2019/09/08

散歩中のネコ♂を襲うハシボソガラス♀♂(野鳥)



2019年6月中旬

街なかを流れる川の対岸で2羽のハシボソガラスCorvus corone)が嗄れ声で鳴き騒いでいます。
何事かと思いきや、川沿いの道を歩いているイエネコFelis silvestris catus)を追いかけながらモビング(擬攻撃)していました。
一方、猫はうるさいカラスを相手にせず、平然と歩き続けます。
このネコは、股間に睾丸が見えたので雄猫♂と判明。
去勢された飼い猫ではないようです。
やがてネコが立ち止まって尻尾を上げると雑草の茂みに排尿し、縄張りをマーキングしました。

鳴きながら飛び上がって空中から代わる代わる襲いかかるハシボソガラスが遂にネコの背中を背後から蹴りつけました。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
ネコはやられても全くカラスに反撃しようとしないのが意外でした。
老いた個体なのかな?
ひたすら迷惑そうにゆっくり歩き去ります。
ネコがようやく川岸を離れて大きな栗の木の下の茂みに逃げ込むと、カラスもそれ以上は深追いしませんでした。
ハシボソガラスにとっても顔馴染みのネコが日課で縄張りをパトロール(散歩)していたのでしょう。

天敵の猫を追い払って満足したハシボソガラスは逆の住宅地の方へ飛び去りました。
川沿いには携帯電話の基地局(電波塔)が建っていて、そのてっぺんにカラスの古巣があります。
今回のハシボソガラスがそこに営巣したつがいなのかどうか、定かではありません。
巣立った幼鳥が近くにいるのかもしれません。

※ 動画編集時に前半部だけ音声を正規化して音量を強制的に上げています。


中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』を読むと、カラスとネコの攻防について記述がありました。

猫の場合は違います。威嚇体勢になって低空飛行を仕掛けたり、蹴ったりして攻撃します。猫は犬と違ってジャンプ力もあり、木登りもできます。都会のカラスにとって、猫は天敵なのです。時々、猫をリードに付けて散歩している人がいます。するとカラスが大騒ぎを始めて、飼い主の周りに集まります。 (飼い猫に対するモビング:しぐま註) (p178より引用)
繁殖期のカラスに猫が近付こうものなら、何羽も集まってきて大騒ぎをして、猫の姿が見えなくなるまで追い回し、低空飛行をして命がけで蹴りを入れています。さすがに猫に蹴りを入れられるのはベテランの成鳥だけです。
同じカラスでも、ボソの場合、頭をブトのように膨らませて低空飛行をし、最高レベルの怒りを表しますが、蹴りを入れるほどの勇気はないようです。
たかが猫と思うかもしれませんが、機敏なジャンプ力と音を立てずに忍び寄れる肉球によって器用に獲物を捕食するため油断はできません。成鳥なら逃げ切れますが、巣立ったばかりの雛だと、猫が天敵だということも知らないので、あっという間に捕食されてしまいます。 (p180-181より引用)



下線部については、今回私が撮影した動画はささやかながら反例となりそうです。
おそらく各地域の個体群によってカラスの習性や性格も少しずつ変わっているのでしょう。

私のフィールドではハシボソガラスが優占種で、ハシブトガラスはあまり居ません。


ハシボソガラス♀♂(野鳥)@モビングvsネコ@散歩

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