2021/06/17

浅くて小さな池は繁殖期のヤマアカガエルに不人気?(岸辺で♀を待つ♂同士の誤認抱接/縄張り争い)

前回の記事:▶ 産卵地点を決めかねて繁殖池の底と岸辺を往復するヤマアカガエル♀♂抱接ペア

2021年3月中旬・午後13:10および14:40頃・晴れ 

雪山で大きな池H(high)から溢れた雪解け水が下段の小さな池L(low)に流れ込んでいます。 
大小2つの池は繋がっているので同じ水質だと思うのですが、繁殖期に入ったヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)の多くは池Hに集まり、池Lはあまり人気がありません。 
したがって池Hでの撮影が多かったのですけど、池Lで少しだけ撮れたヤマアカガエルの映像をここでまとめておきます。 
他には求愛歌の動画も池Lで撮影しました。 

池Lは日陰になっている部分が多いので、水温が低いのかもしれません。(測定すべき) 
また、池Lは水深が浅く、ショウブ類のような抽水植物の遺骸が底に堆積しています。 
2つの池の間でヤマアカガエルの行き来があるのかな? 
運悪く(?)この池Lで冬眠した個体が早春に目覚めて繁殖活動を始めた場合、「井の中の蛙大海を知らず」のように隣の池Hの存在を知らないまま過ごすのでしょうか?
そんなはずはありません。
なぜなら、♂が求愛歌を鳴いて♀を呼ぶので、近くに別の繁殖池があることは互いに聴覚で認識できるはずです。
ヤマアカガエルが冬眠する条件としては、2つの池のどちらが適しているのでしょう? 
産卵に適した条件とはまた違うのかもしれません。
たとえば水深が浅いと「寒の戻り」で池の水が凍結しやすく、卵塊や幼生が死滅するかもしれません。
逆に、浅い池Lの方が抽水植物の遺骸など幼生(オタマジャクシ)の餌となる有機物の量が多そうです。

♂同士の♀獲得競争が激し過ぎる池Hはいわばレッドオーシャンなので、何か別の勝算があればブルーオーシャンの池Lに来る♂がいても不思議ではない…かな?

シーン1: 
日陰の岸辺に1匹の独身♂が浮かんで池の外側を向き、♀が来るのを待機していました。 

シーン2: 
岸辺で隣り合う独身♂同士で誤認抱接したようです。(跳びつく瞬間は撮り損ね) 
本当の(♀相手の)抱接とは違ってしがみつく力は緩いのですが、マウントを取ると背後から体当たりのように何度も相手をぐいぐい押しています。 
やられた♂は小声でリリースコール♪を発していましたが、やがて逃げて行きました。 
池Hでも見られたこの行動は♂同士の闘争(縄張り争い)だと私は考えています。 
繁殖期のヤマアカガエルで縄張り行動は見られないというのが定説になっているらしいのですが、どうも私には納得できません。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

観察初日の記録は以上です。 

2021/06/16

営巣地に領空侵犯したトビを追い払うハシブトガラス(野鳥)

前回の記事:▶ ニセアカシアの枝を運んで高架橋の側面に巣作りを始めたハシブトガラス♀♂(野鳥)
2021年3月下旬・午前9:25頃・くもり 

高速道路の高架橋の側面に営巣したハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の♀♂つがいを観察していると、巣から飛び出した1羽が近くの電柱の天辺に止まりました。 
腹面の羽毛が乱れているのは、初期巣を作っている作業の影響でしょうか? 
未だ産座を作る段階ではないので、自分の羽毛を毟り取ったはずはありません。(まさか♀の抱卵斑?) 
それとも興奮すると鳥肌が立って全身の羽毛が逆立つのかな? 
カメラを左にパンすると、広い農地を挟んで離れた所に立っている別の電柱の天辺にパートナーが陣取っていました。 
左を向いて大きく広げた翼を上下に動かしながら威嚇の鳴き声♪を上げました。 
繁殖期のカラスは縄張り侵入者に対して警戒を強めています。 

しばらくすると、ハシブトガラスは初期巣を作っている高架橋に戻りました。 
巣があるのと反対側の橋脚の手摺に止まり、周囲を警戒しています。 
急に飛び立ったので、てっきりしつこくカメラを向けている私を攻撃してくるかと焦りました。 
しかしカラスは左旋回すると高架をくぐり抜け、縄張りに侵入した鳥を追いかけ始めました。 
撮影中は隣の縄張りのカラスがちょっかいをかけに来たのかと思ったのですが、1/5倍速でスロー再生してみると、縄張り侵入者の正体はトビMilvus migrans)でした。 
つまり天敵の猛禽に対するモビング(擬攻撃)と判明。 
慌てて逃げるトビに空中戦を挑んで縄張りの外に追い出すと、ハシブトガラスはもう深追いしませんでした。 
近くの電線に止まり、興奮したように勝どきの声♪を上げているようです。(聞き取れず) 
尾羽根を高々と持ち上げる動きを繰り返しているのは、激しく揺れる電線でバランスを保つための行動でしょうか。 
モビング直後で気が立っていたカラスは、電線に止まっていた先客の小鳥に対しても威圧的に振る舞い、追い払ってしまいました。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

産卵地点を決めかねて繁殖池の底と岸辺を往復するヤマアカガエル♀♂抱接ペア

前回の記事:▶ 繁殖池の岸に上陸して産卵場所を探し回るヤマアカガエル♀♂の抱接ペア(その4)崖から滑落・ライバル♂を撃退-+

2021年3月中旬・午後15:25頃・晴れ 

雪山の池Hでヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)の抱接ペアが水底から対岸の岸辺に向かって慎重に上がって来ました。 
岸辺の水草の辺りで静止し、周囲の様子を窺っています。 
岸の残雪の端から雪解けした水滴が池の水面にポタポタと滴り落ちて波紋が広がっています。 
しばらくすると抱接ペアが何かに驚いたのか、それともこの場所は産卵に不適と判断したのか、岸辺から水中に潜ってしまいました。 
池の底では近くに潜んでいたあぶれ♂が気づいて抱接ペアに少し近づいたものの、♀の争奪戦(蛙合戦)には至りませんでした。 

7分後、同じ池内でも別の方角の岸辺にヤマアカガエルの抱接ペアが現れました。
(同一ペアかどうか不明)
別個体♀によって最近産みつけられた大量の卵塊の近くです。
♀の背にしがみついた♂が喉をヒクヒクサせているのは、小声で♀にささやきかけているのかな? 

繁殖池Hにおける観察初日の記録は以上です。 


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