2019/01/21

スイゼンジナの葉を食べ脱糞するヨトウガ(蛾)幼虫【10倍速映像】



ヨトウガ(蛾)幼虫の飼育記録#7



▼前回の記事
ヨトウガ(蛾)幼虫が食事中に頭部を擦り付ける謎の行動

2018年10月上旬

ヨトウガMamestra brassicae)の幼虫(俗名ヨトウムシ:夜盗虫)スイゼンジナ(別名:はんだま、金時草)を食べる様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像でご覧下さい。
夜盗虫は夜行性と言われていますが、撮影用の照明を当てても気にしないようです。(※追記参照)

食休みを挟みながら、旺盛な食欲です。
ときどき頭部を周囲の葉に擦り付ける行動が繰り返し見られました。
食べながら規則的に脱糞しています。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#8:ヨトウガ(蛾)の幼虫の寝相【10倍速映像】


※【追記】
岩波ジュニア新書『博士の愛したジミな昆虫』を読んでいたら、第3章に塩尻かおり「匂いで昼夜を知るアワヨトウ」と題した興味深いコラムが掲載されていました。
夜行性のはずのアワヨトウ幼虫が、実験室の明るい光の下で元気に餌を食べているのです。彼らはいったいどうやって昼夜を区別しているのでしょうか?(中略)
 様々な実験と化学分析の結果、(餌:しぐま註)植物は明るさによって出す匂いが異なり、アワヨトウはその匂いで行動を変えることがわかりました。
 つまり、植物が光を感知するセンサーとして働き、アワヨトウ幼虫はそのセンサーからの信号を匂いとして受け取り昼間を判別していたのです。(p108-109より引用)
人工飼料で飼うとアワヨトウ幼虫の昼夜判別が狂ってしまうのだそうです。
今回私は、茎から切った食草を花瓶に生けた状態でヨトウガ幼虫に給餌したのですが、植物の光センサーが正常に働かなくなったのかもしれません。
ただし、ヨトウガもアワヨトウと同じく嗅覚で昼夜を知るかどうかは知りません。

2019/01/20

カイツブリが川面で羽繕い後に潜水(野鳥)



2018年10月上旬

川に来る水鳥を近くから観察するため、ニセアカシアの河畔林に迷彩ブラインドを張ってその中に隠れていたら、川面に浮かぶ一羽のカイツブリTachybaptus ruficollis)が私の目の前まで来てくれました。
目当ての水鳥とは違うのですけど、カイツブリは初見なので結果オーライ♪



川の流れに逆らって遊泳しながら、嘴で念入りに羽繕いしています。
やがて、激しく羽ばたきながら全身を伸び上がりました。(@0:51)
対岸に沿って上流へどんどん移動して行きます。
最後は川の中に潜水し、姿が見えなくなりました。(@1:08)
どうやら私の存在がバレてしまったようで、その後は決して此岸に近寄らなくなりました。

図鑑と見比べると、夏羽の状態でした。(『ヤマケイジュニア図鑑3:鳥』p108より)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
後半で画面に緑色の霞がかかったように見えるのは、川岸に繁茂するヨシなどの茂みの隙間から泳ぎ去るカイツブリを隠し撮りしたからです。

つづく→カルガモの群れに混じって川面の岸辺で休むカイツブリ(野鳥)


カイツブリ(野鳥)@川面遊泳
カイツブリ(野鳥)@川面遊泳

ツマグロヒョウモン♂の日光浴と縄張り占有行動【HD動画&ハイスピード動画】



2018年10月上旬

快晴の昼下がり。
河川敷の遊歩道のすぐ横の草むらでツマグロヒョウモン♂(Argyreus hyperbius)が日光浴をしていました。
クズの葉先や地面にしばらく止まっていた♂は、急に飛び立つと蝶道のように数往復してからほぼ同じ場所に舞い戻ります。
飛来したトンボを縄張りから追い払うのも目撃しました。(映像なし)
日光浴しながら、交尾相手の♀が飛来するのを待ち構えているのでしょう。
静止中の口吻に注目しても何かを舐めている訳ではないので、吸水やミネラル摂取ではありません。

初めはクズの葉の先端部に止まり、翅を全開にして昼下がりの強い日差しを浴びていました。
翅は半開きでゆるやかに開閉することもありました。

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:10〜0:36、および2:06〜)
日差しが強く、絶好のスーパースロー撮影日和です。
こういうときに私は普段、物を投げつけて強制的に飛び立たせることもあるのですが、今回は蝶が自発的に飛び立つまで少し離れた所から気長に待ちました。

翅裏の斑紋も撮りたくて私が回り込もうとすると、警戒したツマグロヒョウモン♂が飛んで逃げ、縄張りの拠点を少し変えてしまいました。
遊歩道のシロツメクサの葉などに止まり直しました。
縄張りを張るのなら少し高い所を選んで止まる方が辺りを見渡せて良いと思うのですが、地面に近くてもあまり気にしないようです。

(私が立ち去るのを待っていただけかもしれません。)

左からシジミチョウの仲間(種名不詳)が飛来し、地面で日光浴していたツマグロヒョウモン♂の目の前を横切りました。(@2:06〜)
なんとなく、ヒメシジミやツバメシジミではないかと思うものの、定かではありません。
ツマグロヒョウモン♂はピクッと反応しただけで、飛び立ちませんでした。
小物は眼中に無いのかと思いきや、二度目の領空侵犯でスクランブル発進しました。
実はそのシジミチョウの行動にはシジミチョウなりの目的があり、同種の2頭が追いかけっこをしていたのです。
カメラの仕様でハイスピード動画モードでは固定焦点になってしまうため、シジミチョウ♀♂の求愛飛翔を記録できずに残念でした。
その間にツマグロヒョウモン♂はシジミチョウの追跡を止め、奥のクズの葉先に止まり直しました。(映像なし)

それにしても、今季はツマグロヒョウモンとの遭遇回数が過去最高を更新中です。
本来は南方系であるツマグロヒョウモンをここ北国(東北地方の雪国)で何度も見かけるようになったということで、地球温暖化に伴う分布の北進をひしひしと実感します。
もはやレア感はありません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
『フィールドガイド日本のチョウ』でツマグロヒョウモンを調べると、
♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。 (p201より引用)
「見晴らしの良い場所」と言っても、それほど高くない(場合もある)ということを今回の観察で知りました。



【追記2】
環境Eco選書『チョウの行動生態学』によると、蝶♂の配偶戦略には探索戦術と待伏せ戦術の2通りがあり、ツマグロヒョウモン♂は後者なのだそうです。
空き地や芝生などの開けた場所にとまっていたツマグロヒョウモンArgyreus hyperbiusが、急に飛び立っては元の場所に戻ることを繰り返しているのを見たことのある人は多いのではないだろうか。これはツマグロヒョウモンの♂が何かが飛来したのに気づいて、♀かどうか確認しに行く姿である。(p128より引用)
ツマグロヒョウモン♂@クズ葉+日光浴:縄張り占有
ツマグロヒョウモン♂@シロツメクサ葉+日光浴:縄張り占有
ツマグロヒョウモン♂@小径+日光浴:縄張り占有

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