2019/08/27

ウスバキトンボ♂を捕食し円網を取り壊すアカオニグモ亜成体♀(蜘蛛)



2016年9月中旬・午後17:01〜17:22・曇りのち小雨

湿地帯の近くの道端にアカオニグモ♀b(Araneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
セイタカアワダチソウの先端に近い葉を糸で綴った隠れ家に腹部の黄色い亜成体♀bが潜んでいます。
そのセイタカアワダチソウおよび隣に生えたアメリカセンダングサの茎を外枠の支柱として、直径約20cmの小ぶりな垂直円網がきれいに張られていました。
地上から網のこしきまでの高さは約120cm。
交接の機会を待つアカオニグモ♂の姿は近くに見当たりませんでした。
網の左下が一部破損しているので、この日は既に何か獲物がかかった後のようです。
別個体♀aが張った網のすぐ近くですが、2匹が張った円網の向きは異なっていました。

近くで捕獲したウスバキトンボ♂(Pantala flavescens)を円網の右下部分に給餌してやると、暴れるトンボの振動に反応して隠れ家からアカオニグモ♀がすぐに出て来ました。
駆け付けたクモは暴れるウスバキトンボの胸背に噛みついて毒液を注入します。
噛まれたトンボはすぐにおとなしくなった…と思いきや、再び激しく暴れました。
捕帯の糸を大量に使って強引にラッピングを始めました。
トンボの周囲の糸を切りながら、自分がトンボの周りを回って捕帯を掛けています。
(もっと成長したクモなら、歩脚で獲物をクルクルと回しながらその場で捕帯を掛けるはずです。)

獲物を網に残したまま、隠れ家に一旦戻りました。
このときラッピングした獲物から糸を引いて行き、引き糸の端を隠れ家の付近に固定したようです。
隠れ家でアカオニグモ♀は身繕いして、しばし休憩。
毒液がトンボの体内に回るのを待っているのでしょう。
再び隠れ家から出て、網に残したラッピング済の獲物を取りに戻りました。
この頃から小雨が降り始め、円網に水滴が付くようになりました。
私は小さなビニール袋をカメラの上に広げて、濡れないようにガードしました。

ようやく網からトンボの包みを切り外すと、吊り下げた状態で捕帯でしっかりラッピングします。
トンボの翅や長い腹部も丸め込まれて全体がコンパクトになり、小型のアカオニグモ♀は歩脚で獲物をくるくる回しながらその場でラッピングできるようになりました。
(風が吹いて回っただけ?)

ラッピングが完成すると、右の第4脚の先に獲物をぶら下げて、ようやく隠れ家に持ち帰りました。
このラッピング作業により、円網のこしきも含めてほぼ全体が壊れてしまいました。
隠れ家に落ち着いたアカオニグモ♀は身繕いしてから獲物を引き上げ、捕食開始。

撮影機材や荷物が雨に濡れないように私が慌てて撤収していたら、アカオニグモ亜成体♀bが食事を中断して隠れ家から出て来ました。
獲物は隠れ家に吊るしたまま、円網を自分で取り壊し始めました。
網が雨で濡れてしまうと横糸の粘着力も落ちるので、獲物を捕らえる罠として使い物にならなくなります。
もう十分な獲物が獲れたので、店仕舞いするのでしょう。
円網を張ったままにしておくと、夕立や嵐などの悪天候で枠糸なども破損してしまう恐れがあるのでしょう。
クモは賢いですね。
破網しながら白っぽい液状便を2滴、排泄したようですが、残念ながらピンぼけです。
しまいかけたカメラを慌てて取り出して動画で記録したものの、薄暗くなってきたのでカメラのAFが合焦しにくく、撮影に苦労しました。
破網後はセイタカアワダチソウとアメリカセンダングサの支柱を水平に結ぶ太い枠糸だけが残されていました。
アカオニグモ亜成体♀は隠れ家に戻って食事を再開しました。


アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏・全景
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏+ウスバキトンボ♂捕食
アカオニグモ亜成体♀b(蜘蛛)@隠れ家:セイタカアワダチソウ葉裏+ウスバキトンボ♂捕食・全景

ウスバキトンボ♂:胸部側面@捕獲
ウスバキトンボ♂:翅の縁紋@捕獲
ウスバキトンボ♂:顔@捕獲
ウスバキトンボ♂:腹端@捕獲

2019/08/26

ノスリの雛が孵化した!(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#6


2019年5月中旬

9日ぶりの定点観察。
昼前と夕方の2回、撮影しました。
営巣木の周囲の枝葉が茂り、巣が隠されつつあります。
在巣のノスリButeo japonicus)親鳥は抱卵期より姿勢が高く、立っているのかと思いました。

やがて、親鳥の左下で白い幼綿羽ようめんうの雛鳥が動きました!(@0:30)
雛が卵から無事に孵化していたことが分かり、一安心。
白いぬいぐるみのような雛は、少なくとも2羽見えます。
猛禽類の雛を初めて観察できて、感動しました。
親鳥(おそらく♀)の行動も抱卵から抱雛に変わっていたので、姿勢が高く見えたのでしょう。

雛に付き添う親鳥が頻りに顔を左右に振っているのは、顔にたかるハエを払っているのでしょう。
辺りをキョロキョロ見回して警戒を怠りません。
猛禽類は肉食性ですから、食べ残しや糞で巣内が不衛生になりがちです。
そのため猛禽類の巣には巣材の他に、殺菌・防腐効果が高いとされる針葉樹などの青葉の付いた枝葉がしばしば産座に持ち込まれるらしいのですが、このアングルではよく見えません。

ところで、営巣木の柳に丸みを帯びた大きな葉が付いているように見えるのは、どういうことでしょう?
柳の幹に蔓植物が巻き付いているのだと思うのですが、なんとなくツルウメモドキとかサルトリイバラですかね?
営巣木の両隣にある木は、葉の特徴からニセアカシアと確定しました。

ちなみに、画面を次々に横切る白い物体は、綿毛の付いた柳の種子で柳絮りゅうじょと呼ばれます。
この時期に河畔林の柳から種子が風散布されるのです。

つづき→#7:ハシボソガラスにモビングされて逃げるノスリの親鳥(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱雛
ノスリ(野鳥)巣@柳樹上・全景

草刈り中の土手に来たハクセキレイ♀の謎(野鳥)



2019年6月上旬

川沿いの土手で数人の作業員が草刈り機を使った除草作業をしていました。
そのうるさいエンジン音をものともせず、川岸に居たハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が草刈り直後の土手に向かって小走りで移動しました。
草刈りでバッタなどの虫が次々に飛び出してくるのを期待して捕食に来たのだとしたら、一種のオートライシズムと言えるでしょう。


▼関連記事
耕運機を利用して虫を捕食するムクドリの群れ:オートライシズム(野鳥)

しかし残念ながら捕食シーンは撮れませんでした。
もう一つ別な解釈は、土手の草むらに巣があったのに草刈りされてしまって呆然としている親鳥♀かもしれません。
私はハクセキレイの巣を未だ見つけたことはありませんが、こういう場所には営巣しない気がします。


ハクセキレイ♀(野鳥)@探餌徘徊:土手(草刈り直後)

ランダムに記事を読む

  • 死んだハシボソガラス幼鳥(野鳥)の生物分解18/10/2014 - 0 Comments
  • オオヨシキリ♂(野鳥)夜のさえずり♪【暗視映像と声紋解析】20/07/2015 - 0 Comments
  • 蓑虫に産卵するトガリヒメバチ♀01/02/2011 - 0 Comments
  • 電柱から飛び立つノスリ(野鳥)【ハイスピード動画】31/05/2017 - 0 Comments
  • ダイサギとカワウが集団就塒する定点映像を早回しにしてみる【10倍速映像】(野鳥)30/05/2019 - 0 Comments