2011/09/23

流れる雲のインターバル撮影

2011年9月中旬
最近クワコ幼虫が繭を紡ぐ様子を微速度撮影して以来、インターバル撮影にすっかりはまりました。
関連記事はこちら→「繭を紡ぐクワコ終齢幼虫(蛾)の微速度撮影
このときはカメラをUSB接続した状態でパソコンからリモート撮影しました。
私のカメラにはインターバル撮影機能が内蔵されていないのですが「なんとか野外で使える方法はないかなー」と探してみました。
ある人から「電子レリーズ、タイマーリモコン」なる物を教えてもらい、早速購入。


微速度撮影の練習の定番として、庭で三脚をセットし空にカメラを向けてみました。
タイマーを5秒間隔にセットしてインターバル撮影してみます。




まずは46分間の雲の様子を10fpsの動画にしました(50倍速)。
静止画の設定のまま撮ったので、せっかくの高画質なのに画面が4:3になってしまいました。



次はHD動画に収まるよう16:9にカメラの設定を変えました。
タイマーは5秒間隔のまま夕方暗くなるまで1時間49分間のインターバル撮影を行ない、20fpsの映像(100倍速)にしてみました。
手前の枝が目障りですけど、練習ですのでご容赦下さい。
高度によって雲の形状も流れる向き(風向き)も違うのがよく分かります。

この便利な新兵器があれば、色んなtime-lapse動画を量産できそうです♪





2011/09/22

エンマコオロギの求愛歌♪と交尾(精包の授受)



2011年9月上旬・室温26℃

一匹で飼育してきたエンマコオロギ♂(Teleogryllus emma)にようやくお嫁さん♀を連れてきてやりました。
長い産卵管を持つ♀は丸々と太って♂よりも体長が大きいです。
ペアで同居させると早速、求愛・交尾行動が始まりました。


コオロギの交尾はとても変わっています。
♀が♂にマウントし、交尾器の挿入を伴いません。
どちらかと言えば、クモの交接と少し似ているかもしれません。


動画の解説として、中公新書『昆虫の生活史と進化:コオロギはなぜ秋に鳴くか』 p99 から引用します。
コオロギの発音は、生殖の営みに重要な役割をはたしている。夜ごとに♂は鳴き続けて、♀を呼ぶ。(中略)♀の接近を認めると、それまでの高らかな歌(よび鳴き)の調子から、柔らかく、長く続く誘いの音色(さそい鳴き)に切り替える。糸のような長い触角を微妙に動かして、♀と♂とは互いの体に触れ合う。誘いの歌は、♀が交尾の姿勢をとるまで、忍耐づよく続けられる。♂は寄り添うように、♀に接近してゆく。♀が♂の背中に乗ると、♂は腹部の末端にある小さな鍵のような把握器を、♀の産卵管の付け根の辺りに引っ掛けて白い球状の物体を腹部の末端から出す。その球には細い柄が付いていて、小刻みに震える微妙な腹端の運動によって、その柄の部分を産卵管の付け根に差し込むと、交尾が完了する。♀はしばらくの間、尾端に<ちょうちん>のように球をぶら下げているが、そのうちに体をねじ曲げて、それを食ってしまう。この球の中には精子が収まっている。精子は柄を通って♀の貯精嚢に入り込む。貯精嚢の入口は、輸卵管に繋がっていて、卵が産まれる時に、受精するのである。


以下は蛇足ながら私の観察メモ。

♀の近くで♂は後ろ向きに定位し、求愛歌を奏でます。
私の耳には普段の「呼び鳴き」よりも求愛歌「誘い鳴き」の方が単調に聞こえました。
後退りして♀に近づきます。
突然♀が♂に向き直り、マウントすると♂は鳴き止みました。
上記解説で「白い球状の物体」は「精包」と呼ばれます。
♀の下になった♂はしばらく静止してから身震いを始め、腹端から白い精包が排出しました。
♂のリズミカルな貧乏揺すりが収まるのを合図に、♀がマウントを解除し二匹は離れます。
♀の腹端近くの左側に白い精包が付着しています。


あれほど五月蝿く鳴いていた♂は交尾後しばらくは全く鳴かなくなりました。(賢者モード?)
2回目の交尾を果たした後、♀が地面に置かれた(付いた)白い精包を食べるシーンを目撃したものの、残念ながら撮り損ねました。


教科書通りでしたが、コオロギの交尾行動の一部始終を初めて自分の目で観察できて感動しました。
次回はマクロレンズで接写してみます。


コオロギの求愛歌は独特なので、慣れれば野外で姿が見えなくても鳴き声だけで行動を想像できそうです。


ちなみに、飼育容器内の食器に生米が入っているのが動画に映っています。
米びつで虫の湧いた古米を試しに与えてみたら、♀がボリボリと食べてくれました。


今回は♂の恋歌が成就したケースでしたが、♀に振られるケースもぜひご覧下さい。
関連記事と映像はこちら→「エンマコオロギ♂の求愛歌♪と♀の交尾拒否

【追記】
宮竹貴久『恋するオスが進化する (メディアファクトリー新書)』p110によると、精子競争に関連して
コオロギでは成虫の♂を他の♂と一緒に飼うと、単独で飼育した♂よりも多くの精子を射精する。




2011/09/21

人参を食べるエンマコオロギ♂



2011年9月上旬

エンマコオロギ♂(Teleogryllus emma)の飼育記録

今日のメニューは生のニンジンです。
鎧のような襟(カラー)の下で首が食事中自在に動く様子が見ていて面白く可愛らしい。
カタツムリ(ヒダリマキマイマイ)に与えた時も思ったのですが、必ず人参の周辺部から食いつき、中央部は食べ残すようです。
関連記事はこちら→「ニンジンを食べるヒダリマキマイマイ(微速度撮影)
虫にも好き嫌いがあるのでしょうか。
単に大きな固形物の縁から食べ始めるのかもしれません。
輪切りのままでは昆虫の口器ではいきなり中央部に齧り付くのは難しいのかもしれません。
そこで後日、人参を半月切りにして与えてみました。
これなら周辺部も中央部も同様に口を付けやすい筈です。
しかし、それでも中央部にはほとんど食痕がありませんでした。
簡単な実験ですが、コオロギにとって中央部は味が気に入らないのか栄養価が低いのだろうという結論に達しました。
「ニンジンで一番栄養があるのは皮の部分で、中央部はそれ程でもない」との話を耳にしたことがありますけど、どうやら本当かもしれません。


半月切り人参の食痕:
少し干からびていますが、周辺部だけが齧り取られえぐれています。
【追記】
後日、エンマコオロギ♂をもう一匹採集してきて飼育を始めました。
なんとこの新入りの♂(体長の小さな成虫)は輪切りにした人参の縁ではなく中央付近をいきなり食べ始めたので驚きました。
この問題は単なる嗜好の個体差に過ぎないのかもしれません。
一件落着かと思いきや、なかなか一筋縄ではいきません。







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