2023/06/22

溜池で単独打水産卵するシオカラトンボ♀?

 



2022年8月上旬・午前10:30頃・晴れ  

大雨が降った後で満水になった溜池でカワウPhalacrocorax carbo hanedae)を撮影していると、右から白っぽいトンボが飛来しました。 
水面スレスレの低空飛行でやって来たトンボが水面に浮く草に腹端をチョンと付けて飛び去りました。 
産卵行動のようです。 
すぐにまた戻って来て、同様の産卵をあちこちで繰り返します。 
水面そのものではなく、水面に浮く植物に狙いをつけて卵を産み付けていることから、正確には単独打水産卵とは呼べなさそうです。  

このトンボ♀の名前は何でしょう?
やや遠くてしっかり見えなかったのですが、腹部が白いトンボと言えばシオカラトンボOrthetrum albistylum speciosum)ですかね? 
しかし、シオカラトンボ♀の腹部は茶色い麦わら模様のはずです。 
 図鑑『日本のトンボ』でシオカラトンボの産卵様式について調べると、一応合致します。

・♀は単独で、腹端で水をかき、卵とともに前方に飛ばす。♂はその間、付近を飛んで警護することが多い。 
・時おり♂型の♀が出現する。通常の♀も老熟すると薄く白粉を吹くが、それとはまったく異質のもの。 (p471より引用)

我田引水ですが、今回の産卵個体は♂型の腹部全体が白いシオカラトンボ♀だとすれば説明できそうです。 
ただし、産卵する♀の周囲で警護する♂の姿は見当たりませんでした。

池の水面をのんびり遊泳するカワウは、単独打水産卵するトンボには目もくれませんでした。 
魚食性のカワウがトンボを獲物として認識しないのは、当然でしょう。 

2023/06/21

秋雨の降る夜にオニグルミ堅果を給餌場から持ち去る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬 

野ネズミ(ノネズミ)に3回目のクルミ給餌実験をした結果です。 


シーン0:11/17 里山の斜面に立つカラマツの根元にオニグルミの堅果を新たに40個まとめて置きました。 
その日のうちに悪戯好きなニホンザル♀が通りかかり、山盛りにしたオニグルミを崩してしまいした。 
しかし猿はクルミを食べたり持ち去ったりしなかったので、1個も減っていないはずです。
関連記事 ▶ 餌場に置いたオニグルミ堅果に悪戯するも食べずに去る若いニホンザル【トレイルカメラ】

シーン1:11/18・午後20:29・気温6℃・(@0:07〜) 
野ネズミが給餌場に現れたのは、翌日の晩になってからでした。 
下の斜面にオニグルミの堅果が散乱したままになっています。 
昼行性のリスが拾いに来るかと期待したのですが、どうやら現れなかったようです。 

冷たい秋雨がぱらつく夜に、野ネズミは餌場で選んだクルミの殻の表面にこびりついていた果皮 を毟り取っていました。 
ようやく咥えやすくなったクルミを画面の下方に持ち去りました。 
しばらくすると(1分25秒後)、貯食を済ませた野ネズミが斜面の下から餌場に戻ってきました。 
今度は餌場の下の斜面に転がっていたクルミを選び、右下に運び去りました。 


シーン2:11/18・午後20:34・(@0:45〜) 
これ以降は、トレイルカメラの取得した気温データは信頼できません。 
赤外線の暗視動画を連続で撮影すると、カメラ自体が発熱して気温が異常値を示すからです。 
餌場でクルミを選ぶと、下の斜面に運び去りました。 
しばらくすると(約1分20秒後)、貯食を済ませた野ネズミが斜面の下からピョンピョン跳んで餌場に帰ってきました。 
次もクルミを1個、下に持ち去りました。 
画面の下端で立ち止まったのは、持ちにくいクルミをくるくる回して咥え直したのでしょう。


シーン3:11/18・午後20:43・(@1:34〜) 
カメラの起動が遅れたようで、野ネズミがカラマツの右横を通って斜面を駆け上がる後ろ姿しか撮れませんでした。 
持ち去ったクルミを隠す場所をときどき変えています。 
しばらくすると(約1分20秒後)、貯食を済ませた野ネズミが斜面の上から駆け下りて来ました。 
カラマツの左側を通って餌場に到着。 
クルミ堅果にこびりついていた果皮を齧り取ってはその場に吐き出しています。 
重労働のため少しでも荷物を軽量化したいのでしょう。
私がオニグルミ堅果を拾い集めた際に予め果皮も取り除いたつもりだったのですけど、 不十分だったようです。
逆に、果皮が付いたままのオニグルミ果実を丸ごとそのまま与えて、野ネズミの皮剥き行動をしっかり観察するのも面白そうです。
選んだクルミを持ってカラマツの左を通り斜面を駆け上がると、姿を消しました。 


シーン4:11/18・午後20:50・(@2:11〜) 
またもやカメラの起動が間に合いませんでした。 
2分間の動画撮影直後の5秒間の休止中に野ネズミが餌場に戻ってきたと推測されます。 
カラマツの右横を通って斜面をジグザグに駆け上がる野ネズミの後ろ姿が写っていました。 


シーン5:11/18・午後20:53・(@2:24〜) 
給餌場に来た野ネズミがクルミの表面を加工してから、下に運び去りました。 


シーン6:11/18・午後20:55・(@3:04〜) 
餌場で選んだオニグルミを咥えてカラマツの根元を右に回り込み、斜面を駆け上がりました。 


シーン7:11/18・午後21:00・(@3:31〜) 
餌場でクルミを選ぶと、前回と同ルートで斜面を駆け上がりクルミを持ち去りました。 
2分間の撮影時間内に野ネズミが戻って来ないということは、貯食場所が少し遠いのでしょう。 


シーン8:11/18・午後21:03・(@4:00〜) 
野ネズミが給餌場でクルミを選んでいる間に、夜行性の冬尺蛾♂が飛来し、左から右へ横切りました。 
雨が降っていても元気に飛び回るのですね。 

野ネズミはクルミを持って今度は左下へ。 
しばらくすると(約1分10秒後)、貯食を終えた野ネズミが左下から餌場に直帰しました。 
餌場の下の斜面に転がっていたクルミを見つけて表面を加工している間に録画終了(尻切れトンボ)。 


シーン9:11/18・午後21:10・(@4:58〜) 
餌場からクルミを咥えて右下へ。 


シーン10:11/18・午後21:33・(@5:22〜) 
右から餌場に戻って来た野ネズミが、クルミを持って今度は右の斜面を駆け上がりました。 


シーン11:11/18・午後21:58・気温10℃(@5:44〜) 
撮影間隔がだいぶ開いたので、野ネズミはどこか安全な場所で休憩(食餌?)していたようです。 
再び雨が降っています。 
カメラの起動が間に合わず、野ネズミがカラマツの右横を通って斜面を駆け上がる後ろ姿しか写っていませんでした。 


シーン12:11/18・午後22:08・(@5:54〜) 
餌場直下の斜面で野ネズミがクルミを探しています。 
見つけたクルミの表面を加工(果皮を除去)してから左に持ち去りました。 


シーン13:11/18・午後22:14(@6:22〜) 
野ネズミが餌場直下の斜面でクルミを探し回り、落ち葉の下からようやく最後の1個を発見しました。 
林床の落ち葉に隠れて肝心の口元が見えませんが、堅果を覆っていた果皮をその場で念入りに取り除いているようです。 
表面の加工にしてはあまりにも時間がかかり過ぎているので、もしかするとオニグルミの堅い殻に歯で穴を開けて食べ始めたのでしょうか? 
いくら餌場に慣れてきたとは言え、果たして危険な野外で食餌するかな?(油断大敵) 
最後は毛繕いをしています。 

野ネズミは冷たい雨に濡れても低体温症にならず、元気に活動を続けています。 
働き者の野ネズミは、たった一晩で餌場のクルミを全て持ち去りました。 

※ 映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施しています。 




4日後に給餌場を現場検証すると、オニグルミの堅果を全て持ち去られた後の地面に黒い果皮が多数残されていました。
野ネズミが歯でオニグルミの果皮を細長い筋のように剥いて捨てた跡です。



ベッコウバエの婚活パーティーで独身♀に求愛しても振られ続ける「あぶれ♂」(交尾拒否)

 



2022年11月上旬・午後12:05頃・くもり 

腹部の色で性別をかんたんに見分けることができるベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)は、配偶行動の観察に向いています。 
腹部が黒光りしているのが♀で、黄金色の毛が密生しているのが♂です。 

少し時間を置いたら、逃げていたベッコウバエ♀♂がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dに多数戻って来ました。 
複数のベッコウバエ♀がタヌキの糞を舐めています。 
独身の「あぶれ♂」が翅を小刻みに開閉しながら交尾相手♀を求めてうろついています。 
性比は珍しく♀の方が多くて、♂にとっては夢のハーレム状態(交尾し放題)のはずです。
ところが、あぶれ♂が近くに居る単独♀に次々に飛び乗って求愛・マウントしても、なぜか連戦連敗です(ふられ続ける)。 
早い者勝ちの♂が♀の背に乗って配偶者ガードしている訳でもないのに、単独♀が単独♂の求愛を断るのは不思議です。 
交尾済みの♀は2度と交尾しないのでしょうか? 
それなら♂が♀を交尾後ガード(配偶者ガード)する必要はなくなります。
それとも♀は交尾相手の♂を厳しく品定め・選り好みしているのでしょうか? 
♀が同意しなければ♂がマウントしても交尾は成立しません。

あぶれ♂に度重なる求愛を受けても(セクハラ)、♀は嫌がって逃げたりしないで、落ち着いて吸汁を続けています。 
交尾拒否すればあぶれ♂が紳士的に諦めてくれるので、安心できるのでしょう。 
しかし、ベッコウバエ♀が交尾拒否する意思表示法が私には分かりません。 
♂にマウントされた♀が腹端を下に屈曲するのが交尾拒否なのかな? 
たとえば♂にマウントされた♀が胸部の飛翔筋を高速で動かして、体の振動で♂にお断りの合図を出しているのかもしれません。 
高性能のマイクを溜め糞に仕込めば、かすかな羽音も聞き取れるはずです。 

♀も脚を持ち上げて広げることで、隣の♀が近づかないよう牽制しています。
しかし「あぶれ♂」は♀から足蹴にされないよう前後から求愛アプローチしてマウントを試みます。

次はベッコウバエ♀の産卵行動を観察したいものです。




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