種類が違うのでしょう。 
1時間10分後にトレイルカメラが再び起動した時には、タヌキの溜め糞から夜蛾は居なくなっていました。 
溜め糞場に集まる夜蛾をコウモリが捕食していれば非常に面白いのですけど、そのような証拠映像は撮れていません。

※ 後半だけ動画編集時に自動色調補正を施しています。

2022/11/08

2022年8月3日〜4日:集中豪雨による最上川上流域の水位変化【100倍速・トレイルカメラ暗視映像】

 

2022年8月上旬・大雨
気象庁は3日午後7時15分、山形県に『大雨特別警報』を発表しました。山形県で出されるのは、初めてです。大雨特別警報が出されたのは、米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、飯豊町の6つ。
川沿いの獣道を監視するために設置したトレイルカメラ(自動撮影カメラ)の安否を確かめに行くと、奇跡的に水没を免れていました。 
最上川の堤防が決壊した水害地域よりも上流の左岸です。 


トレイルカメラが記録していた動画の総撮影時間は1.5時間。 
インターバル撮影した訳ではなく、激しく動く川面や風で揺れる枝葉などでカメラのセンサーが頻繁に誤作動した結果です。 
大雨・増水時の野生動物の動向が気になるところですが、まずは急激な水位変化が分かりやすいように、100倍速の早回し映像に加工しました。 
もともと夜行性の野生動物を記録するために設置したので、タイマー設定で昼間は撮っていません。 
画面左が上流で、川の水は右に向かって流れています。

カメラを固定していたニセアカシアの木というのが水際に立っていたのです。
以前の増水で根際の土がごっそり流出しており、トンネルのようにえぐれていました。 
地盤がもともと不安定になっていたはずなのに、今回の増水でもニセアカシアの木が倒伏・流失せずに立っていたのには驚きました。 
映像を見ると、川の激流に洗われてもカメラを固定したニセアカシアの木はびくともせずに頼もしく耐えています。 
大風が吹いたら揺れるのに、今回の増水した川の水流では揺れませんでした。 

カメラが浸水しなかったということは、最大水深は150cmに達していないことになります。 
画面の手前から奥に向かって緩やかな上り坂の護岸となっていて、コンクリートのブロックが敷き詰められていました。
その斜面を登った先が河畔林(ニセアカシア、オニグルミ、柳など)と河川敷になっています。
その更に奥には、町を守る本格的な堤防が作られています。
この上流域では幸い、いわゆる河川敷までは冠水せず、堤防も決壊していません。 
停滞する線状降水帯がもたらした8月2日12時から8月3日19時までの降り始めからのアメダス総雨量は140mm(速報値)だったそうです。 
川の水位が下がるのも早く、4日にはすっかり収まっていました。 

次回からは、川辺の生き物が大雨の晩をどう過ごしたのか、トレイルカメラに写った映像をピックアップして紹介していきます。 

つづく→

 

↑【おまけの映像】
早回し加工しないで、素材をただ繋げただけの長編動画(1:29:43)をブログ限定で公開しておきます。
8/3 午前3:47に撮り始めたときには雨が未だ降っていません。
次に撮れた午後20:20には叩きつけるような大雨が降っていて、コンクリートブロック護岸の半分の高さまで川の水面がひたひたと迫っていました。
ゴーッという川の音が恐ろしげに聞こえ、流木が次々に流れて来ます。
護岸を横切る獣道は既に完全に水没しています。
カメラを少し斜め下に向けていたので、レンズに雨がかからずクリアに撮れました。
川の水位がみるみる上昇し、コンクリート護岸の上端から溢れそうになる寸前で低下に転じました。
撮り終わりは8/4 午後19:14。

雄蜂♂が羽化したセグロアシナガバチの巣

 

2022年7月下旬・午後17:10頃・くもり
前回の記事:▶ フタモンアシナガバチの巣を襲い老熟幼虫を捕食するヒメスズメバチ♀

物置小屋の軒下に作られたフタモンアシナガバチの巣がどうなったのか4日後に様子を見に行くと、コロニーは全滅しており、フタモンアシナガバチ創設女王は巣を見捨てて(廃巣)どこかに逃去していました。 

軒下にずらりと並ぶ古巣の間に混じってセグロアシナガバチPolistes jokahamae)のコロニーを見つけました。 
ヒメスズメバチに襲われたフタモンアシナガバチの巣のある区画から右に2つ離れた区画で、前回は見落としていました。 
巣盤の天井部が黒光りしているのは、タール状のアリ避け物質(+防水性)を塗布したからです。 
アシナガバチは古巣にそのまま引っ越してきたり、古巣の素材を再利用したりすることはありません。 
ドロバチやクモバチとは異なり、必ず新しい巣材を使って一から造巣します。 
古巣には寄生蛾の幼虫が潜んでいたり、巣材が劣化していたりするからでしょう。 
その結果、寄生蛾に食い荒らされない限り、古巣は何年もその場に残ることになります。 

キアシナガバチの多い当地でセグロアシナガバチの巣は珍しいので、嬉しい発見でした。 
この巣がヒメスズメバチに襲われなかったのは、たまたま発見を免れたのか、それともフタモンアシナガバチの巣よりも防衛力が高かった(手強かった)からでしょうか? 

在巣の蜂の中に見慣れない個体が混じっています。 
寄生蜂が来ているのか?と思って動画に撮り始めました。 
よくよく見ると、セグロアシナガバチの雄蜂♂でした。
(在巣の蜂は、見えている範囲で♀2♂2) 
セグロアシナガバチ♂は初見ですが、胸背が黒く煤けたような体色です。
「セグロ」アシナガバチって、そういう意味なのかな?
てっきり、「前伸腹節に黄紋が無くて黒色」というマニアックな識別点を表しているのだと思っていました。
♂は顔の頭楯が白く、触角の先端がややカールしています。 
♂の腹端は丸みを帯びています。(毒針を持つ♀の腹端は尖っている。)
ワーカー♀よりも大型なのは意外でした。 
というよりも逆に、小型で生まれたワーカー♀が留守番を務めているのでしょう。 
それほど大きな巣ではありませんが、新女王の羽化に先立って、雄蜂♂が早くも羽化していたようです。 (雄性先熟)

在巣の成虫が育房内に頭を深く突っ込んでいる行動は、点検するついでに「栄養交換」と言って、幼虫が吐き戻す液体(流動食)を吸汁しているのです。 
アシナガバチは成虫になると固形物を飲み込めなくなるので、幼虫に栄養交換してもらう必要があります。 
一方で幼虫にはイモムシなどの獲物を丸めた肉団子(固形物)を給餌します。 

巣上で小型の♀が大型の♂を邪険に追い立てたのが、興味深く思いました。 
力関係は体格に関わらず♀>♂のようです。(コロニー内の優劣行動) 

他に、成虫は身繕い(化粧)していました。

カメラのレンズが汚れていて、お見苦しいです…。

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