2021/04/27

初冬のリンゴ園で下草のクローバーを採食するニホンザルの群れ

 

2020年12月上旬・午前11:40頃・くもり 

里山から降りてきた野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが山麓のリンゴ園に次々と侵入してきました。 
食用果実の収穫は既に終わっていて、リンゴの樹々は完全に落葉していました。 
収穫後のリンゴ園で一体何を食べに来たのかと不思議に思って観察すると、意外にも主に下草を採食していました。 
緑の草本植物を片手で次々にむしり取って口に運んでいます。 
下草にはイネ科の雑草やオオバコ、ヨモギなどが見えるものの、採食メニューは初め不明でした。 
私に撮られていることに気づくと猿は食事中に背を向けたり木陰に隠れてしまうのです。 

私が唯一見分けられた採食メニューは、おそらくシロツメクサと思われるクローバーの葉です。 
マメ科のクローバーは土壌を改良する効果もありますし、カバープランツとして積極的に植えているリンゴ園が多いのだそうです。 
全ての雑草を目の敵にして除草剤を撒くよりもクローバーでリンゴ園の林床を被覆する方が、リンゴの害虫を捕食する天敵昆虫の密度が高まる、という一石二鳥の効果も期待されています。 
春にリンゴの花の受粉を助けてくれるハナバチ類を養うためには、年間を通して下草に花が咲いていることが必要です。
考えてみると、クローバー畑ほど栄養豊富な植物群落は初冬の山林には生えていませんから、ニホンザルの群れが里のリンゴ園に通ってくるのも当然ですね。
食後に猿が糞を残してくれれば、リンゴ園の肥料になります。

冒頭シーンではオオバコの葉も食べた気がします。 
猿は明らかに緑の草を選り好みしており、リンゴの落ち葉を拾い食いすることは全くありませんでした。 

登場する個体の多くは胸にピンクの長い乳首があるので経産♀ですね。 

繁殖期が始まったせいか、ときどき群れのニホンザル同士で喧嘩が勃発します。 
近くで悲鳴♪が上がっても、採食中の個体は気にしませんでした。 

※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 




2021/04/26

雪の日に川の護岸で採食するホオジロ♂(冬の野鳥)

 

2020年12月中旬・午後14:30頃・雪

雪が降りしきる午後、街なかを流れる川でホオジロ♂(Emberiza cioide)がそそり立つコンクリート護岸を横に移動(トラバース)しながら採食していました。 
コンクリート護岸の急斜面は枯れ草と緑色のコケ(蘚類)で覆われていて、ホオジロ♂は草の実(種子)を必死で探して食べているようです。 
イネ科の枯れ草を繰り返し嘴で咥えています。 
パッチ状に残った雪の下に埋もれた枯れ草も啄んでいました。 
コンクリート護岸上に生えたコケも啄んでいましたが、コケそのものを食べたのか、それともコケに紛れ込んでいた草の種子を食べたのか、定かではありません。 
映像を見る限り、越冬昆虫を見つけ出して捕食しているようには見えませんでした。 

最後は何か物音に驚いて、上流に飛び去りました。

寄主アカタテハの蛹から羽化した寄生蜂の群れ【名前を教えて】

 

アカタテハの飼育記録#14 


今季はカラムシの群落で見つけたアカタテハVanessa indica)の垂蛹を計4頭採集し、室内で飼育してきました。 
そのうち3頭a-cは無事に成虫が羽化したものの、残る1頭dは蛹の時点で異常でした。 
しつこく蛹をつまんだりしても全く無反応だったので、体内寄生されているだろうと予想しました。
▼前回の記事(24日前の撮影) 
アカタテハ蛹の体内寄生チェック

2020年11月中旬・午後 

被寄生アカタテハ垂蛹dを密閉容器(直径10cm、高さ8cmの円筒容器)に隔離して放置していたところ、ようやく予想通り微小な寄生蜂の成虫が多数羽化していました。 
羽化の前兆が全く分からなかったので、その瞬間を動画に記録できなかったのが心残りです。 
寄主のアカタテハ垂蛹に黒くて丸い穴が一つ開いています(脱出孔)。 

寄生蜂はかなり微小で全身が黒光りしていて、脚だけが黄土色。 
素人目にはずんぐりむっくりの体型に見えます。 
触角もコマユバチと比べて短いようです。 
腹面から接写しても腹端に産卵管も見えないのが不思議です。(♂だから?) 

寄主の蛹に産卵する殺傷型内部捕食性多寄生蜂のようです。 
可能性は低いものの、高次寄生蜂(寄生蜂に寄生する蜂)かもしれません。 
寄生蜂の終齢幼虫が寄主の外に脱出して繭を紡ぐことはしなかったので、コマユバチ科ではありません。 (寄主アカタテハの蛹を解剖したら内部に寄生バチの繭が多数残されているのかな?) 

表面が汚れている透明プラスチック容器越しに撮ったので、やや不鮮明な映像です。 
(予め容器の蓋を外して代わりに薄いサランラップを張っておくべきでした。) 
立ち止まって身繕いしている個体がいました。 
しかし容器内を飛び回る個体は見当たりませんでした。 

昼行性なので当然ながら正の走光性があり、照明(白色LEDのUSBリングライト)の光に向かって画面の左上に進みます。 
その結果、明るい照明に向いた容器壁面に寄生蜂は集結していました。 
円筒容器をくるくる回すと、寄生蜂は光が射す方向に歩いて移動し、再集合します。(走光性の実演) 
このとき交尾している♀♂ペアが居たのに気づきませんでした。(@1:40:画面中央) 

森昭彦『イモムシのふしぎ:ちいさなカラダに隠された進化の工夫と驚愕の生命科学』という本でアカタテハについて調べると、
 アカタテハは寄生率がとても高く、4齢から終齢に育ったころ、ちいさなハチの子が20〜30匹もでてくる。(p170-171より引用)
残念ながら寄生蜂の名前(学名)を正確に記されていませんでした。 
ただし、今回私が観察した寄生蜂はアカタテハの幼虫ではなく蛹から成虫が出てきたので、この本の記述とも違いますね。 

寄生蜂の種類を同定してもらうために、容器内に多数残された寄生蜂の死骸を接写して写真を掲載する予定です。 
(動画の整理で忙しく、なかなか手が回りません…。) 
肉眼では黒色に見えたのですが、写真を撮るためにストロボを焚くと体表が金属光沢の緑色(構造色のメタリックグリーン)に輝くようです。
少なくとも羽化した個体数と性比ぐらいはしっかり調べるつもりです。 
寄生蜂の成虫の翅脈を接写すれば、ヒメバチ科かコマユバチ科か簡単に見分けられるのだそうです。 

今のところ何の根拠もありませんが、素人のあてずっぽうでコガネコバチ科のアオムシコバチ(Pteromalus puparum)の仲間かな?と勝手に予想してみました。 
ただしアオムシコバチの寄主はシロチョウ科およびアゲハチョウ科と書いてあり(『狩蜂生態図鑑』p148)、タテハチョウ科は含まれていなかったので、おそらく別種と思われます。 (※追記参照)
そもそもアカタテハの幼虫はいわゆる「アオムシ型」ではありません。 

Information Station of Parasitoid Waspsサイトで寄主から検索しても、アカタテハは今のところ登録されていませんでした。 

※【追記】
英語版Wikipediaではオーストラリアに産するタテハチョウ科のVanessa iteaに蛹寄生する蜂の一例としてアオムシコバチ(Pteromalus puparum)が上げられていました。
どうやら寄主選択性が低く、タテハチョウ科にも寄生できるようです。

シリーズ完。

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