2024/03/14

ムシトリナデシコの花蜜を吸い飛び回るキタテハ夏型♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月下旬・午後14:30頃・曇のち晴れ 

山麓の家庭菜園の花壇に咲いたムシトリナデシコの群落でキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
翅を開閉しながら吸蜜しています。 
この組み合わせは初見です。 
夏型の場合、翅表の色彩が淡いのは♀の特徴なのだそうです。(参考:『フィールドガイド日本のチョウ』p223) 

ムシトリナデシコの花序を歩き回っていたキタテハ♀がバランスを崩しました。 
体勢を立て直そうと羽ばたいたついでに、少しだけ飛んで移動します。 

花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜) 
少し飛んで隣の花序に移動します。 

伸ばした口吻の先端で花筒の入口を探り当てると、深く差し込んで吸蜜していることがスローモーションでよく分かります。 
蜜標を目印にして訪花しているはずですが、花筒の開口部を探り当てるのに苦労しています。(視覚ではなく口吻の触覚に頼っているように見えます) 
園芸品種のムシトリナデシコでは品種改良の結果、花弁の根元にあるはずの蜜標が目立たなくなってしまったのでしょうか? 
紫外線写真を撮って確認してみたいものです。 

ムシトリナデシコ(虫取撫子)がムシトリと呼ばれる理由は、茎に強い粘着性を有する区間があり、地上から登ってくるアリなどを吸着(捕虫)するからです。 
関連記事(11年前の撮影)▶ ムシトリナデシコに来る虫の話 

捕らえた獲物を体外消化する食虫植物ではなく、送粉に寄与しないアリなどの盗蜜者が訪花するのを排除するための進化的適応と考えられています。 
今季は「虫撮り撫子」に訪花する様々な蝶を動画に撮ることが出来ました。



2024/03/13

巣穴の近くで地面を掘って餌を探すニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月下旬〜7月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が幼獣4頭を連れて生まれた巣穴 から転出すると、トレイルカメラにアナグマが写る頻度が激減しました。
転出先の巣穴の位置が突き止められていればそっちに監視カメラを設置し直すのですが、分からないので、同じ営巣地(セット)の監視を惰性で続けることにします。
(たまに面白い発見があるので、惰性の観察も侮れません。)


シーン1:6/29・午後14:41・晴れ・気温26℃(@0:04〜) 
手前の巣穴Lから外に出てきたばかりと思われる個体が、左へ立ち去りました。 
(出巣Lのシーンを撮り損ねたようです。)
2つの巣口LRの間の広場が、林冠ギャップによる日溜まりになっています。 

余談ですが、いつの間にか画面の左に造網性クモの垂直円網が斜めに張られていました。 
このカメラアングルでは、風に揺れている網がほとんど直線に見えます。 
(白い円網にピントは合っていませんが、中央のこしきにクモが占座しているようです。) 
アナグマの巣口L周辺を飛び回るヤブ蚊?やキイロコウカアブなどの双翅目を効率よく捕食できる場所なのでしょう。 

【参考文献】 
櫻庭知帆; 小林秀司; 髙﨑浩幸. キイロコウカアブはニホンアナグマを対象とした自動撮影カメラの設置適地を教えてくれる. Naturalistae, 2016, 20: 57-60. 


シーン2:6/29・午後13:34・晴れ(@0:28〜) 
別アングルに設置した広角の監視カメラで明るい時間にたまたま撮れた現場の様子です。 
少し遠いですが、右の巣穴Rの入口付近でハエ?やキイロコウカアブ?が飛び回っています。 


シーン3:6/30・午前3:44・気温20℃(@0:28〜) 
日付が変わった未明に、アナグマが奥の広場に登場しました。 
営巣地(セット)周辺の地面の匂いを嗅ぎ回り、左下に立ち去りました。 

左右の目の大きさが均等なので、母親♀ではなくヘルパー♂だと思いますが、ほっそりした体型に見えます。 
腹面に乳首の有無を確認できませんでした。 
出産育児の過労から解放された母親♀の疲れた目つき(右目<左目)が回復したのでしょうか? 
完全に余所者(新顔)の♀がやって来たのかも知れません。 



シーン4:7/3・午前4:32・気温19℃(@1:25〜)日の出時刻は午前04:18。 
3日後の明け方に左から来た個体が、手前の巣穴Lから伸びるアクセストレンチを右前足で掘っていました。 
顔つきがずんぐりむっくりしているので、ヘルパー♂が成獣の体つきに近づいてきたような気がします。 
巣口Lを点検したものの、中には入らずに近くで地面を掘り返してミミズを探しています(探餌)。 
身震いしてから右下に立ち去りました。 


シーン5:7/3・午前4:35・(@2:14〜) 
2分後に戻ってきたアナグマが画面右端エリアをうろついています。 
残念ながら顔を見せてくれませんでした。 


【考察】
ニホンアナグマの母子が転出してヘルパー♂だけが取り残されたと私は初め思いました。
気ままな独身生活を送るようになったのかもしれませんが、それにしても巣穴への出入りが監視カメラになかなか写っていません。
あるいは、家族と一緒に引っ越した後もヘルパー♂がときどき前の営巣地(セット)に戻ってきて、巣穴を点検したりメンテナンスしたりするだけなのかもしれません。

アナグマ家族がどこか別の巣穴へ転出した理由はもしかすると、梅雨の長雨で巣内が水浸しになり、中の巣材が濡れてカビが生え、住めなくなったのかもしれません。(居住環境の悪化)
ファイバースコープを巣穴に突っ込んで中を観察してみたいのですが、観察1年目の今季はとにかくアナグマを刺激しないように自重します。
濡れた巣材を外に干して乾かす行動をするとアナグマ関連の本で読んでいたものの、私は未だ実際に見たことがありません。 




ニホンアナグマの溜め糞場で獲物を待ち伏せするサビハネカクシがキンバエを狩り損なう

 

2023年6月下旬・午後12:45頃・くもり

スギ防風林で朽ちた切株の横に残されたニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場を定点観察しています。 
鬱蒼としたスギ植林地の林床は、昼間でもかなり薄暗くなっています。 
黒い軟便が溜まった新鮮な糞塊にサビハネカクシOntholestes gracilis)が2匹乗っていて、獲物を待ち伏せしていました。 
尻尾を少し持ち上げてゆっくり回す行動が気になります。 
猫が獲物を狩ろうとする前の興奮した心理状態を表す仕草を連想しました。 
やがて、1匹のサビハネカクシが溜め糞から吸汁していたキンバエの仲間(種名不詳)に斜め後ろから忍び寄りました。 
しかし狩りは失敗に終わり、キンバエは素早く飛んで逃げ糞塊上の落枝に着陸し直しました。 
クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の幼虫エンマムシの仲間の成虫(種名不詳)も溜め糞上を徘徊したり潜り込んだりしているのですが、固い鎧で身を固めた甲虫類にサビハネカクシが襲いかかることはありません。 
溜め糞場で肉食性のハネカクシ類が狩りに成功する瞬間を動画に撮るのが今季の目標です。
失敗続きでもめげずに地道に動画を撮り続けるしかありません。

動画を撮影中に画面を黄色っぽい昆虫が低空かつ高速で飛び回っています。 
ようやく溜め糞の横の下草に止まったので接写してみると、キイロコウカアブPtecticus aurifer)でした。 
性別の見分け方を知らないのですけど、交尾相手のキイロコウカアブ♀が吸汁・産卵のため溜め糞場に飛来するのを待ち伏せしている♂なのでしょうか? 

アナグマの溜め糞に隣接するスギの落ち葉に微小なアリ(種名不詳)が群がっていました。 
アリは泥状の軟便の上を歩きたくないようです。
左の黒い糞塊には未消化の種子が含まれていた。

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