2012年3月上旬
里山の雪面に気になる足跡が残されていました。
大きな後ろ足を揃えて前足よりも前に出すという全体のパターンはノウサギの足跡と似ているものの、ノウサギよりも一回り小さな足跡です。
雪道を横断して電柱の元へ向かって駆け上がったようです。
先に進むと似たような足跡をまた見つけました。
アカマツの木から飛び降りた後に、林道を横断して電柱の横を通って森に向かったようです。
これらの足跡の主は(あまり自信がないのですが)ニホンリスだと思います。
(もし間違っていたらご指摘ください。)
小動物の足跡は傾斜や雪質によって変化するようで、本に載っているような典型的な足跡は実地ではなかなか見られないのかもしれません。
実際にリスが雪原を走り去る様子を一度でも観察できれば残された足跡と照合してアニマルトラッキングに自信がもてるようになるのですが…。※
エビフライにそっくりということで有名な松ぼっくりの食痕も未だ見つけたことがありません。
【追記】
※ 一月後に早速、雪山を走るニホンリスの姿を目撃し、雪面に残されたばかりの新しい足跡も確認できました。
遡って、いまいち自信が持てなかったこの足跡もニホンリス(Sciurus lis)のものと判明。
ニホンリスは北海道のシマリスとは異なり冬眠しません。
『Winter Field Guide SNOW FOREST 冬の森へ』p69によれば、
ウサギの前足が縦につくのに対し、リスの前足(後ろの2つ)は後足と並行に横につきます。
2011年10月上旬
水路沿いの鉄柵に張った垂直円網にヤマオニグモ♀(Araneus uyemurai)がいました。
腹面を向けて下向き占座しています。
甑(こしき)の高さは地上約60cm、円網の直径は約35cm。
枠糸は鉄パイプと下草に固定されています。
このクモは右側の第4歩脚が欠損しています(-R4)。
第3歩脚も左右で長さが違うので(R3<L3)、おそらく再生肢と思われます。
腹面に外雌器と垂体を確認しました。
捕食行動を観察しようと、生き餌のトンボ(マユタテアカネ♀)を網に付けてみたのですが、失敗してしまいました。
網の振動が不自然だったのか、クモが怯えて甑から逃げ出しました。
しばらく待つとヤマオニグモは網の外の鉄パイプ上にしおり糸(命綱)を付けながらゆっくり徘徊します。
しかし警戒して網に戻ってくれません。
網に付けたトンボは観念したのか全く暴れずじっとしています。
2012年2月下旬
沢沿いの林道をスノーシューで歩いていると、前方に野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れを発見。
雪道を四つ足で歩く後ろ姿が見えます。
一頭がこちらを向いて警戒しています。
口に何か(草?)を咥えたまま逃走。
辺りから猿の騒ぐ鳴き声がかすかに聞こえます。
腐れ雪(溶けかけのシャーベット状態)が困るのは、歩きにくいだけでなく、野生動物に忍び足で接近することが不可能になることです。
自分の足音がザクザクうるさくて、周囲の鳴き声もよく聞こえないのです。
そのまま林道を進むと、雪面にサルの足跡と新鮮な糞が残されていました。
やがて足跡は道を逸れ、山に向かったようです。
「サル者は追わず」と言う訳ではありませんが、この日はニホンザルの群れを追う体力がありませんでした。
厳しい山越えにより疲労困憊で、少々投げやりな撮影になってしまいました。
どうやらこの日遭遇したのは遊動する群れの最後部(しんがり部隊)だったようです。