2023/11/10

しつこく夜這いに来て求愛するニホンアナグマ♂を巣穴から追い払う♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬〜下旬 

二次林にあるニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴を自動センサーカメラで見張っていると、♂が夜な夜な夜這いに来るようになりました。 
春の配偶行動が始まったようです。 
しかし♀は未だ発情していないのか、♂の求愛をなかなか受け入れようとしません。 
地面に掘った巣穴が手前(R)と奥(L)に2つあります。 


シーン1:4/20・午後21:09・(@0:00〜) 
晩に奥から登場したアナグマ♂が左へ移動し、巣口Lの方へ行きました。 
その気配を察したのか、手前の巣口Rから♀が顔を出しました。 
♂が♀の巣穴に近づきながら求愛の鳴き声(ジェジェジェビーム♪)を発したかどうか、重要なポイントなのですが、観察歴の浅い私にはよく分かりません。 
トレイルカメラの位置がやや遠いので、録音されにくいのでしょうか? 

この営巣地(セット)の主である♀は目付きに分かりやすい特徴があり、左右の目の大きさが異なります。(右目<左目) 
斜視やオッド・アイのような生まれつきの形質なのでしょうか。 
明るい昼間だと分からないのですが、赤外線の暗視映像だとよく分かります。 

♀は出巣Rして振り返り、♂の方を見ています。 
睨み合いの末に、突然♀が脱兎の如く駆け出して、♂を追い払いました。 
喧嘩(威嚇)の鳴き声を言葉に現すのは難しいのですが、カカカカ!またはガガガガ!というような鳴き声を素早く発したようです。 
声帯を使って発声しているかどうかも分からない、なんとも得体のしれない音声です。 

しばらくすると奥から♀がトコトコ戻ってきて身震いすると、手前の巣穴Rに戻りました。 


シーン2:4/20・午後21:11・(@1:00〜) 
約30秒後、右の二次林を通って♂が再び♀のセットに戻ってきたようです。 
手前の巣口Rに居座り周囲を警戒していた♀は、♂を見つけると一瞬怯んで巣内に後退しかけたものの、再び脱兎の如く飛び出して撃退しました。 
♀は♂を深追いせずにすぐに戻ってきて入巣Rします。 

タヌキやキツネが巣穴を訪れたとき巣内のアナグマ♀は無反応だったのに、同種の♂が夜這いに来たときだけ、すごい剣幕で(強気で)追い払っています。 


シーン3:4/21・午前2:38・(@1:36〜) 
日付が変わった深夜未明にも同じパターンの行動が繰り返されました。 
手前の巣穴Rからアナグマ♀が顔を出して周囲を警戒しています。 
♂が右奥の茂み(灌木林)からやって来ると、ビルルル♪と何かを震わせているような、言葉にし難い変な物音が聞こえます。 
これはアナグマ♂が発する求愛の鳴き声なのかな?  (じぇじぇじぇビーム?)

この鳴き声?を聞くと♀は慎重に出巣Rして右下へ駆け出し、戻って来ませんでした。 
巣穴にすぐ戻って来なかったということは、画面の外で♂と交尾した可能性を否定できません。
夜這いに通っている♂が同一個体なのか、別個体が代わる代わる来ているのか、私には個体識別ができていません。 

※ アナグマの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


この動画を初めて見たときは「アナグマ同士で巣穴を巡る縄張り争いがあるのか?」と思ってしまいました。 
アナグマ関連の本を何冊か読んで勉強してみると、「♂が♀の巣穴に夜這い・求愛しようとしている」のだと、ようやく状況が飲み込めました。 

アナグマに関しては、観察と並行して本で予習しておくことを強くお勧めします。 
読んでみて分かったのですが、アナグマの配偶行動や社会システムは他の哺乳類と違って独特です。
素人は先入観に囚われて頓珍漢な解釈に陥りがちです。 
自力でゼロから解明しようとすると、アナグマをきっちり個体識別した上で何年も何十年もかかってしまうでしょう。 
特に福田幸広『アナグマはクマではありません』という写真集の解説が特に参考になりました。
 プロポーズの方法が非常に変わっています。それは♂が♀の巣穴へ行き、「ビルビルビルー」という、低い連続した特殊な声を発します。私はこの声を「ジェジェジェビーム」と名付けました。(中略)この声は♀を誘い出す特殊な声で、この声を聞いた発情中の♀は必ず巣穴から顔を出すのです。♀の反応が悪い時には♂は巣の中にまで侵入することがありますが、巣の奥の赤ちゃんを守るためなのか、♀は♂が巣に入るのを徹底的に排除します。(子殺しがあり得るのか?:しぐま註)しかし、何度追い払われてもめげることなく、♂はジェジェジェビームを発し続けるのです。    (p50より引用)


今のところはトレイルカメラの設置アングルを試行錯誤しているところで、今回は右の茂みが邪魔です。

後日、別アングルでもっとはっきり分かる動画を撮ることができました。(映像公開予定)


つづく→ニホンアナグマ♀の巣穴に出入りするヘルパーと夜這いに通う♂【トレイルカメラ:暗視映像】



【追記】
アナグマ ♂の求愛声が低音で響くのは、地中巣内の♀に聞かせるために進化したのだろう。
高音だと指向性が高い代わりに回折しないですぐに減衰してしまいます。 
個人的な思いつきを書き留めておきます。

逃げたキジ♀の後を追って春の刈田を横切る♂(野鳥)

 



2023年4月中旬・午前10:25頃・晴れ 

刈田から♀が立ち去った直後、畦道にキジ♂(Phasianus versicolor)が現れました。 
全身の羽毛を膨らませて身震いしてから、刈田に降りました。 
農道を横切ると、陽炎が立ち昇る刈田を足早に横断して行きます。 
移動中は頭を下げた前傾姿勢になり、長い尾羽も水平にしています。 

ドローンを飛ばして俯瞰で見たら、キジ♂が複数♀の尻を追いかけているようにも見えるはずです。 

 関連記事(2、10年前の撮影)▶  


キジ♂は畦道を乗り越え、細い用水路を飛び越えると、刈田に隣接する枯れヨシ原へ辿り着きました。 
ようやく落ち着いて足取りがゆっくりになりました。 
♂は寄り道をせず、まっしぐらに枯れヨシ原を目指していたことになります。 
普通の鳥ならひとっ飛びの距離なのに、飛ぶのが苦手なキジ♂はわざわざ歩いて行きました。
♂は♀群れの追跡に専念し、食べ歩き(採食・落ち穂拾い)や縄張り宣言の母衣ほろ打ち♪を一度もやりませんでした。 

枯れヨシ原に隠れた♀の姿は保護色ですっかり紛れてしまい、私にはもう見つけられません。 
キジ♂の目には♀の姿が見えているのかな? (居場所が分かっている?) 

交尾前の配偶者ガードなのでしょうか。 
質の良い♂の縄張りに♀の群れが居着くので、繁殖期には強い♂が複数の♀とハレムを形成します。(一夫多妻)

2023/11/09

スギ防風林の溜め糞場で仲良く同時に排便するホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月中旬

平地のスギ防風林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる巨大な溜め糞場wbcを見つけました。
早速、トレイルカメラを設置して監視してみましょう。
タヌキが南北方向を向いて排便すると予想し、横からローアングルで(地上からの高さ〜70cm)狙うことにしました。
カメラの電池を節約するため、夜間のみ(午後17:30〜午前6:00)撮影するようにタイマー設定しました。





採寸代わりに並べて置いた熊よけスプレーの長さは20cm


方位磁針を並べて置く




シーン0:4/14・午後16:23・(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
溜め糞は画面の中央に黒々と写っています。 
スギの大木が画面右端に立っています。 
現場はスギ植林地の端で、画面の奥には雑木林が広がって見えます。

周囲の林床に多数の不燃ごみ(発泡スチロール、プラスチックなど)が散乱していて目障りです。
誰かが不法投棄しているのか、あるいはタヌキが周囲の農地や人家から持ち帰るのかもしれません。
タヌキが誤飲すると有害なので、少しずつゴミ拾いして持ち帰ることにします。


シーン1:4/14・午後18:37・気温14℃(@0:05〜)日の入り時刻は午後18:16。 
カメラを設置した当日の晩に早速タヌキaが登場。 
左から登場したタヌキが溜め糞wbcの匂いを嗅いでいました。 
溜め糞にまたがると、ほぼカメラ目線で排便。 
用を足すと、獣道に沿って左下隅へ立ち去りました。 
入れ替わるように、つがいのパートナーbが背後の雑木林からやって来ました。 
先行する個体aが振り返ってパートナーを見守っています。 
bが左から回り込んで溜め糞wbcに来ると匂いを嗅ぎ、跨ったところで1分間の録画が終わってしまいました。 

続けてカメラが起動したときには、溜め糞wbcの右奥で立ち止まって落葉の匂いを嗅いでいました。 
そのまま獣道を通って右に立ち去りました。 


シーン2:4/15・午前4:59・気温7℃・(@1:22〜)日の出時刻は午前5:02。 
翌日の日の出直前にタヌキが現れました。 
溜め糞場の匂いを嗅いだものの、5時間前にアナグマがスクワットマーキングした匂い付けには無反応でした。 



そのまま溜め糞wbcに跨ると軟便をダラダラと排泄し、左に立ち去りました。 


シーン3:4/16・午前4:36・気温10℃・(@2:00〜) 
翌日は小雨が降る未明に♀♂ペアでやって来ました。 
まずは先行個体aが右から登場。 
aが溜め糞wbcに後ろ向きに跨って排便している間、右奥に後続個体bの目が白く光って見えます。 
aが身震いしてから左に立ち去ると、入れ違いにbが溜め糞場に来ました。
bがカメラを向いて脱糞している間に尻切れトンボで録画が打ち切られました。 

続けてカメラが起動すると、bは溜め糞wbcから左に少し離れた地点で身震いしてから、左下に立ち去りました。 

小声でキュキュキュ♪と頻りに鳴いているように聞こえますがタヌキとは無関係で、カメラが発する電子ノイズでした。 
タヌキが居なくなってしばらくしてからも、キュキュキュ♪と聞こえるからです。 


シーン4:4/16・午後18:34・気温11℃・(@3:18〜)日の入り時刻は午後18:18。 
同じ日の日没後に再び2頭のペアが連れ立って左から(縦列で)登場。 

♀♂ペアが珍しく同時に排便しました。 
便意が我慢できず、順番待ちをする余裕がなかったようです。 
 2頭は尻を突き合わせ、90°違う方向を向いて脱糞。 
互いの大便が体に付着しないのか、余計なお節介ながら心配になります。 

先に用を足した個体は身震いしてから右に立ち去りました。 
遅れた個体も慌てて右に駆け去りました。 
カメラの存在に気づいて警戒したのかな? 

タヌキの♀♂ペアが溜め糞場で同時に排便するのは珍しいです。 
一緒に来ても順番を待って代わる代わる排便するのが普通です。 



シーン5:4/17・午前4:41・気温5℃・(@4:18〜)日の出時刻は午前4:59。 
翌日は小雨が降る夜明け前に先行個体aが手前(カメラの真下)から登場。 
溜め糞wbcに跨ると、斜め右を向いて排便し、左に立ち去りました。 
その間、左下隅のスギ幼木の枝葉の陰に後続個体bが待機していました。(順番待ち) 
入れ替わりでbが軟便をニュルニュルと排泄したところで、録画が打ち切られました。 

続けてトレイルカメラが起動すると、bは左に立ち去るところでした。 
この地点はタヌキのペアが続けて登場することが多く、録画時間が1分間では短いので2分間に延長すべきかもしれません。 



シーン6:4/17・午後18:58・気温4℃・(@5:27〜) 
同じ日の晩に奥から先行個体aが登場。 
溜め糞wbcに跨ってカメラ目線になりました。 

このとき選挙カーが近くの道を通り過ぎ、候補者名をやかましく連呼していました。 
「気味の悪い変な鳴き声だな〜」と嫌がっているかと思いきや、里で暮らすタヌキは慣れているのか、けたたましい人工の騒音を気にしていません。 

左下隅のスギ枝葉の陰から後続個体bが颯爽と登場して、パートナーaと溜め糞場wbcで合流しました。 
2頭abが溜め糞wbに仲良く並んで(同じ向きで)排便を始めました。 

先行個体aが先に用を済ませると、右に駆けて行きました。 
bも同じく右に走り、後を追いかけます。 


シーン7:4/18・午前3:56・気温3℃・(@6:23〜) 
翌日も未明に2頭のタヌキが左から続けざまに登場。 
溜め糞場wbcで♀♂ペアが尻を突き合わせて同時に排便しました。 
互いに100°ぐらい開いた角度で別々の方向を向いて脱糞。 

横並びで2頭が一緒に左下へ立ち去りました。 
監視カメラの存在を気にしているのか、風の匂いを嗅ぐような仕草を通りすがりにしました。 

連れションならぬ、連れ糞することが多い仲良しのペアですね。 
実はタヌキの営巣地(巣穴)がすぐ近くにあることが後に判明します。(映像公開予定

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



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