2025/08/04

引っ越し翌日の昼間に巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

前日の晩にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が子連れで転入した営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/23・午後14:07・気温21℃ (@0:00〜) 
冒頭で巣穴Lに入ろうとした幼獣がクンクンキュン♪と鳴きました。(@0:04〜) 
なぜか奥まで入れません。 
途中で閊えている(誰かがトンネルを塞いでいる)ようです。 
しばらくすると、別の幼獣が巣口Lに駆け寄り、遊び始めました。 

やがて巣穴Lの中から後退りしながら外に出てきたのは、母親♀でした。 
どうやら、手狭になった巣穴Lを掘り広げる工事を始めたようです。 
掘った土や古くなった巣材を前脚で掻き出して外に捨てました(排土)。


シーン2:6/23・午後14:08・くもり(@1:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも穴掘り作業が撮れていました。 
計3頭の幼獣が巣口Rから外に出てきて、取っ組み合いや追いかけっこをして遊んでいます。 
その間、残りの幼獣1頭が、巣口Lの中に潜り込もうとしています。 

幼獣全員が巣口Lに合流したら、巣内Lで穴掘り工事をしていた母親♀が後ろ向きで外に出てきました。 
掘った土を巣口Lに捨てると、母親♀は再び巣内Lに戻ります。 
しばらくして再び母親が後ろ向きで排土したところで、1分間の録画が終わりました。 


シーン3:6/23・午後14:08・くもり(@2:00〜) ニホンアナグマ♀+幼獣4@セット+格闘遊び+追いかけっこ遊び+穴掘り:巣穴L拡張 6-23 14:08:34 wDSCF0070 23℃ 〆digging_out 別アングルの映像もフルカラーに戻りましたが、辺りはかなり薄暗いです。 幼獣たちにまとわりつかれながら穴掘り作業するのは大変そうです。 巣口Lから真っ直ぐ後退しながら土砂を何度も掻き出して捨てる結果、アクセストレンチと呼ばれる斜面が形成されます。 これはアナグマ営巣地に特有の地形です。 


※ アナグマの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
真昼間なのに、トレイルカメラによる録画がモノクロ(白黒)になりました。 
これは薄明薄暮など起動時の照度が低いときに起こる症状です。 
初夏の二次林では林冠に葉がびっしり生い茂り、日光が林床までほとんど届かず昼間も薄暗くなります。 
赤外線の暗視映像に切り替えるかどうかという、トレイルカメラ内部で設定された照度の閾値付近では、モノクロとフルカラーで交互に録画されるのです。 
二次林では秋に落葉して林内が明るくなるまで、この症状が続きます。 

前年の観察では、重労働の穴掘り作業はヘルパー♂(前々年に産まれた息子)に任せていました。 
しかし今季は転入後に、ヘルパー♂の姿を一度も見かけません。 

最近転入してきたのは、母親♀と幼獣4頭から成る母子家庭です。 
母親♀は穴掘り作業で全身が泥だらけですが、元から成獣の毛皮は濃い焦げ茶色です。 
一方、幼獣は白っぽい毛並み(薄い茶色)です。 

この巣穴Lの奥には、春に歩けなくなって餓死した「いざりタヌキ」の腐乱死体が長期間放置されていたはずです。 
子連れで転入したアナグマの母親♀が、その白骨化した死骸をどう処分したのか、不明です。 
その場に埋めたのではないかと私は想像しています。
(タヌキの死骸については、かなり後になってから新展開があります。) 


つづく→

トレイルカメラの近くでクモが網を張り撮影の邪魔をするトラブル【10倍速:暗視映像】

 

2024年6月中旬 

シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に湧き水が年中滲み出す湿地があり、浅い水溜りを水場として利用しに来る野生動物や野鳥を観察するために、旧機種の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/14・午後18:05〜(@0:06〜)日の入り時刻は午後19:06。 
夕方になって監視カメラが起動したのは、至近距離で小さなクモ(種名不詳)が垂直円網を張り始めたからでした。 
10倍速の早回し映像でお届けします。 
変温動物の動きには反応しないはずなのに、センサーの反応性を高感度に設定すると旧機種のトレイルカメラは誤作動してしまうようです。 

クモが巣を作ったのは湿地帯に隣接するスギ植林地の林縁で、スギの木の下に横枝や下生えなどを足場として利用しているようです。 
ピントが全然合っていませんが、クモは粘着性のある横糸を密に張りながら螺旋状に動き、次第に円網の中心に向かっています。 
円網の中心で放射状の縦糸が合流する中心部分をこしきと呼ぶのですが、風で揺れる甑が白くぼんやり見えています。 
横糸を張るクモの螺旋運動の半径がどんどん小さくなります。 

午後18:25には横糸を張り終えて円網が完成したようで、クモは甑に下向きで占座しました。 
垂直円網は風で絶え間なく揺れています。 
日没前の約20分間で横糸を張り終えたことになります。 

クモはなぜこの場所に造網したのでしょうか? 
現場は湿地帯に隣接するスギ植林地の林縁で、風通しは良さそうです。 
スギの木の下に横枝や下生えなどを足場として利用して網を張ったようです。 
夜に赤外線の暗視カメラが頻繁に起動しますが、可視光を発していませんから、走光性の虫は集まってこないはずです。 


シーン2:6/14・午後19:33(@1:24〜) 
辺りが完全に暗くなると、監視カメラが照射する赤外線を反射してクモの円網がとてもよく見えるようになりました。 
クモの巣がレースのように夜風に揺れて美しいのですが、奥の水場に来る被写体がほとんど見えなくなってしまいました。 


シーン3:6/15・午後19:19(@1:40〜)日の入り時刻は午後19:06。 
クモは基本的に毎晩、獲物捕獲装置としての円網を取り壊して張替えます。 
しかし翌日には、クモが網の横糸を張り直す行動がなぜか録画されていませんでした。 
夕方に無風だったのかな?
日没直後に監視カメラが起動したときには、新しく完成した円網が夜風に揺れていました。 
円網の位置が前日から少しだけずれています。 

水場に来たイノシシが立てる物音(泥浴び、ヌタ打ち?)がかすかに聞こえます。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ イノシシの物音が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
昼間にトレイルカメラを設置したときにはクモの網が取り壊されていて無かったので、こんな撮影トラブルはまったく予想できませんでした。 
トレイルカメラのすぐ近くで網を張るクモは撮影の邪魔なので、次回からは造網の足場となりそうな、枯れた横枝や下生えをきれいに取り除きました。 
こういう予想外のトラブルがあるので、トレイルカメラの保守作業に通う間隔を開け過ぎてしまうと、せっかく長期間設置しても狙った被写体がほとんど撮れていなくて悔しい思いをすることがあります。

徘徊性のザトウムシ(クモの遠い親戚)にはまた別の問題があり、なぜかトレイルカメラのレンズの上に被さるように長時間居座って、撮影の邪魔をします。

2025/08/03

山中の水溜りで泥水を飲むニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 

2024年6月中旬 

シーン0:6/7・午後13:14・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林に湧き水が年中滲み出す湿地があり、浅い水溜りを2台の自動撮影カメラで見張っています。 

ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の飲水シーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/16・午後13:57(@0:00〜) 
野生ニホンザルの群れが続々と遊動してきます。 
この地点でニホンザルが撮れたのは初めてです。 
1頭が湿地の泥濘を手前から歩いて横切り水溜まりに向かうと、水面を見つめています。 
対岸に移動してから、泥水に口を付けて飲み始めました。 
喉の乾きを癒やすと、右に遊動して行きます。 

しばらくすると、奥の林道を別個体の猿が左から右へ遊動する姿が写っていました。 


シーン2:6/16・午後14:03(@0:48〜) 
左から来たと思われるニホンザルが泥水溜りの此岸で水面に口を付けて泥水を飲んでいました。 
腹に子ザルがしがみついていたことから、成獣は母親♀と分かります。 
そのまま水溜りの岸に座り込みました。 
自分で水を飲む子ザルをその場に残したまま、母親♀は泥水溜りを迂回してから、右へ向かいます。 
置いていかれそうになった子ザルは、慌てて走って追いかけました。 

左から来た別の母親♀が、子ザルを背中におんぶしたまま、水溜りの対岸で水を飲み始めました。 

その間も、奥の林道をニホンザルの群れが左から右へ次々と通りかかります。 


シーン3:6/16・午後14:04(@1:51〜) 
林内を左から来た個体が、泥水溜りの対岸から飲水開始。 
その様子を近くでじっと見守っている個体がいます。 
群れ内の順位性から、劣位の個体は水場でも順番待ちをしないといけないのかな? 

ときどきニホンザルの鳴く声が聞こえてきます。(コンタクトコール? クーコール?) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 猿の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

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