2022/12/17

山中の池に最後まで残ったオタマジャクシ(アズマヒキガエル幼生?)

前回の記事:▶ 前脚も生えてきたオタマジャクシの大群(アズマヒキガエル幼生?)

2022年8月上旬・午後14:30頃・晴れ 

定点観察の間隔がまた開いてしまいました。 
15日ぶりに山中の泉に行ってみると、黒いオタマジャクシの数が激減していました。 
ほとんどのオタマジャクシは変態を済ませてカエルとなり、池から上陸して山林に去ったのでしょう。 
しかし岸辺を探しても、子ガエルは見当たりませんでした。 

必死で探すと、左岸の水中に少数のオタマジャクシを発見。 
池に残っているオタマジャクシは、発生が遅れた個体だけのようです。 
お魚観察ケースでなんとか2匹を一時捕獲しました。 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生だと思うのですが、後脚と前脚が伸びつつある小型の個体でした。 
未だ長いままの尻尾を左右に振って泳ぎます。
しばらく観察すると、前脚も少し動かしました。 

サンダル履きで池に入水すると、かなり冷たい水温でした。 
レーザー式温度計で水温を測定すると、池の中央部が10.1℃、左岸が13℃でした。 
真夏の昼間でも水温がこれだけ低いと、夜霧の発生が頻発するのも納得です。 
左岸は木陰なのに水温が高いのがいつも不思議でした。 
オタマジャクシ大群の呼吸熱で水温が少し上昇していたのかと疑っていたのですが、オタマジャクシが(ほとんど)居なくなっても温度差が保たれているので、その仮説は却下。 
単純に、冷たい湧き水(地下水)が常に流れる部分の水温は低く、淀んでいる左岸の水温は少し高いのでしょう。 
したがって、オタマジャクシが左岸に集まっていたのは、捕食者から逃れるために日陰に隠れていたというだけでなく、水温が少しでも高いエリアを好んでいたようです。 

後日の定点観察では、池にオタマジャクシは1匹も居なくなっていました。
オタマジャクシが変態する過程をじっくり観察するには、頑張って池に毎日通うか、採集して家で飼育するしかなさそうです。
今季は、オタマジャクシの尻尾が短くなっていく様子や子ガエルが上陸する様子は見れませんでした。

ハネフリバエ科Euxesta属の一種がタヌキの糞を舐め、肉食性ハネカクシ類から逃げ回る

前回の記事:▶ 翅紋を誇示しながら林床で身繕いするハネフリバエ科Euxesta属の一種

2022年8月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山の廃道になった山道で私が動き回らずにその場でしばらくじっと待つと、一時避難していた様々な虫がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞fに戻って来ました。 
ハネフリバエ科Euxesta属の一種、キンバエの仲間、アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)、サビハネカクシOntholestes gracilis)の姿が見えます。 

ハネフリバエ科Euxesta属の一種が新鮮な糞の上で吸汁する様子をマクロレンズで接写してみました。 
口吻を伸縮させてタヌキの糞を舐めている間も翅紋誇示を止めません。 
その背後からアカバトガリオオズハネカクシが捕食しようと忍び寄ると、Euxesta sp.は素早く飛んで逃げました。
視野が広いようです。 
ほとぼりが冷めると、横の落ち葉から溜め糞に戻りました。 

次は吸汁中に横からサビハネカクシが襲いかかってきました。 
その攻撃も素早く交わして逃げ切りました。

Euxesta sp.の翅の黒い縁紋を誇示するように翅を振る行動(ディスプレイ)がとにかく気になります。 
下手に目立つ動きをしたら捕食されるリスクが高まるはずと素人考えでは思うのですが、逆に対捕食者戦略になっているのでしょうか? 
同様の翅紋誇示をするミバエ科のとある種類では、天敵ハエトリグモの威嚇誇示(ディスプレイ)を真似することで(行動擬態)、捕食されないように牽制しているのだそうです。
Greene, Erick, Larry J. Orsak, and Douglas W. Whitman. "A tephritid fly mimics the territorial displays of its jumping spider predators." Science 236.4799 (1987): 310-312.
ただし、そのミバエの翅振り行動も特定のハエトリグモ以外の捕食者に対しては全く効果がありません。 
獣糞の周囲でハエトリグモが獲物のハエを待ち伏せしてもおかしくないと思うのですが、私は未だ見たことはありません。 
肉食性ハネカクシ類に対して微小なハエの翅振り行動が抑止効果があるのでしょうか?
ハネカクシの目を幻惑する効果があるのかな? 
逆に、自分はこれほど大胆に振る舞っても天敵から逃れられるという能力の高さを♀に対してアピールしているのでしょうか?(クジャク♂の長い羽根のような性選択)
それとも、いつでもすぐに飛び立てるように飛翔筋をアイドリングしていて、翅振り行動はその副作用(不随意運動)みたいなものでしょうか?




2022/12/16

下痢便を溜め糞場に排泄するホンドタヌキ「垂れ尾」【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬

トレイルカメラで撮れたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 
尻尾が下向きに折れ曲がっている個体「垂れ尾」が同じ日に2回、スギ林道の溜め糞場sに来て排便したのですが、2回共に下痢便でした。 
真夏に何か腐りかけのものでも食べたのか、それとも精神性ストレスで腹を下したのでしょうか? 
溜め糞場を監視すると、タヌキの健康チェックができます。

シーン1:8/13・午前3:45・気温24℃ 
緩やかな坂道になっている林道を深夜に「垂れ尾」が右から登ってきました。 
3時間前に別個体のタヌキ「フサ尾」が排泄した糞の匂いを嗅ぎ、タヌキの溜め糞場に跨りました。 
カメラ目線で排便しかけたのですが、左に向きを変えてから液状の下痢便を排泄。 
チラチラと横目でトレイルカメラを気にしています。 
すっきりすると左に立ち去りました。

シーン2:8/13・午後22:25・気温24℃ (@0:38〜) 
18時間40分後に、同一個体と思われる「垂れ尾」が溜め糞場sに来ていました。 
自動撮影カメラの起動が遅れ、登場シーンは撮れていません。 
右向きで溜め糞に跨がり脱糞中でした。 
前夜と同じく液状便をシャーッと大量に排泄しました。 
このとき溜め糞場に集まっていた数匹の糞虫が慌てて右へ逃げて行くのが面白いです。 
糞虫にしてみれば美味しいご馳走が降ってくる訳ですから、大した災難ではありません。
排便中のタヌキは糞虫に気づいて下を向いたのに、なぜか捕食しませんでした。
暗闇なので、視覚で糞虫が見えたというよりも、タヌキの前脚にぶつかった糞虫に驚いたようです。
タヌキにも衛生観念があって、糞虫を捕食したがらないのかな? 
このときは下痢するほどの腹痛で食欲が無かったのでしょうか? 
「垂れ尾」が右へ立ち去ると、溜め糞場sにはこんもりと山盛りの糞塊が残されました。 



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