2021年7月下旬・午後12:05頃・晴れ
登山口から里山を登り始めてすぐの地点。
山道の横の落ち葉が堆積した溝の辺りを1匹のシダクロスズメバチ(Vespula shidai)のワーカー♀が低空で飛び回っていました。 林床のとある区画になぜか執着し、思わせぶりにホバリング(停空飛翔)し続けていました。
こんな行動は今まで見たことがありません。
一体何をしているのでしょうか?
シダクロスズメバチは地中に営巣します。
この辺りに巣口があったのかもしれません。
もしかすると私が巣の存在を知らずに歩き回ったり座ったりしたせいで、シダクロスズメバチの巣口が埋もれてしまい、外役から帰巣したワーカーが迷子になってるのでしょうか?
しかしそれなら、もっと多数の蜂が飛び回る気がします。
素直に考えれば、獲物を探索するワーカー♀の探餌飛翔でしょう。
シダクロスズメバチ♀が興味を示した地点には、多数のアリも集まっていることに気づきました。
しかしクロスズメバチの仲間がアリを狩るという話は聞いたことがありません。
シデムシが落ち葉の下に埋めた死骸の放つ死臭にアリやシダクロスズメバチ♀は誘引されたのではないかと想像しました。
しかし私の鼻では何も嗅ぎ取れませんでした。
この辺りの落ち葉をめくって徹底的に探してみるべきでしたね。
実はこのとき私は、スズバチの営巣活動を撮影するための待ち時間に片手間で撮影していたので、スズバチの泥巣からあまり目を離す訳にはいきませんでした。
関連記事(7日前の撮影)▶ 山形県に泥を塗るスズバチ♀:造巣行動
シダクロスズメバチ♀による謎のホバリング行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:05〜) かなり薄暗い林床なので、カメラの設定で予め明るさを上げました。
落ち葉に覆われた林床の特定の区画に興味を示して離着陸やホバリングを繰り返しています。
飛翔中のシダクロスズメバチは脚を体軸に沿って後方に伸ばし、空気抵抗を減らしていました。
アシナガバチの飛行姿勢とはまるで違います。
ホバリングしながら後脚で腹部の側面を擦って身繕いすることもありました。
林床に一瞬着地している間も羽ばたき続けています。
落ち葉の下を覗き込むような仕草も見られました。
そのときも羽ばたきを止めません。
大小のクロアリも落ち葉の上や下を多数走り回っています。
その中で私が見分けられる蟻は、大型のクロオオアリ(Camponotus japonicus)ぐらいです。 シダクロスズメバチ♀とアリがニアミスしても喧嘩することはありませんでした。
スローモーションを見直すと、シダクロスズメバチ♀だけでなく、何か非常に微小な蜂?(双翅目かも)も飛び回っていることに気づきました。
同様に林床を低空でホバリングしています。
寄生性のハチとかハエなら面白いのですが、おそろしく微小な昆虫なので、正体不明です。