2023/12/31

ニホンアナグマ♀が古い巣材を産室から次の引越し先に運び、ヘルパー♂が巣穴を掘り直す【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬

シーン1:5/15・午後18:54・(@0:00〜)日の入り時刻は午後18:45。 
ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣4匹を連れて巣穴Rから手前の巣穴Lへ引っ越したのが早朝で、これはその日の夕方の出来事です。 
日没直後の薄暗い営巣地(セット)で、奥の巣穴Rから出てきた♀個体が、なぜか巣口Rでぐるぐる回っています。 
一体何をしているのでしょうか? 
画面の手前の左からハリギリ(別名センノキ)の棘だらけの細い倒木が右に突き出しているせいで、奥の巣穴Rが見えにくくなっています。 
謎の行動を同時に逆アングルからも動画で記録したかったのですが、残念ながらこの時期はもう1台のトレイルカメラ(新機種)が不調でした。 

アナグマ♀は何か白っぽい物(古い巣材?)を巣穴Rの中から巣口Rに捨てたようです。 
身震いしてから右に立ち去りました。 


シーン2:5/15・午後18:56・(@0:54〜) 
次にカメラが起動したときには、赤外線の暗視モードに切り替わっていました。 
♀が巣口でグルグル回る謎の行動をまたやっています。 
次回の幼獣引っ越しに備えて、巣口Rに柔らかい巣材(クッション・緩衝材)を予め敷き詰めておくのでしょうか? 
再び右に立ち去りました。 


シーン3:5/15・午後18:59・(@1:40〜) 
後頭部(首筋)に白斑のある♀個体が後ろ向きで手前の巣穴Lに入るところでした。 
前脚で落ち葉などを掻き集めながら巣穴Lに搬入しています。 
途中で落枝に引っかかってしまった落ち葉を口で拾い直しました。 

空荷で出巣Lすると、身震いしてから奥に入巣R。 
次に出巣Rする際には、後ろ向きで古い巣材を外に掻き出しました。 
これほど大量の落ち葉を地下の巣穴に溜め込んでいたとは驚きました。 
私が以前試しに与えてみた藁束も含まれているでしょうか? 


アナグマ♀が何をしているのか、私にもようやく意図が飲み込めました。 
産室だった巣穴Rに何度も出入りしては古い巣材を外に排出し、引越し先の巣穴Lに運んでいたのです。

使い古した巣材(寝床)にはノミやダニなどの体外寄生虫がまぎれていそうなのに、大丈夫なのでしょうか?
アナグマは巣材をときどき天日干し(虫干し)するという話を聞いていたのに、この個体は横着して新居に古い巣材をそのまま運び入れました。

(アナグマは)巣材として草を根から引き抜いて使用していると推測される。巣材が大雨などで濡れると、昼に穴の外に出して乾燥させて夜に穴に戻す、という話もある。(wikipediaより引用) 


その後は奥の巣穴Rから土を外に何度も掘り出しています。 
トンネルの拡張工事を始めたのでしょうか。 


シーン4:5/15・午後19:13・(@4:25〜) 
少し時間が開きました(7分後)。 
2つの巣口LRの間に座っていたアナグマが立ち上がって身震いすると、奥の巣穴に入りました。 
すぐにまた後ろ向きで外に出てきました。 
黒い土を外に掻き出しています。 
巣穴Rから奥に向かってまっすぐ後退しながら土を掻き出すので、なだらかなスロープが形成されます。 
これはアクセストレンチと呼ばれ、アナグマの巣穴入口に隣接して必ず見られる構造です。
少し疲れたのか、アナグマは身震いすると右上に立ち去りました。 
採食に出かけたのかな? 



シーン5:5/15・午後20:25・(@5:45〜) 
70分後にアナグマが巣穴Rの拡張工事を再開しました。 
巣口Rから何度も後退しながら土を外に排出しています。 
トレイルカメラの電池が消耗してきて、細切れ映像しか撮れなくなってきました。 
巣口Rに頭を突っ込み、土を前足で後方に掻き出しています。 

作業中にたまたま左後脚を持ち上げてくれたので、股間に睾丸が見えました。(@6:30〜) 
やはり穴掘り作業を担当するのは母親♀ではなく、ヘルパー♂(1年仔の息子♂)だったようです。 
地下で穴掘りを続ける個体の毛皮は黒い土で汚れ、個体識別が困難になります。 
正面からのカメラ目線をくれないので、左右の目の大きさも分かりません。 
この間、母親♀は手前の巣穴Lで幼獣4頭の面倒を見ていて忙しいのでしょう。 


シーン6:5/15・午後20:28・(@6:53〜) 
巣口Rで何やら作業を続けていますが、尻尾しか見えなくなりました。 


シーン7:5/15・午後20:31・(@7:10〜) 
巣穴Rを掘りながら、画面の右側にも新たにアクセストレンチを伸ばしているようです。 
近くにある細い蔓がブラブラ揺れています。 
その後も午後20:40まで穴掘り作業を続けていました。 

巣口から四方にアクセストレンチが伸びています。
これから梅雨になりますが、雨水の浸水対策はどうなっているのでしょうか?
ニホンアナグマは地中でトンネル(坑道)が一度下がってから少し上がった地点に居住区を作っているのかな?(ビーバーの巣からの連想です)

※ 動画の一部は、編集時に自動色調補正を施しています。 
この動画を編集した5月には、アナグマが何をしているのか、いまいち分かっていませんでした。 
♀が巣穴Rの古い巣材(寝床)を外に排出して引越し先(巣穴L)に運んだ前半部と、ヘルパー♂が巣穴Rを掘って拡張工事している後半部を分割すべきでしたね。 
登場個体が♀からヘルパー♂にいつ入れ替わったか、しっかり見極められないのが問題です。


尾根道で日光浴してから飛ぶ越冬明けのヒオドシチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の尾根道を歩くと、日陰のところどころに残雪が未だ少しありました。 
越冬明けのヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)を尾根道で何頭も見かけました。 

尾根道の路肩で落ち葉の上に止まって閉じた翅を小刻みに震わせている個体がいます。 
翅の外縁が激しく破損していて、越冬の厳しさを物語っています。 
翅をパッと全開にしてから飛び去りました。 
気温が未だ低いので、くもっていると飛び立つ前に準備運動が必要だったようです。 


次は日向で翅を全開にして日光浴している個体がいました。 
自発的に飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:58〜) 
尾根道に転がっている丸太の上で翅を開閉しながら日光浴していた個体は、翅がほぼ無傷でした。 
複数個体を撮影。 

関連記事(1、9年前の撮影)▶  

ヒオドシチョウの性別を私は外見から判別できませんが、蝶道を作って侵入者(他のチョウ)を追尾していたことから、おそらく♂が尾根道に縄張りを張っているようです。 
そのシーンは動きが激し過ぎて、動画に撮れませんでした。 

 越冬後は山頂や稜線でよく見られ、♂は見晴らしのよい場所で占有行動をとる。(フィールドガイド『日本のチョウ』p225より引用) 


関連記事(同じ尾根道で同日の撮影)▶ 日光浴してから飛ぶ越冬明けのエルタテハ 


冬の間になまった体に鞭打って尾根道まで登ってきたのは、ギフチョウ類の配偶行動を観察するためでした。
しかし残念ながら、 目当てのギフチョウ、ヒメギフチョウは1頭も見かけませんでした。 
どうやら時期を逃してしまったようです。
今季は春の雪解けが早かったので、もっと早く観察に来るべきでした。

2023/12/30

探餌徘徊する野ネズミがニホンアナグマの巣穴にも出入り【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月中旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地(セット)を監視している自動センサーカメラに写った野ネズミ(ノネズミ)の動画をまとめてみました。 

手前の巣穴Lと奥の巣穴Rの2つが二次林の林床に掘られて並んでいます。 
画面の手前の左からハリギリ(別名センノキ)の棘だらけの細い倒木が横に突き出しているせいで、奥の巣穴Rが見えにくくなっています。 


シーン1・5/12・午後20:11・(@0:00〜) 
晩に2つの巣穴の中間地点をうろついていた野ネズミが、手前の巣穴Lに入りました。 
そのまま出てこなかったので、一時的な不法侵入ではなくアナグマと野ネズミが同居しているのでしょうか?
同じ穴のむじな


シーン2・5/13・午前0:45・(@0:40〜) 
日付が変わった深夜にも野ネズミが餌を探し歩いていました。 
アナグマ♀が巣材を集めた結果、営巣地(セット)周辺の地面は落ち葉がきれいに取り除かれて裸地になっています。 
したがって、野ネズミにとって餌が少ない環境なのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか? 


シーン3・5/13・午前1:40・(@1:40〜) 
画面の右端をうろついています。 


シーン4・5/13・午後20:34・(@1:55〜) 
同じ日の晩にも野ネズミが活動しています。 
画面の右端を右へ。 


シーン5・5/13・午後20:52・(@2:00〜) 
画面の右下エリアを徘徊していた野ネズミが、手前の巣穴Lに入りました。 
しばらくすると、同じ巣穴Lから外にピョンと飛び出してきました。 
巣の主であるアナグマに追い払われて慌てて出てきたようにも見えますが、定かではありません。 
そのまま左へ移動して行きました。 


シーン6・5/13・午後20:00・(@2:36〜) 
野ネズミがアクセストレンチのスロープを辿ってそのまま巣穴Lに入りました。 
しばらくすると、同じ巣穴Lから右へピョンと飛び出して、右へ立ち去りました。 


シーン7・5/14・午前1:35・(@3:14〜) 
日付が変わった深夜、雨が結構激しく降っています。 
野ネズミが広場を右へ駆け抜けました。 

余談ですが、その後にちょっと面白いシーンが撮れていました。 
黒い甲虫が画面の右下から登場したのです。 
なんとなくゴキブリやマイマイカブリのように見えます。 
雨が降ると、マイマイカブリの獲物となるカタツムリがよく取れるようになるのかもしれません。 
そのまま地面を歩いて入巣Lしました。 
雨宿りに来たのかな? 
もしも謎の甲虫と野ネズミがニアミスしていたら、暗闇でもその場で野ネズミが虫を捕食したでしょうか? 


シーン8・5/14・午後20:08・(@3:40〜) 
同じ日の晩、雨は止んでいました。 
野ネズミが左奥の広場をうろちょろ探餌徘徊してから、奥の巣穴Rに入りました。 


シーン9・5/14・午後21:26・(@4:30〜) 
巣穴Rにちょっと入って探索してから、奥の灌木林へ。 


シーン10・5/15・午前1:52・(@5:10〜) 
日付が変わった深夜未明、激しい雨が降っています。 
野ネズミが画面左下の茂みの陰から巣口Lを通って右へ。 


シーン11・5/15・午前2:50・(@5:30〜) 
1時間後もまだ雨が降り続いています。 
奥の広場を野ネズミが右から左へ。 


シーン12・5/15・午後19:25・(@5:44〜) 
同じ日の晩には雨が止んでいました。 
巣口Rの奥の広場をウロチョロしていた野ネズミが、林床を右上に走り去りました。 


シーン13・5/15・午後20:07・(@6:11〜) 
広場から右へ。 


巣口Lの近くにトレイルカメラを設置しなおせば、野ネズミがアナグマと同居しているかどうか分かると思ったのですが、依然としてはっきりしません。 
巣内のアナグマが怒って侵入者の野ネズミを外に追い払っている様子はありません。 
探餌徘徊中の野ネズミは、単に「穴があったら入りたい」という性質があるだけかもしれません(探索行動)。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

 

5/17の撮影分も追加して同じ1本の動画にまとめようとしても、なぜか連結できなかったので、ブログ限定で公開しておきます。 

シーン14・5/17・午後19:30・ 
画面の左端に居た野ネズミが、そのまま左に立ち去りました。 


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