2020/11/06

スキバホウジャク(蛾)を吸汁し獲物を抱えて飛ぶシオヤアブ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年8月上旬・午後13:05頃・晴れ 

河原の土手の草むらで獲物をしっかり抱きしめたシオヤアブ♀(Promachus yesonicus)がススキの葉に止まっていました。 
餌食となったのはスキバホウジャクHemaris radians)でした。 
近似種クロスキバホウジャクと迷いましたが、「こんちゅう探偵団」さんのブログ記事に書いてあった識別点が参考になりました。
近似種のスキバホウジャク[Hemaris radians]に似るが、クロスキバホウジャクの後翅基部付近には黄褐色の色彩は見られない。 またクロスキバホウジャクの上翅外縁の茶色の縁取りは内縁鋸歯状にはならず、スキバホウジャクの縁取りよりも細い事などで区別する事が出来る。 クロスキバホウジャクは淡緑色で、腹部第4・5・6環節背面は黒色、これより後方は黄色。
シオヤアブ♀は、獲物の背に馬乗りになり首元に吸い付いていました。 
蛾はもう死んでいるようで、翅を広げたまま動きません。 
獲物は死ぬまで暴れたのか、シオヤアブの体は蛾の白い鱗粉で汚れています。 
シオヤアブ♀が自分の体よりも大きな獲物を狩るとは驚きです。 
飛翔性能に優れたスキバホウジャクを一体どうやって仕留めたのか、狩りの瞬間を見逃したのが残念です。 
ホウジャク類は気温の高い夏の昼間でも準備運動しないと飛び立てないのかな? 

 獲物を吸汁するシオヤアブ♀は忙しなく腹式呼吸しています。 
吸汁しながら腹端をヒクヒクし始めたので脱糞するかと期待したものの、何事も起こりませんでした。  

シオヤアブ♀が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:42〜) 
羽ばたきを始めると脚で掴んでいたススキの葉を離し、飛び立ちました。 
飛翔時は腹端を上に反らしてやや海老反り姿勢になりました。(バランスを保つため?) 
獲物をしっかり抱えたまま、周囲の雑草の茂みを避けつつ飛び去りました。
重くて空気抵抗も大きい荷物なのに、獲物を軽々と運んで行くシオヤアブ♀のパワー(飛翔力)に驚きます。

オオイタドリの葉を舐め回すルリイロハラナガハナアブ♀の謎

 

2020年8月上旬・午後14:50頃・晴れ 

堤防路に沿って自生するオオイタドリ群落の葉の上で、ルリイロハラナガハナアブの一種が奇妙な動きをしていました。 
腹端を中心として扇状に(ジグザグに)歩き回るのが異性を惹きつける誇示行動(ディスプレイ)なら面白いと思ったのですが、よく見ると摂食行動でした。
葉の表面を効率的に(無駄なく)走査するように舐め回すための動きなのでしょう。 
少しだけ飛んで隣の葉に移動し、謎の摂食を続けます。 

オオイタドリの花から葉に落ちた白い花粉を舐めているのだとすれば、どうして訪花して直接舐めないのでしょうか? 

イタドリの仲間には葉柄の根元に花外蜜腺の存在が知られています。 
葉の表面もほのかに甘いのでしょうか? 
だとすれば、アリのように花外蜜腺を直接舐めに行かないのは不思議です。  
▼関連記事(4、12年前の撮影)


後半はマクロレンズを装着して接写してみました。 
被写体の動きが素早いために目が回って酔いそうな映像なので、1/5倍速のスローモーションでご覧頂きます。(@2:36〜)
どうやらルリイロハラナガハナアブ♀は、葉の表面に粉を吹いたような白い点々を舐め取っているようです。 
この白い粉状の物体はアブラムシが排泄した甘露なのかな? (※追記参照)
一方、鳥が葉に落とした白い糞?には執着しませんでした。(@4:15)  

最後、葉上の落花を見つけて舌で触れた途端に、飛んで逃げてしまいました。(@4:30) 
口吻を葯に押し付けたら落花が動き、それに驚いたようです。  

左右の複眼が離れているので♀です。 
撮影後にビニール袋で採集を試みたものの、間一髪で逃げられてしまいました。 
おそらくナミルリイロハラナガハナアブXylota amamiensis)またはミヤマルリイロハラナガハナアブ(Xylota coquilletti) だと思います。



※【追記】
日本植物病理学会『植物たちの戦争:病原体との5億年サバイバルレース』という本(ブルーバックス・シリーズ)を読んでいたら、「オオイタドリの葉の表面が白い粉を吹いていたのは、うどんこ病の一種かもしれない」と思いつきました。
ルリイロハラナガハナアブがうどんこ病の白い菌糸?(胞子?)を積極的に摂取しているのだとしたら、とても興味深い習性です。
宿主特異性が高いので、昆虫が植物病原菌を食べても病気になることはまずありません。
ルリイロハラナガハナアブは、植物群落でうどんこ病の感染を広める媒介生物になっている可能性が考えられます。(※追記2参照)
植物病理学に関して私は未だ勉強を始めたばかりなので、全く的外れな仮説かもしれませんが、備忘録として残しておきます。
この分野もなかなかエキサイティングですね。

「日本植物病名データベース」サイトで検索すると、タデ類を宿主とするうどんこ病の病原菌が突き止められているそうです。
宿主 タデ類, イブキトラノオ, ツルソバ, イタドリ, ツルタデ, ミズヒキ, ヤナギタデ, サナエタデ, オオイヌタデ, イヌタデ, タニソバ, オオケタデ, イシミカワ, ハナタデ, ママコノシリヌグイ, アキノウナギツカミ, ミゾソバ, ムカゴトラノオ
Polygonum spp.
病名 うどんこ病
病名読み udonko-byo
病名英名 Powdery mildew
病原 Erysiphe polygoni de Candolle
文献 野村幸彦ら:東農大農学集報 22:301, 1977
丹田誠之助:日本植物病害大事典(岸 國平編):1206, 1998
備考 イヌタデ・オオイヌタデに発生
外部サイト 日本植物病害大事典 (BOUJO.net)
この菌(Erysiphe polygoni)は、タデ類の他にキュウリやオシロイバナなども宿主とするらしい。


※【追記2】
例えばキイロテントウIlleis koebelei)は、成虫・幼虫ともに、植物につくうどんこ病菌などの菌類を食べる益虫として知られています。



2020/11/05

ヒマワリ畑で種子を食べ脱糞するカワラヒワ♂(野鳥)

 

2020年8月上旬・午後16:20頃・晴れ 

カワラヒワ♂(Carduelis sinica)がヒマワリ(向日葵)のうなだれた頭花の裏面に乗って、隣の株の種子を外側から啄んでいました。 
結構長い時間居座り、種子を次々に食べています。 
近くでスズメの群れも同様にヒマワリの種を食べに来ていたのですが、カワラヒワ♂はスズメと混群を作らずに少し離れて採食していたのが興味深く思いました。 
共に種子食性ですから、ライバル関係にあるのでしょう。 


しばらくするとカワラヒワ♂は、嘴が届く範囲の種子を食べ尽くしたようです。
今度は食べていたヒマワリの頭花の上に飛び乗り、今度は足元の種子を啄み始めました。 
ようやく日向に出て来てくれたおかげで、頭部が緑色っぽい♂で間違いありません。 
次は左側の小さな頭花のてっぺんにピョンと移動しました。 
それまで立っていた頭花の下側を覗き込んで、種子の出来具合を調べています。 
結局、 元の体勢に戻って採食を再開。 
食事の合間に白い糞をポトリと排泄しました。(@3:28)
鳥が木の実を食べた後に脱糞すると普通は種子散布になりますが、カワラヒワは種子そのものを割って食べる種子捕食者ですから、ヒマワリは食べられ損です。
食べ放題でもなかなか満腹にならないようで、カワラヒワ♂は飛び去る気配がありません。
▼関連記事(6年前の撮影) 
ヒマワリの花から種子を啄むカワラヒワ(野鳥) 
ヒマワリの種子を口移しで給餌♪するカワラヒワ(野鳥)の親子

ところで、ヒマワリの花は東に向いて咲くとの俗説があります。 
しかし、ご覧の通り、花が向いている方角は揃っておらずバラバラでした。 

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