2024/12/31

冬眠の合間に追加の巣材を集める雪国のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬

シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台のトレイルカメラで監視しています。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のように林床の地面があちこちで露出しています。 


シーン1:1/23・午後20:47・気温-2℃(@0:04〜) 
トーパーから覚醒して右の巣穴Rから外に出てきたばかりと思われるアナグマが、右端の林縁に居ました。 
ノソノソ歩いて右へ向かいました。 
何をしに行ったのでしょう?


シーン2:1/23・午後20:49(@0:20〜) 
約2分後に、アナグマが後ろ向きで右から戻ってきました。 
前脚で林床の落ち葉を大量に掻き集めながら巣内Rに搬入します。 
夏に見られた巣材集めと同じ行動ですが、今回は気温が低いせいか、ピョンピョン跳ぶように後退する動きはしませんでした。 
真冬の巣内はよほど寒いのでしょう。 
濡れている(凍っている)落ち葉に寝床としての断熱効果があるとは思えないのですが、無いよりましなのでしょう。 
自分の体温で落ち葉を乾かしてから寝床として使うのかな? 
あるいは、隙間風を防ぐために詰め込む巣材なのかもしれません。 
(それなら穴掘りの得意なアナグマは、土で隙間を埋めるかも?)
意外にも、巣材集めを繰り返すことはなく、この1回だけでした。 
翌日から再び大雪が降ったので、落ち葉掻きができる最後のチャンスでした。 
まさかアナグマに天気予報の能力があるのか?とまたひとつ謎が増えました。 

今季は異常な暖冬です。 
雪国に生息するアナグマにとって暖冬や地球温暖化が朗報なのかどうか、観察1年目ではまだ判断できません。 
積雪による断熱効果が期待できず、巣穴が地中の浅いところに掘られている場合、放射冷却現象の夜明け前などに巣内も零下までひどく冷え込むのではないかと想像しています。 

越冬に入ったアナグマは、冬眠の合間にたまに巣外へ出てきても、動きがとにかく緩慢でぼんやりしていました。 
今回は珍しく(久々に)、巣材集めという活発な行動を見れてよかったです。 



シーン3:1/23・午後21:02・気温-1℃(@1:11〜) 
12分後に再び出巣Rしたアナグマが、巣口Rの左で小刻みに震えています(体温を上げるためのシバリング?)。 
さっき巣材集めをしたアナグマと同一個体とは限らないので、注意が必要です。
(個体識別ができていません。) 
危なっかしい足取りで、巣口Rの横でマルバゴマギ落葉灌木の根元をうろついています。

右の林内へ向かう途中で林縁に座ったのは、スクワットマーキング(縄張りの匂い付け)かもしれません。 
この個体が巣材集めに行ったのかどうか、その後の動向がなぜか動画に記録されていませんでした。 


シーン4:1/23・午後22:33・降雪・気温-1℃(@2:11〜) 
1時間半後、アナグマが巣口Rの左に戻って来ていました。 
細いマルバゴマギ落葉灌木の根元をよじ登ろうとしてスリップし、地面に座り込みました。 
また緩慢な動きに戻ってしまいました。 
擬人化すると、まるで泥酔しているような、足が痺れているような、覚束ない足取りです。 
雪がちらつく中、頻りに振り返って監視カメラの方を気にしています。 
今回はあえて早回し加工せずに、アナグマの動きが緩慢な様子をお伝えしました。 


シーン5:1/23・午後22:42・降雪・気温0℃(@3:11〜) 
10分後、アナグマは営巣地(セット)をゆっくり回り込んでから、巣口Rに戻ってきました。 
巣口Rの手前で身震いしてから、ようやく中に潜り込みました。 
この個体は左右の瞳の大きさが均等だったので、ここで出産・育児した母親♀(右目<左目)ではないことだけは分かりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


越冬中のニホンアナグマは、厳密な意味での冬眠ではなく、トーパー(torpor)と呼ばれる状態になります。 
トーパーとは、体温を一時的に環境温度近くにまで下げ、代謝を低下させる状態のことです。
冬眠する動物に比べて体温の低下幅は小さいものの、心拍数も通常の半分程度にまで低下します。(AIのGeminiに教えてもらいました。)
ニホンアナグマは冬眠期間中に体温の周期的な低下と上昇がみられ(異温性)、体温が上昇したときに覚醒して巣外活動するのだそうです。
異温性(heterothermy)とは、恒温動物において部位、もしくは生理状態の違いにより体温が大幅に異なることをいう[1]。(wikipediaより引用)


ホンドタヌキの営巣地で見つけたオオモンクロクモバチ

 

2023年7月中旬・午後14:45頃・晴れ 

雑草が繁茂する休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を久しぶりに見に来たものの、巣口にタヌキ幼獣の姿はなく、タヌキの気配を感じられませんでした。 
子育て中はなるべく巣穴に近づかないようにしていたのですが、最後に見たのは6月上旬です。


巣口から伸びる溝(アクセストレンチ?)の土が白っぽく乾いています。 
その地面でオオモンクロクモバチAnoplius samariensis)が翅を小刻みに開閉しながら身繕い(化粧)していました。 
本種の性別の見分け方を私は知りません。 
もし♀ならば、草むらで獲物のクモを狩ったり、裸地に巣坑を掘るかと期待したのですが、すぐに飛び去ってしまいました。 
オオモンクロクモバチが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、背後からクロアリ(種名不詳)に奇襲され、驚いて飛び立ったことが分かりました。 

近くの森からニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の斉唱♪がかすかに聞こえます。

2024/12/30

雪の少ない真冬に根曲がり巣穴に通うホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬~2月上旬

シーン0:1/22・午後12:56(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
暖冬で積雪が少なく、ほとんど溶けてしまいました。 
平地のスギ防風林で、画面の手前から奥に向かって根こそぎ倒れたスギ風倒木(根返り)の根元に掘られた「根曲がり巣穴」を自動撮影カメラで監視しています。 

この巣穴aにはニホンイタチMustela itatsi)が越冬しているらしいことが分かっています。 
実はすぐ近く(画面の右背後)にもう一つ同様の巣穴bがあり、そこにもイタチが出入りしていたのですが、撮影機材が足りなくて2つの巣穴a,bを同時に監視できません。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で登場したシーンをまとめました。


シーン1:1/23・午前4:22(@0:04〜) 
夜明け前に、タヌキが根曲がり巣穴aに巣穴に頭を突っ込んでいました。
この後でタヌキが巣穴aの中にしっかり入ったかどうか、見届けられず、残念でした。
わずか2秒間の短い動画しか撮れていなかったからです。 
電池の残量は充分にあるはずなので、miniSDカードの異常(書き込みエラー)なのでしょう。 

しかも、実は画面の下端の地面にモリアオガエルの死骸が転がっているのに、空腹のはずのタヌキは、その場で食べたり持ち去ったりしませんでした。 
雑食性のタヌキは、腐肉食性でもあるのに、見逃したのが不思議でした。
死んだカエルの匂い(かすかな死臭)に気づかなかったのか、それとも警戒した(罠を疑った)のかな?


シーン2:2/5・午前0:52(@0:08〜) 
翌月になり、雪がまた少しだけ積もりました。 
深夜に左奥の獣道から登場しかけたタヌキが、監視カメラの存在(あるいは、かすかな物音)に気づいてフリーズしています。 
風の匂いを頻りに嗅いでから、左に引き返してしまいました。 
湿った雪質の雪面にタヌキの足跡が残りました。

監視カメラを根曲がり巣穴aからもう少し離して設置すれば、タヌキに警戒されずに撮影できるのは分かっています。
しかし、周囲に色々と障害物があるため、どうしても無理なのです。
藪に隠れた安全な場所を選んで営巣していることに、当然のことながら感心します。



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