2022/02/22

昼間と同じ止まり木を塒とするカワウ、夕方に飛び去るカワウ(野鳥)

 

2021年11月中旬・午後15:52〜17:00・晴れ(日の入り時刻は午後16:27) 

川の右岸に並ぶ倒木がカワウPhalacrocorax carbo hanedae)集団の休むコロニーとなっています。 
例年の観察では、夕方になるとねぐら入りのために止まり木から飛び去るはずです。 
その一部始終を記録するために、日没の30分前後(延べ1時間)をひたすら愚直に長撮りしてみました。 
川は画面の手前から奥に向かって流れています。 

川の水音も心地よく、ただボーッと眺めていられる癒やしの映像かもしれません。 
映像をじっくり見れば、何か私が見落としたような面白い現象や行動が発見できるかもしれません。 
薄暗くなるにつれて、カメラの設定で感度を最大まで上げました。 
自然光で撮影できる限界まで粘りました。 

最後は真っ暗になりカワウのシルエットも見えなくなりました。 
右岸の倒木からは続々と離れて下流に飛び去り、遂には1羽も居なくなりました。 (これは例年通り) 
ところが、長い倒木には5、6羽のカワウがそのまま居残って夜を過ごしていました。 
私にとって、これは意外な結果です。 

この流域はカワウの漁場でもあるので、昼間と同じ止まり木で寝た個体は朝一番に潜水漁をすることが可能です。 
一方、他の多くの個体は、少し遠くの河畔林にある集団塒から早朝に漁場まで飛んでくる必要があります(朝晩の通勤コスト)。 
右岸にいくつも並ぶ短い倒木は水面/地面から低い位置にあるので、そこを塒とするには夜行性の捕食者に襲われるリスクが高過ぎるという判断かもしれません。 
具体的な捕食者としてはイタチやハクビシンなどが候補に上げられそうです。
長い倒木で休むカワウを狙って岸から捕食者が丸木橋をこっそり渡って来ようとしても振動で気づかれてしまいます。
つまり私の考えでは、長い倒木こそ止まり木として優良物件になるでしょう。
今年は大雨の増水で短い倒木が一部流失したり、侵食された右岸から新たにニセアカシアの高木が2本、川を跨ぐように倒れたりして、止まり木の状況が大きく変わりました。(自然の撹乱) 
カワウは臨機応変に対応していることが分かりました。 

ちなみに、川面の手前にはマガモ♀♂の群れが、奥にはカルガモの群れが住み分けるように集まっています。 
川面に浮かぶカモ類はそのまま夜の集団塒となります。 
カイツブリと思われる小型の水鳥がときどき夕方の川面を疾走していました。 

次はこの映像素材を早回し加工してみましょう。 
私は止まり木に並ぶカワウの離合集散の時間的パターンに興味があるのです。 

つづく→

マヒワ♀♂の大群が水を飲みに集まる池【野鳥:トレイルカメラ】

 

2021年11月中旬・くもり 

自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視している山中の水場に、またマヒワ♀♂(Carduelis spinus)が飛来しました。 
今回は大群です。
前回の記事:▶ 山中の水場で水を飲むマヒワ【野鳥:トレイルカメラ】
シーン1:午前11:22頃・気温10℃ 

落ち葉が降り積もって浅くなった池の左岸で、白っぽい地味なマヒワ♀がお辞儀を繰り返すようにして水を飲みました。 

シーン2:午後14:00頃・気温8℃ 

同じ日の午後、マヒワ♀♂の大群が水場に登場しました。 
過去最多のマヒワ♀♂が忙しなく興奮したように飛び回っています。 
黄色い個体が♂で、白っぽい個体が♀(または若鳥?)です。 
水面に積もった落ち葉の隙間から水を飲んでいます。 
動画の音量を上げても聞こえるのは羽音のみで、マヒワ同士が鳴き交わす声は聞こえませんでした。 
なぜか今回もマヒワは水を飲むだけで水浴しませんでした。 
マヒワは水浴びが嫌いなのでしょうか? 

手元にある図鑑ではマヒワの性別の識別がよく分かりませんでした。 
ネット検索すると、なかた電子博物館(むなはく)のサイトがヒットしました。
雄は,額から頭頂,腮は黒色で,眉斑,顔から胸以下の体下面,背以下の体上面は黄色である。背はやや緑色がかる。過眼線から頰は黒褐色の細かい斑がある。翼,尾羽黒く,大雨覆と三列風切の羽縁,風切,尾羽基部は黄色で飛翔時翼帯となって目立つ。 雌は全体に白っぽく黄色みが少ない。頭頂から背,胸から脇は黒褐色の縦斑がある。 嘴はやや鉛色を帯びた肉色で,足は黒褐色である。
この水場でこれまで撮れた白っぽい謎の小鳥の正体はマヒワ♀だろうとようやく分かってきました。 
コゲラかな?と首をひねっていたのです。 


気温データについて:
トレイルカメラで写真+動画モードに設定しておくと、まず写真で記録されます。 
このとき気温や月齢も写真に焼き込まれるので重宝しています。 
(この機種は動画にすると気温情報が焼き込まれないのは不満です。)
ただし、気温の測定値に問題があることが分かりました。 
後半(@1:57)に記録された気温12℃は異常値と考えられます。 
わずか2分間で外気温が4℃も上昇(8℃→12℃)するはずがありません。 
被写体がカメラの前に居座って動画撮影が連続すると、トレイルカメラ自体が発熱するようです。 
その結果、気温が急上昇したように記録されるのだと思います。 
この撮影地点は池畔の狭い横穴にカメラを押し込んで設置しているため、放熱が上手く行われないのでしょう。(熱がこもる)


【追記】
トレイルカメラが気温を測る仕組みを理解していないのですが、とりあえずデジタル温度計の原理をネット検索してみました。
デジタル温度計は、温度の変化によって電気が流れやすくなったり、流れにくくなるのを敏感にとらえるサーミスタ(抵抗)を使ってその変化を計算して温度を出しています。(参考サイト:エンペックス気象計株式会社のホームページより引用)

2022/02/21

立ち枯れしたクヌギ樹洞の巣口で警戒するモンスズメバチ♀

 

2021年7月下旬・午前10:30頃・晴れ 

里山で立ち枯れしたクヌギの木にモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が止まっていました。 
このクヌギは完全に枯死していますし、樹液の発酵臭もしませんから、昆虫が集まる樹液酒場ではありません。 
幹に昔あった樹洞は、植物の生理的な修復作用によってほぼ塞がっていました。
関連記事(7年前の撮影)▶ モンスズメバチの巣(クヌギ樹洞)の定点観察シリーズ:2014年
その裏側にも小さな樹洞が開口していて、今回はそこにモンスズメバチ♀門衛が居座っていたのです。 
油断なく周囲を見張っています。 
幹を登り降りするアリに対しても警戒を怠りません。 
樹洞の入り口がとても狭く、内部の巣の外皮や巣盤などは見えませんでした。 
ファイバースコープのカメラが欲しいところです。 
外役ワーカー♀が帰巣するまで待てず、撮影を切り上げました。

このクヌギの木は確か落雷を受けて枯れたと記憶しているのですが、 定かではありません。

ところで、小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち』という新書を読んでいたら、口絵に掲載されたモンスズメバチの写真に「きわめて凶暴なので、巣が見つかるとすぐ駆除される」というキャプションが付いていました。 
私はモンスズメバチをよく撮影するのですけど、今のところ一度も刺されたことはありませんし、「きわめて凶暴」という印象はありません。 
マナーや服装をしっかり守れば安全に観察できますし、スズメバチ専用の防護服も要らない、というのが私の個人的な見解です。 
もちろん、巣を駆除しようとすれば必死で反撃しますから、駆除業者が体感する危険度が「きわめて凶暴」というだけなのかもしれません。
私はモンスズメバチが好きなので、微力ながら汚名をすすいでおきます。
モンスズメバチの巣を長期観察したくても「すぐ駆除される」ので困っています。
 

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