2014/05/03

ニホンカモシカ♂(左角欠け)の排尿



2014年4月上旬

▼前回の記事はこちら▼
道端の枯草を食すニホンカモシカ♂(左角欠け)

左角が折れたニホンカモシカCapricornis crispus)が杉植林地の斜面を下る途中で立ち止まっています。
初めは私に気づいていない様子。
ようやく振り返って対峙しました。
しばらく睨めっこしてから、カモシカは斜面をゆっくり下り始めました。
未だあちこちに雪の残る谷底の林床で立ち止まり、軽く腰を落とすと排尿を始めました。(@1:09〜1:26)
用を足し終えるとカモシカは再び林床を歩き出しました。
木の枝に顔を擦り付けて眼下腺マーキングを行ったようにも見えましたが、手前の茂みが邪魔ではっきりしません。

積雪期にカモシカの足跡をトラッキングしていると、大小便を排泄した跡を雪面に見つけることがあります。

▼関連記事▼
ニホンカモシカの溜め糞と小便跡@雪面
実際の放尿シーンを撮影できたのは初めてで、今回の追跡観察で最も嬉しい収穫でした。
フィールドでカモシカの性別を見分けるのはその道のプロでも極めて難しいそうです。

しかし、排尿時の姿勢に性差があることが知られています。

♂は後ろ足を開き気味にし腰を少し低くしておしっこをするが、♀はお尻が地面に着くくらいまで腰をおとす。これが典型的なおしっこスタイルである。では、典型でない場合があるかといえば、ちゃんとあるのだ。斜面の傾斜が急だったせいか♀が中腰でおしっこをしたことがあったし、若い♂が♀と見間違えるがごとく腰をおとすのも何回か見た。結局、排尿するときの姿勢はある程度の手がかりとはなるものの、より確実なのはおしっこがペニスのある腹のほうから放出されているのか、それとも♀の性器がある尾の下から出ているのかを確認することと言える。
(『カモシカの生活誌:十八歳の夏、僕は初めてアオシシに出会った』p46-47より)



宮崎学『森の写真動物記〈7〉草食獣』p16-17によると、
(カモシカの)♂と♀では、おしっこのスタイルがちがうことに気づきました。♂は歩くときとほぼおなじ姿勢でおしっこをするのに対し、♀は腰をおろし、低い姿勢でおしっこをしたのです。


カモシカの迷信。(中略)外見からは性差はわからないが、立ったままでオシッコをするのが♂、腰をかがめてオシッコをするのが♀…とも言われていた。でも、これもウソだよ!♂も腰をかがめて用を足す。(『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』p93より) 


今回の映像を見直すと、後ろ姿の股間に睾丸は見えないものの、若い♂ではないでしょうか。
♀ならばもっと深く腰を屈めるはずです。
尿が腹の方から放出されているので、ペニスのある♂だろうと推測しました。
欲を言えば、側面から撮影したかったです。

四部作完。



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