枯木に営巣したコガタスズメバチの定点観察#14
前回の記事→#13
2016年8月中旬・午後12:37
8日ぶりの昼下がりに巣の様子を見に行くと、コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の外役ワーカー♀が巣口で渋滞していました。
中の門衛と口づけを交わしています。(栄養交換)
依然として外皮の増築作業が盛んに続いています。
この日に特筆すべきは、耳を澄ますとどこからか外皮をガリガリ、ゴシゴシ♪と齧る音が響いていました。
とてもかすかな音なので、音量を最大にして聞いて下さい。(ヘッドフォン推奨)
マイクを巣の外被に密着させるように取り付ければ、もっと明瞭に録音できるはずです。
おそらく内役ワーカー♀が巣の内部から外被を大顎で齧っているのでしょう。
スズメバチ関連の本で読んだ知識ですが、外被を外側から何層にも付け足していくと同時に、内部からも削って巣盤を拡張するスペースを確保するのです。
内部から齧り取った巣材は唾液と混ぜ合わせ、巣盤を作るためのパルプとして再利用されるのだそうです。
素晴らしく合理的な建築法ですね。
スズメバチの巣にファイバースコープを挿し込んだりして、内役の様子をいつか観察・撮影してみたいものです。
つづく→#15
【追記】
巣内の様子を直接観察した訳ではないので、この物音は成虫ではなく幼虫が発した可能性も考えられます。
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
スズメバチの巣を、生けどりにしたり飼育していると、カリカリカリ…という、かなり大きな連続音が、一定の間隔をおいて聞こえてくる。これは、終齢幼虫が育房の壁をいっせいに大腮でかむことによって生じる音で、巣の中に運びこまれるえさが少なくなったときや、また、空腹の幼虫によっても、ひんぱんに発せられる。働きバチは、この音を発する幼虫にひきつけられ、肉団子を口もとへ給餌するので、つまりは、幼虫が空腹を知らせる合図となっている。
(中略)壁こすりによるえさねだりの行動は、スズメバチ亜科に属する4属のすべてで知られている。とくに、大型種のスズメバチ属の各種で顕著にみられる、成虫と幼虫間のコミュニケーションである。(p222-223より引用)
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