2023/07/10

芝生の巣穴で離着陸を繰り返すモンスズメバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 



2022年8月上旬・午後14:20頃・晴れ 

河川敷で芝生エリアを囲む縁石の横にあるモンスズメバチVespa crabro)の巣穴bを定点観察しています。 
この日は満を持して三脚を持参し、巣穴に出入りするワーカー♀の離着陸を真上からじっくり長撮りしてみました。 
今回の目標は、ワーカー♀が巣内に持ち込む団子が巣材のペレットなのか、それとも獲物を狩った肉団子なのか、見極めることです。 
モンスズメバチはセミを狩るのが得意だと言われていますが、私は未だ実際に狩りの様子を見たことがありません。 
周囲の河畔林からアブラゼミ♂とミンミンゼミ♂がやかましく鳴く蝉しぐれ♪が聞こえてきます。 
巣穴に搬入する肉団子を見ただけでは獲物を同定できないだろうと思うのですが、とにかく観察してみましょう。 
蜂を毎回採寸する代わりに、巣口の横に1円玉(直径20mm)を並べて置きました。 
モンスズメバチ♀の離着陸を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:33〜) 

炎天下の撮影は過酷で、日傘が欲しくなります。 
私は日陰に移動すれば暑さを凌げますが、動画の長撮りを繰り返すとカメラがオーバーヒートして、冷めるまでしばらく使えなくなります。 
携帯ファンで積極的にカメラを空冷すべきかもしれません。 
(試してませんが、ファンの騒音を蜂が嫌うかな?) 

 


蜂を個体標識していないので、計何匹のワーカー♀がこのコロニーで活動しているのか分かりません。 
巣口から出てきても、うろうろと警戒しただけで巣内に戻る個体は門衛なのでしょう。 
3匹の蜂が続けざまに巣口から飛び去ったことがあったので、少なくとも3匹のワーカー♀が居ることが分かります。 
腹部が少し湾曲している個体は、軽い奇形なのかな?  
スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されている可能性が考えられます。
ここで問題が発生しました。 
黒い三脚の脚を長く伸ばして巣穴の真上に設置したので、モンスズメバチ♀が次第に警戒し、機嫌が悪くなり始めたのです。 
日本でスズメバチの巣を襲う一番の天敵は体毛の黒いツキノワグマと頭髪が黒いヒト(日本人)です。
したがって、国産のスズメバチは自分たちの巣を守るために、黒い物に対して特に警戒・攻撃するように進化しました。 
スズメバチを観察する際は、必ず全身を白っぽい服装に身を包み、帽子や白タオルで頭の黒髪を覆う必要があります。 
外役ワーカー♀はその日初めて出巣した直後に、巣穴の位置を記憶するためにホバリングしながら扇状に定位飛行します。 
巣穴の上に覆いかぶさるように置かれている真っ黒な三脚という露骨に怪しい物体を見つけた蜂が攻撃的になったのは当然です。 
警戒フェロモンを放出したかもしれません。 

外役ワーカー♀は巣材集めや獲物を狩りに出かけるどころではなくなり、私が目的とする行動を撮影できなくなってしまいました。 
蜂が忙しなく帰巣しても空荷でした。 
着地の瞬間に前脚も万歳すれば空荷で帰巣したと分かります。 
(前脚は手ぶらでも、口に咥えていたら背面からでは運搬物が見えない?) 

巣の横に立って見ていた私の体にも、まとわりつくように蜂が飛び回るようになりました。 
手を振り回したりしないで落ち着いてゆっくり後退しても、モンスズメバチ♀はしつこく追いかけてきます。 
飛びながら大顎をカチカチ♪鳴らす警告音は聞き取れませんでした。 
営巣地から充分に離れると蜂も許してくれ、私から離れて行きます。 
スズメバチ専用の物々しい防護服を着用していなくても、スズメバチの習性と対処法を知っていれば、刺されずに済みます。 
カメラが1台しか無いので、複数のモンスズメバチ♀が三脚や私に対してしつこくまとわりつくように飛び回る様子を動画に記録できず、残念でした。 

スズメバチの撮影で黒い三脚を使うのは良くないと、改めて(身を持って)知りました。 
三脚を白く塗装してしまうと他の目的に使いにくくなりますから(野外で目立ち過ぎる)、白色や迷彩柄のビニールテープを三脚に巻けば良かったかもしれません。 
あるいは、黒ではなく銀色の三脚を使えばよかったですね。
その一方で、巣口の横に置いたピカピカ光るアルミ製の1円硬貨に対してモンスズメバチ♀は無反応でした。 

地中営巣性のスズメバチが巣穴から離着陸する様子を動画撮影するには、前回やったように、巣穴のすぐ横の地面にカメラを置いてローアングルから撮影するのが一番良さそうです。 
巣に持ち帰る肉団子や巣材をしっかり観察するには、上から見下ろすのではなく横からのアングルでハイスピード動画に記録するべきです。 
私のカメラ本体は黒いのですが、上から迷彩柄のバンダナを被せてやると、蜂は落ち着いてくれました。 




この巣穴bでモンスズメバチのコロニーを定点観察できたのは、これが最後でした。 
河川敷の芝生や雑草が綺麗さっぱり刈られた後、モンスズメバチの活動は無くなってしまいました。 
巣口は干し草の山に覆われていました。
こうなるだろうと半ば予想(覚悟)していたとは言え、観察したいテーマが他にもまだ色々あったので、残念でなりません…。 


枯れ草の山を掻き分けて見つけた巣口b


モンスズメバチの巣をてっきり誰かに駆除されてしまったとばかり私は思い込んでいたのですが(被害妄想?)、後になって別の可能性もあることに気づきました。 
翌年の晩春に河川敷で作業する芝刈りカーを初めて見ました。 
回転する刃を人力で左右に動かすことで草刈りするタイプではなく、ゴルフカートのように一人が運転して走り回るだけできれいに草刈りしてくれるタイプでした。 
この芝刈り機なら効率良くあっという間に草が刈れるので、モンスズメバチの巣穴の上を通り過ぎても、蜂に攻撃されないかもしれません。 
(振動と騒音でやはり蜂は怒るかな?) 
最近ではルンバのように無人で自動芝刈りするロボットも開発されています。
もしかすると、モンスズメバチが営巣を止めたのは駆除されたのではなくて、芝刈りの結果、営巣地周辺の景色が激変して外役ワーカー♀が迷子になり、帰巣できなくなってコロニーが衰退滅亡したのかもしれません。 

つづく→

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