2024/03/15

ニホンアナグマの溜め糞場で野ネズミが食べている物とは?【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月下旬・午前2:40頃 

平地のスギ防風林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場stmpで深夜に野ネズミ(ノネズミ)が何かを食べていました。 
残念ながら食べているメニューを映像から見極められませんでしたが、3つの可能性が考えられます。 
さすがにアナグマの糞(軟便)そのものは食べないはずです。 

(1)糞塊に蠢く糞虫やウジ虫など食糞性の昆虫類(分解者)。 
栄養価も高く、数としては圧倒的に多いはずです。 

(2)溜め糞の糞便臭に誘引されて飛来する夜行性の蛾。 
この動画の最後でも夜蛾が飛来しました。 
直後に野ネズミが夜蛾に襲いかかったかもしれないのに、狩りの瞬間を撮り損ねてしまって残念無念。 

(3)溜め糞に含まれる未消化の種子。 
アナグマの主食はミミズと言われていますが、実際は雑食らしいです。 
前日の昼間に撮った溜め糞stmpの写真に未消化の種子と思われる小さな粒々がしっかり写っていました。 
下に再掲します。 
いつか糞の内容物をしっかり調べれば、アナグマによる種子散布の実態も分かってくるはずです。(なかなか忙しくて余力がありません)




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溜め糞stmpの左の表面に未消化の種子

ラティス外枠の角材をかじって巣材を集めるフタモンアシナガバチ♀

 

2023年6月下旬・午後12:00頃・くもり 

民家の軒下の外壁に木製のラティス(格子)が立てかけられたまま放置されています。 
雨ざらしで年季の入ったラティス外枠の角材にフタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が止まって巣材集めをしていました。 

後退しながら角材表面の靭皮じんぴ繊維を齧りとろうとしています。 
しかし材質が固くて歯が立たないのか、初めはパルプが全く採取できません。 
あちこち場所を変えながら齧ってみて、ようやく少しずつながらも角材の靭皮繊維を剥ぎ取り始めました。 
まるでカンナ掛けのように薄く靭皮繊維をかじり取っています。 
時間を掛けて苦労しても、巣材の玉がなかなか大きくなりません。 
もっと柔らかな材質の木材を探し直せばよいのに…と素人目には思うのですけど、なぜこの硬い角材に固執しているのでしょうか? 

最後は顔と触角を前脚で拭ってから、巣材の団子を抱えて飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:12〜) 

未だ時期的にワーカー♀ではなく創設女王だと思われますが、体長を採寸できませんでした。 
飛び去った蜂を見失ってしまい、営巣地がどこにあるのか突き止められませんでした。 
アシナガバチは靭皮繊維と唾液を混ぜ合わせた天然パルプだけを使って紙製の軽くて丈夫な巣を作り上げます。

フタモンアシナガバチ♀の巣材集めを観察できたのは、これが未だ2回目です。 


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2024/03/14

ニホンアナグマの巣穴を乗っ取ったホンドタヌキを個体識別できた!【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月下旬〜7月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が転出した後の旧営巣地(セット)にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が繰り返し出没するシーンをまとめました。 
アナグマの不在に乗じてタヌキが空き巣を乗っ取ったのかどうか、判断がつきかねていましたが、遂に結論が出ました。 
同一個体のタヌキが巣穴に住み着いて繰り返し出入りしています。


シーン0:6/29・午後13:29・気温28℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン1:6/29・午後13:34・(@0:04〜) 
別アングルでも広角でトレイルカメラを設置しています。 


シーン2:6/29・午後18:28・気温24℃(@0:07〜)日の入り時刻は午後19:09。 
日没前の夕方に現れたタヌキが巣口Lの縁を忍び足で左へ通り過ぎました。 
そのままセットをぐるっと回って、左手前に戻ってきました。 
巣口Rに近寄り匂いを嗅いだものの、中には入りませんでした。 
鼻面を上げて風の匂いを嗅ぎ、左下に立ち去りました。 


シーン3:6/29・午後18:28・気温25℃(@1:00〜)
別アングルの監視映像でリプレイ。 
画面の右端を通って奥の巣口Rへ向かいます。 
巣口Rの匂いを嗅いだだけで、右に立ち去りました。 


シーン4:6/30・午前3:14・気温20℃(@1:31〜) 
日付が変わった深夜未明にタヌキが再び林縁を左から登場。 
顔つきが随分ほっそりした個体です。 
(水浴した直後なのか、見慣れない新参者なのか、不明です。) 
巣口LRの間を慎重に右へ通り抜けました。 

余談ですが、画面の手前で造網性のクモ(種名不詳の蜘蛛)が水平円網の横糸を張っていました。 
巣口Lの周囲に自生するマルバゴマキ灌木の枝を支柱としています。 
アナグマの巣穴付近を飛び回るハエやアブ、ヤブ蚊などを網で捕らえて捕食するのでしょう。


シーン5:7/1・午前8:57・気温22℃(@2:03〜) 
午前中にタヌキが登場。 
晴れてはいるものの、レンズが一部曇っているので、雨上がりなのかもしれません。 
(とにかく湿度が高そうです。) 
巣口LRの中間地点で身震いし、濡れそぼった毛皮の水気を切りました。 
その場に座って毛繕いを始めました。 
(体の痒い部位を甘噛みしている?) 

この個体は、後ろ姿を見た時に白っぽい毛が生え揃う尻尾の中央部やや右寄りに小さな黒斑▼があるのが特徴です。 
赤外線の暗視映像でも認められ、個体識別に使えそうです。 
タヌキの尻尾の模様に注目する個体識別法は、野紫木洋『オコジョの不思議』という名著を最近読んで、たまたま知りました。(p74の挿絵) 
タヌキは尻尾の模様だけでもバリエーションがあるらしく、これなら私も個体識別ができそうです。 
いつも後ろ姿の尻尾を見せてくれるとは限らないので、正面または横から見た時の特徴も必死で見つけ出す必要があります。
性別も今のところは不明です。
過去の映像も遡って見直すと、この個体が登場していたかも知れません。 

朝帰りしたタヌキが、そのまま慎重に奥の巣穴Rに潜り込みました。 
(その後、出巣Rしたシーンが撮れていません。) 
今はこのタヌキが巣穴Rにちゃっかり住み着いているようです。 


シーン6:7/2・午前4:20・気温18℃(@2:47〜)日の出時刻は午前4:17。 
翌日の日の出直後に、例のタヌキ(尾に黒点▼)の後ろ姿が写りました。 
出巣Rした直後なのかも知れません。 
奥の巣口Rにゆっくり近づき、匂いを嗅いだものの中には入らずに毛繕いを始めました。 


シーン6:7/2・午前4:21・(@3:48〜) 
次にトレイルカメラが起動したときには、広場を経由して手前の巣口Lに来ていました。 
アクセストレンチを辿ってゆっくり入巣L。 
しばらくすると、巣穴Lから外に出てきて、身震いしました。 
ゆっくり出巣Lしたので、アナグマのヘルパー♂に中から追い払われたようには見えません。 
やはりアナグマはヘルパー♂も不在で、タヌキがこの営巣地(セット)を完全に乗っ取ったようです。 
このタヌキは巣穴をねぐらとして使っているようです。
アナグマのヘルパー♂は巣穴を防衛しないで、あっさりタヌキに明け渡したようです。 
ヘルパー♂も母子について行って新しい巣穴に転出したのかもしれません。
アナグマ♀が子育てをする立派な巣穴(セット)は代々受け継いで拡張工事を繰り返すと本で読んでいたのですが、そんな価値のある不動産をあっさり放棄したのは意外です。
翌年の繁殖期までにタヌキから奪い返すつもりなのかな?
実はアナグマのヘルパー♂とタヌキ(尾に黒点▼)が同じ巣穴に仲良く同居しているという可能性も考えられます。(「同じ穴のむじな」仮説)

巣穴Lの中は水浸しで住めない状態なのかもしれない…?と勝手に想像しているのですけど、定かではありません。 
タヌキは右上へ立ち去ったかと思いきや、すぐに戻ってきました。 
奥の巣口Rで身震いしてから入巣R。 


シーン7:7/5・午後15:40・気温24℃(@4:31〜) 
3日後の午後に例の個体(尾に黒点▼)が登場。 
鬱蒼とした二次林の林床は真っ昼間でもやや薄暗いです。 
自然光下で見た時に毛皮が全体的に白っぽい印象なのは、夏毛だからなのでしょうか。 
(老齢個体はメラニン色素が薄れて白髪化するのかな?) 

奥の巣口Rを点検してから身震いし、手前へ来ました。 
手前の巣口Lの匂いを嗅いでから方向転換して、左奥の灌木林へ立ち去りました。 
採餌に出かけたようです。 
その後、帰巣シーンは撮れていません。 


シーン8:7/6・午前4:53・気温19℃(@5:31〜)日の出時刻は午前4:19。 
翌日の早朝にようやく戻ってきた例のタヌキ(尾に黒点▼)が右から回り込んで巣口Rへ向かいました。 
巣口Rの匂いを嗅いだだけで中には入らず、奥の二次林へ向かいました。  
すぐに画面の右上隅から戻ってきたところで、録画が打ち切られました。(尻切れトンボ) 


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